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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

他院の看護師へも「特定行為研修」を提供する病院への財政補助を―日看協

2019.5.13.(月)

 「特定行為に係る研修」を実施する指定研修機関(病院)の整備が進められているが、「自施設以外の看護師」の受入れが芳しくない。こうした他院の看護師を受け入れる指定研修施設への財政補助等を検討すべきである。また、医師の指示を受けずに自身の判断で一定の医行為を実施できる「ナース・プラクティショナー」創設に向けた検討を始めるべきである―。

 日本看護協会は4月26日に、厚生労働省医政局の吉田学局長に宛てて、こういった内容を盛り込んだ2020 年度予算・政策に関する要望書を提出しました(日看協のサイトはこちら)。

医師の指示を待たずに医行為を実施できる「ナース・プラクティショナー」資格を検討せよ

 今般の日看協の要望は次の10項目で、多岐にわたります。
(1)看護師基礎教育の4年制化の実現
(2)訪問看護提供体制の推進(「訪問看護推進総合計画」の策定)
(3)ナース・プラクティショナー制度に関する検討の場の設置
(4)看護師等の人材確保の促進に関する法律および基本指針の改正
(5)准看護師制度に関する課題解決
(6)「特定行為に係る看護師の研修制度」の活用推進について
(7)看護職確保が困難な施設の確保推進に向けたナースセンターの機能強化
(8)看護職の確保・質向上のための資格管理体制の構築に向けた検討
(9)看護職の業務の効率化の取組みの推進
(10)安全・安心な出産環境の確保

 
 このうち(6)の「特定行為に係る看護師の研修」は、医師・歯科医師の包括的指示の下で、手順書(プロトコル)に基づいて38の診療上の補助(特定行為)を実施することが認められる看護師を養成する制度です。

 厚生労働省は、「2025年度までに研修修了者を10万人とする」との目標を打ち立てており、病院団体等も研修実施に積極的になってきましたが(関連記事はこちらこちら)、研修修了者数は昨年(2018年)9月末時点で1205人、指定研修施設は今年(2019年)2月時点で39都道府県113機関にとどまっています(関連記事はこちら)。

 また、▼指定研修機関において「自施設以外の看護師受入れ」が芳しくない▼訪問看護ステーション看護師や介護施設看護師の研修受講が著しく少ない(代替職員が確保できない)▼研修修了者の活躍の場が必ずしも明確でない▼指定研修施設間で研修内容にバラつきがある―といった課題も指摘されています。

 こうしたことから日看協では、2020年度において▼「地域の看護職の受講」(自施設以外)を受け入れる指定研修機関への財政措置▼訪問看護事業所、介護施設等に勤務する看護師の研修受講のための代替職員確保▼「研修修了後に円滑に活動するための体制」整備についての周知▼研修内容の標準化―を行うよう求めています。

2020年度からは研修プログラムについて、▼「在宅・慢性期領域」「外科術後病棟管理領域」「術中麻酔管理領域」の3領域において特定行為研修をパッケージ化する▼研修科目を精査し、研修の質を担保しながら、研修時間の短縮を行う―こととなっており、例えば「研修内容の標準化」などが、プログラム見直しの中で担保されることが期待されます(関連記事はこちら)。

 
 こうした「特定行為研修を修了した看護師」は、医師の働き方改革の中で「タスク・シフティング候補」として注目されています。さらに「医師の働き方改革に関する検討会」などで強く要望された新資格として(3)の「ナース・プラクティショナー」があげられます。

 米国等におけるナース・プラクティショナー(NP)は、「特定行為研修を修了した看護師」と異なり、医師等の指示を受けずに、独自の判断で一定の医行為を実施することが認められています。NPを導入している諸外国では、▼重症化予防▼患者の満足度向上▼医療への待ち時間減少―などの効果が得られ、「悪影響は見られない」との調査研究結果もあります。こうした状況に鑑み、「医師の働き方改革に関する検討会」でも、「NP創設を検討する」ことそのものへの反対意見は出ていません(「別に検討の場を設けるべき」とされた)が、▼教育課程をどう考えるのか▼医療事故等が生じた場合の責任をどう考えるのか▼保健師助産師看護師法などの法体系をどう見直すか―など、さまざまな検討課題があることも明らかとなっています。新職種の誕生に向けた議論となり、厚労省がどのような検討の場を設けるのか注目されます(関連記事はこちら)。
日看協要望(医政局あて) 190426の図表

 
 また(2)の訪問看護推進総合計画では、▼看護職員数等の目標値と戦略の策定(都道府県医療計画への記載も必要)▼訪問看護ステーションの大規模化推進(地域医療介護総合確保基金等による支援も必要)▼病院からの訪問看護の推進▼研修の緊急かつ大幅な増加▼人材確保が困難な地域や訪問看護業務にかかる移動が非効率な地域における看護提供体制の充実・強化―などを盛り込むよう求めています。

 
 
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看護必要度、2018年度に拙速な改変せず、中長期に在り方論議を―日病・全日病・日看協

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措置入院患者への効果的な退院支援の推進と、精神保健福祉担当する自治体保健師の確保を—日看協
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看護職員の夜勤実態などを把握した上で、「深夜労働の回数上限」などを設定せよ―日看協が来年度予算で要望
看護師の教育年限を4年に延長し、特定行為研修を推進し、より質の高い看護の実現を―日看協が要望
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看護師の行う特定行為「気管挿管」「抜管」を除く38行為に―15年10月から研修開始、医道審部会
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