Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 病院ダッシュボードχ zero

「内科専門医」と「総合診療専門医」のダブルボード取得を推進―日本専門医機構

2020.6.23.(火)

内科基本領域の新専門医資格を取得した医師が、併せて総合診療領域の新専門医資格を取得しようとする際には、改めてすべての過程・症例を学び・症例を経験する必要はなく、救急医療の一部や小児医療の一部などを履修すれば、総合診療専門医の資格取得を可能とする―。

日本専門医機構の寺本民生理事長は6月22日の定例記者会見で、こういった点を明確にしました。記者会見は新型コロナウイルス感染防止のため、前月に続いて「WEB会見」形式で実施されています(関連記事はこちらこちら)。

ダブルボードによる総合診療専門医の資格取得促進を目指す

新たな専門医制度では、「質の担保」と「国民への分かりやすさ」を重要な柱に据え、各学会と日本専門医機構が協働して養成プログラムを作成し、統一的な基準で認定する仕組みとして2018年度からスタートしました。

新専門医制度は、「基本領域」(19領域)と「サブスペシャリティ領域」の2層構造となっており、「基本領域のみの専門医資格を取得する」ことも、「基本領域とサブスペシャリティ領域の専門医資格を取得する」ことも可能です。

【基本領域】(1)内科(2)外科(3)小児科(4)産婦人科(5)精神科(6)皮膚科(7)眼科(8)耳鼻咽喉科(9)泌尿器科(10)整形外科(11)脳神経外科(12)形成外科(13)救急科(14)麻酔科(15)放射線科(16)リハビリテーション科(17)病理(18)臨床検査(19)総合診療—の19領域

この点、例えば内科専門医を取得後に、総合診療専門医の資格取得を目指す医師も少なくないと考えられます(ダブルボード)。より広範な知識・技術を身に着けることで、患者を「全人的に診る」ことが可能となり、国民もその恩恵に預かることができます。また、医師の確保が困難な地方では、こうしたダブルボードの専門医がいれば、少ない医師で効果的・効率的な地域医療提供が可能となります。

ただし、内科の専門医資格を取得した後に、総合診療の専門研修を1から受なければならないとなれば、ダブルボード専門医の養成には、極めて長い時間がかかってしまいます。そこで、内科基本領域を所管する日本内科学会と総合診療領域を所管する日本専門医機構では、「課程が重複する部分については、総合診療領域においても履修・経験済であると認めてはどうか」という視点での協議を行い、今般、概ねの合意が得られたことが寺本理事長から明らかにされました。

内科の新専門医資格取得者が、内科基本領域で学べなかった「救急科領域の一部」や「小児科領域の一部」などを履修することで、総合診療専門医の資格を得ることを可能とするものです。寺本理事長は「内科専門医取得後、1年程度で総合診療専門医の資格も得られるのではないか」と見通しています。

逆に、総合診療専門医の資格取得者についても、経験症例を日本内科学会の専攻医登録評価システム「J-OSLER」に適切に登録することで、「内科基本領域での経験症例」としてカウントされ、必要な履修を行うことで内科専門医の資格取得が可能となります。

総合診療専門医を目指す専攻医の登録数が伸び悩んでいます(2020年度は内科領域が2922名の採用をしているのに対し、総合診療領域では222名にとどまる)が、今般の新たな仕組みによってダブルボード取得者が増え、総合診療専門医の養成が促進されるのではないかと考えられます。

新専門医を目指す専攻医の採用数(医師専門研修部会資料)



また、他の基本領域(例えば整形外科科領域とリハビリテーション科領域など)でもダブルボードに関する検討・協議されると思われますが、寺本理事長は「慌てる必要はない。内科と総合診療でも昨夏(2019年夏)から慎重に議論を進めてきており、ようやく合意を得られた。きちんとした制度設計を行う必要がある」とコメントしています。

新型コロナの中でも「新専門医の質確保」を目指す

ところで、新型コロナウイルス感染症が、新専門医研修にも影響を及ぼしています。各病院において、新型コロナウイルス感染症対応に重点化するために「予定入院・予定手術の延期」が行われ、必要な症例経験が滞ってしまっているのです。

