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急性期病棟にもリハビリ専門職を配置し、ADL改善効果を正面から評価せよ―日慢協・武久会長

2020.1.10.(金)

急性期病棟においてもリハビリテーション専門職種(理学療法士:PT、作業療法士:OT、言語聴覚士:ST)を配置し、総合的なリハビリを日常的に行うことで寝たきり防止、要介護状態の防止が期待できる。こうした取り組みを診療報酬でも評価し、将来的には「急性期病棟において、リハビリ専門職配置を義務化(施設基準化)」してはどうか―。

日本慢性期医療協会の武久洋三会長は、1月9日に開催した2020年初の記者会見でこういった考えを示しました。

1月9日に、2020年初の記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長

急性期の段階から効果的なリハビリを行うことが、要介護状態の防止につながる

武久会長は、かねてより「急性期病棟においても患者の高齢化が進み、看護師の担う業務の相当部分が『介護・介助』となっている実態がある。病棟へ『介護福祉士』配置を義務化し、看護師は看護師資格を保有していなければ実施できない高度な業務に特化し、介護・介助業務は介護福祉士が担うべき」との考えを提唱しています(言わば「基準介護」、関連記事はこちら)。

さらにリハビリについて、▼急性期病院で十分なリハビリ(1日9-15単位、つまり3-5時間)が行われていないケースがある▼急性期治療において十分な栄養管理・水分補給が行われていない▼診療報酬の規定により、例えば脳卒中発症から1か月目でも、6か月目でも、同じ1日9単位のリハビリとなっている▼一律に自立歩行復帰が目標とされている―などといった問題点があることも指摘(関連記事はこちら)。

急性期の段階で十分なリハビリを実施されないために関節拘縮や廃用が生じてしまい、回復期リハビリ病棟等に転院・転棟してからリハビリを行っても効果が十分に現れず、これが要介護者の増加につながっているとも武久会長は強調しています。

武久会長は、こうした状況を放置することは許されないとし、今般「基準介護」のさらに先を見据え、「基準リハビリテーション」の導入を提唱しました。急性期病棟にもリハビリ専門職を配置し、可能な限り早期からのリハビリ実施を目指すものです。最終的には「リハビリ専門職配置の義務化」が望ましいと武久会長は考えていますが、「まずリハビリ専門職を配置し、リハビリの効果を上げている病棟の評価かから行ってはどうか」との考えも示しました。

さらに、そこでは必ずしも疾患別リハビリのように「1単位20分」・「患者とリハビリ専門職が1対1」で行われるリハビリのみでなく、「リハビリ専門職が1人の患者に対するリハビリ提供時間も自由に定め、1対1のみならず、『看護職・介護職と協力して行うリハビリ』『集団リハビリ』なども含めた、患者の状態に応じた柔軟なリハビリ提供を可能とする」とともに、「リハビリの効果」(例えばFIM利得20点以上)を診療報酬で評価することを想定。

リハビリのプロセスでなく、「アウトカム」に着目した評価を行うことで、▼各病院が創意工夫を行い効果の高いと思われるリハビリを提供する→▼実際に効果の高いリハビリを行う病院の評判が高まり、患者が集まる→▼病院の経営が安定する→▼より質の高いスタッフを集められる→▼よりリハビリの質が高まる―といった正のスパイラスが生まれると期待できます。

さらに、効果的で質の高いリハビリの提供により、「在院日数の短縮」や「要介護者の減少」といった効果も期待できます。近い将来の診療報酬改定において、こういった考えが議論される可能性も少なくないでしょう。

現在、リハビリ専門職が指導等を行い、ADLの維持・向上の成果が出た急性期病棟(急性期一般病棟等)を評価する【ADL維持向上等体制加算】(1日につき80点、入院から14日まで)が設けられていますが、より正面から「急性期病棟のリハビリ提供体制と成果を評価する」仕組みの創設を武久会長は提唱しています。

FIMの不正操作防止、リハビリの質向上のため「動画撮影」を提唱

リハビリの効果については2016年度診療報酬改定から「リハビリテーション実績指数」を用いた評価が行われています。効果の低いリハビリを漫然と提供している回復期リハビリテーション病棟が一部に存在することが分かり、▼リハビリテーション実績指数が低い(効果の低いリハビリを漫然と提供している)回復期リハビリテーション病棟においては、疾患別リハビリテーション料を事実上減算(6単位を超えるリハビリを包括評価)する(2016年度改定で導入)▼リハビリテーション実績指数に応じて入院料を区分する(2018年度改定で導入)―ものです。

この点、厚生労働省が中医協総会等に提出した資料からは、「一部の回復期リハビリテーション病棟において、リハビリテーション実績指数計算のベースとなるFIM(ADLの状況を評価する指標)を操作している可能性がある」ことが分かり、2020年度の次期診療報酬改定に向けて「入棟時等のADL評価(FIM)結果を患者に説明することなどを要件化し、適正性を確保する」方向で検討が進められています。



この点について武久会長は、「自院に有利なように医療保険(診療報酬も含めて)を勝手に左右することは許されない」「厚労省側と医療提供側に信頼関係がなければ、良い制度にはならない」と強調し、「不正なFIM操作」が行われているとすれば、極めて遺憾であり、是正しなければならないとの考えを示しました。

さらに武久会長は、FIMの不正操作を避けるために「入棟時や退棟時、1か月ごとに患者のADLの状態を動画撮影する」ことも提案しました。武久会長は、自身が経営する病院でも「患者のADLの動画撮影」を行っており、この動画を活用したカンファレンスを実施して、リハビリ提供内容を工夫など、臨床上も極めて有用な効果が出ていると紹介しています。

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