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在宅医療推進に向け、まず都道府県支部レベルで医師会や看護協会、病院団体等が連携を―全国在宅医療会議

2019.3.1.(金)

 在宅医療の推進に向けて、医師会や看護協会、病院団体などの各職能団体が、同じ方向を向き、足並みを揃えて活動していくことが求められ、全国レベルでの団体間連携・協力は相当進んできている。今後は、各団体の「都道府県の支部」レベルで連携し、都道府県(行政)に協力していくことが重要である―。

 2月27日に開催された全国在宅医療会議で、こういった方向が確認されました。これまで、各団体が「全国レベル」で連携・協力が進められていますが、さらに「都道府県レベル」での連携・協力を進めることになり、各団体の取り組みが「1段上のPhaseに入った」と見ることができそうです。

2月27日に開催された、「第5回 全国在宅医療会議」

2月27日に開催された、「第5回 全国在宅医療会議」

 

在宅医療の推進に向け、各団体の活動の目安となる「7つの柱」を設定

 全国在宅医療会議は、「国民1人ひとりの希望に応じて入院医療と在宅医療を柔軟に選択できる」ような体制の整備に向けて、行政や各医療関係団体が目指すべき方向を揃え、また各組織の動きがその方向からずれていないかなどをチェックしあうために2016年7月に設置されました(関連記事はこちらこちらこちら)。

これまでに、在宅医療の推進に向けて、(A)在宅医療の「医療連携モデル」構築(B)在宅医療の「普及啓発モデル」の構築(C)在宅医療に関する「エビデンス」の構築―の3点を重点項目する((A)と(B)をセットとし、2点を重点分野とすることもある)ことを決定。さらに、重点項目を実現するために、次の「7つの柱」を定めました(関連記事はこちらこちら)。

各団体が在宅医療を推進する際の旗印として、7つの柱を立てることが決まった

各団体が在宅医療を推進する際の旗印として、7つの柱を立てることが決まった

 
各団体が在宅医療の推進に向けた動きをしていますが、それらがバラバラに動いたのでは非効率で、阻害しあってしまう場面が出てくる可能性もあります。そこで、各団体が動く際の「目安」として、この「7つの柱」が立てられました。さらに、全国在宅医療会議に、「在宅医療の推進に向けた行動実績や今後の行動予定、課題」などを持ち寄り、「他の団体はどう動いているか、足並みは揃っているか」と確認していくことになります。

 
 2月27日の会合では、各団体の動きを整理した資料が提示されました。それによると、7つの柱のうち、▼在宅医療に関わる関係者への普及・啓発▼在宅医療実践に関する研究および教育▼関係団体同士の連携―といった柱については積極的な取り組みがなされていることが分かりました。

一方、▼ICT等最新技術の活用▼国民への在宅医療に関する普及・啓発―といった柱はまだ十分に進んでいないことも明らかになりましたが、これらは、各関係団体の役割と行政との役割とが混在する事項(各団体が独自に進めるには限界もある事項)であり、「進んでいない」と見るべきか疑問も残ります。厚生労働省医政局地域医療計画課「在宅医療推進室」の松岡輝昌室長も、「レーダーチャートートが真円(まん丸)になることは難しいが、広がっていくことが期待される」とコメントしています。

在宅医療・介護連携に向け、関係団体が都道府県支部レベルで連携・協力を

ところで、在宅医療の推進に向けて、市町村は地域支援事業(在宅医療・介護連携推進事業)を進めています。市町村が、「地域の医療・介護資源を把握し、連携に向けた課題を抽出。その上で具体的な対策を取っていく」というもので、2018年4月からは全市町村で8項目の事業(▼地域の医療・介護資源の把握▼在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討▼切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進▼医療・介護関係者の情報共有の支援▼在宅医療・介護連携に関する相談支援▼医療・介護関係者の研修▼地域住民への普及啓発▼在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携―)のすべてを実施することが求められています。

在宅医療・介護連携推進事業の概要。2018年度から8つの事業すべてを、全市町村で実施しなければならない

在宅医療・介護連携推進事業の概要。2018年度から8つの事業すべてを、全市町村で実施しなければならない

介護保険部会1 190225
 
もっとも、一口に「市町村」と言っても、その規模は異なり、専門職員の配置状況も異なることから、都道府県が積極的に市町村をバックアップしていくことが重要となります。ただし、都道府県側には「どのように市町村を支援すればよいのか」という思いもあるでしょう。

そこで厚労省は、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」(「医療計画の見直し等に関する検討会」の下部組織)の議論を踏まえ、都道府県に対し、市町村への支援を強化するために、例えば▼第7次医療計画の改善(地域医療構想では「療養病棟に入院する医療区分1の患者等の7割」を在宅や介護施設で受け入れることになっており、その按分等を適切に行う、など)▼関連部局(保健医療部局、介護部局など)の連携強化▼医療機関間連携のルール策定▼住民への普及・啓発▼取り組み状況の可視化―などを進めるよう求めています(厚労省は1月29日に通知「在宅医療の充実に向けた取組の進め方について」を発出)(関連記事はこちらこちらこちら)。

こうした状況を踏まえて、松岡在宅医療推進室長は、各団体において「都道府県レベルでの連携を進めるべき段階に入った」と判断。今後、在宅医療全国会議においても、そうした視点で情報交換等を行っていくことが確認されました。

前述のように、これまで各団体の連携・情報交換等は「全国レベル」では相当進んでいます。これを「都道府県レベル」でも進める、新たなPhaseに入ったと言えるでしょう。

各都道府県の医療計画・介護保険事業支援計画は、2020年に見直されます(医療計画は中間見直し、介護保険事業支援計画は2020年度から第8期計画となる)。その際、地域医療構想の実現に向けて、在宅医療・介護提供体制の整備目標などを明確化することになります(上述のように「療養病棟に入院する医療区分1の患者等の7割」を在宅や介護施設で受け入れることになっており、その按分等を適切に行うことなどが必要となる)。例えば、▼在宅療養支援診療所・病院を●か所整備し、◆人に訪問診療等を実施する▼訪問看護ステーションや医療機関を●か所整備し、◆人に24時間の訪問看護を提供する―などの明確な数値目標を定めることなどが考えられます(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

そこでは、都道府県(行政)と、地域の医師会や看護協会、病院団体、介護支援専門員協会などが連携して協力し、計画策定・実施していくことが求められます。こうした連携・協力を、関係団体の都道府県支部レベルで推進していくために、「こうした取り組みを行ったところ、良い成果が出ている」「こうした取り組みを行ったがうまく進まなかった。その課題として、こういった点が考えられる」「課題解決のために何が考えられるのか」といった情報交換・議論を全国在宅医療会議で進めていくことになります。

将来的に「市町村レベルでの連携・協力体制を構築すべき」との提案も

この方向性は概ね了承されましたが、辻哲夫構成員(東京大学高齢社会総合研究機構特任教授)は「市町村レベルで、行政、医療関係団体、介護関係団体が連携・協力していくことが理想的だ」との考えも示されました。

たしかに、医療機関等が在宅医療・介護を実施できる地理的範囲は限られることから、「市町村」単位での計画策定・実施が求められ、辻構成員の指摘は極めて重要です。ただし、医師会については市町村レベルの支部(群市区医師会)がありますが、その他の団体では未整備のところも多く、全国すべてで「市町村レベルの連携・協力」をすぐに実現することは困難でしょう。将来の目標に据え、まずは「都道府県レベルでの連携・協力」体制を確実に構築することが必要となります。

なお、こうした連携・協力を進める上で重要となるのは、「全国一律の在宅医療体制はあり得ない」という点です。地域によって、人口構成はもちろん、医療・介護資源(マンパワーなど)、地理的状況は千差万別であり、「地域の特性」に合わせた在宅医療・介護提供体制の構築が求められことが、江澤和彦構成員(日本医師会常任理事)ら多数の構成員から強調されています。

国民への「在宅医療のPR」ツールとして、分かりやすいリーフレットを作成

 ところで、前述のように在宅医療に関する「国民への普及・啓発」が重要な柱の1つに据えられており、全国在宅医療会議では「国が積極的なPRを行うべき」との方向が確認されました。

厚労省は、下部組織(全国在宅医療会議ワーキング・グループ)の意見を踏まえ、「在宅医療とはそもそも何か」「どのようなサービスがあるのか」「どうしたら利用できるのか」といった点を簡単にまとめたリーフレット(下記を3つ折りにするイメージ)を作成することを決定。その素案が提示されました。
全国在宅医療会議1 190227
全国在宅医療会議2 190227
 
素案には、「専門用語が多い」「高齢者により分かりやすくすべき」との注文が付いており、厚労省で修正の上、今年度内(2019年3月まで)に正式決定されます。

自治体や医療機関等で、地域特性を踏まえたカスタマイズをし、全国の医療機関窓口などにこのリーフレットが配置されます。高齢者や家族がリーフレットを手にとり、「在宅医療を利用したいが、どうすればよいのか」とかかりつけ医や自治体などへの相談につながることが期待されます。

 
 

 

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