この点、寺本理事長は「専門医の質確保」と「新型コロナウイルス感染症対応」とを両立するために、次のような対応方針をとることを明確にしています(機構のサイトはこちら)。

▼専門医制度整備指針で「最大6か月までは研修期間の中断」が認められており、これをまず適用する

▼症例数については、「症例数取得期間を延ばす」などの対応が考えられ、各学会で柔軟な対応を検討する

▼医療倫理・医療安全・感染対策の受講について、「新型コロナウイルス感染症患者の対応にあたった場合は受講を免除する(新型コロナ対応で『医療安全や感染対策を十分に学んだ』と見做す)」「機構の共通講習e-learningを活用する」などの対応をとる

▼移動制限などで通常のローテーションが行えない場合にも、各学会で柔軟な対応を検討し、日本専門医機構に報告してもらう

▼認定症例数などが不十分でも、通常通り専門医資格認定試験を行い、後に「認定症例数などを満了する」ことで、遡及認定する。なお、試験についてはCBT(computer based testing)などによるWEBでの実施方法を各学会で検討する



なお、日本専門医機構の現執行部は、近く任期満了を迎えます(6月30日の提示総会で理事改選)。最後の定例記者会見で寺本理事長は、この2年間を振り返り「就任当初は大変な状況であったが、第三者機関の指摘もいただき、現執行部で財政、ガバナンス、セキュリティなどの様々な問題に対応してきた。新専門医制度は新たな仕組み(2018年度から全面スタート)であり、安定するまでには一定の時間がかかり、少なくとも3年の研修を終え、来年(2021年)の試験を経なければ、全体の評価は難しいが、何とか軌道に乗ってきていると考えられる」とコメントしています。

病院ダッシュボードχ zeroMW_GHC_logo

【関連記事】

新型コロナの影響踏まえて新専門医制度を柔軟対応、「研究者養成枠」設置も検討―日本専門医機構
新専門医資格の取得目指す専攻医、積極的に新型コロナウイルス感染症の治療に携わってほしい―日本専門医機構
新専門医資格の取得目指す専攻医、積極的に新型コロナウイルス感染症の治療に携わってほしい―日本専門医機構
新専門医、2021年度採用の専攻医数シーリング案を日本専門医機構固める―医師専門研修部会
新専門医制度、循環器内科や呼吸器内科などのサブスぺ領域で「連動研修」認める―医師専門研修部会
新専門医制度、ハラスメント対策等のルールを6月にも策定―日本専門医機構

2021年度からの専攻医採用シーリング、2020年3月頃に決定へ―日本専門医機構
医療水準向上を目指した研究医養成等も2021年度新専門医養成数に反映させるべき―日本専門医機構
新専門医制度、基本領域の見直しは現時点では不可能、異なる視点でのサブスぺ論議に期待―日本専門医機構

新専門医制度の議論迷走、「機構認定済」の23サブスぺ領域に依然、許可下りず―医師専門研修部会
新専門医制度、2020年度の専攻医シーリング決定し10月15日から専攻医募集開始―日本専門医機構
新専門医制度、「地域医療確保に不可欠な地域枠医師等」はシーリングの別枠に―医師専門研修部会
新専門医シーリングの基礎となる「都道府県・診療科別の必要医師数」、年内に改善要望―日本専門医機構
「都道府県別・診療科別の必要医師数」、2020年早々までに日本専門医機構や基本領域学会等の協議会で検証
新専門医制度の新シーリング、2021年度実施までにコンセプト固めたい―日本専門医機構
専門医制度、「専門医の質確保」(高度な研修)と「地域医療の確保」は両立可能―医師専門研修部会(2)
新専門医制度の専攻医、2020年度から都道府県別・診療科別必要医師数踏まえたシーリング設定―医師専門研修部会(1)
診療科別の必要医師数踏まえ、2020年度以降の専攻医シーリングを設定―日本専門医機構
新専門医制度の採用枠、新たに診療科別・都道府県別の必要医師数をベースに考えてはどうか―医師専門研修部会(2)
内科・外科の連動研修の4月スタート見送り、ただし単位の遡及認定等で専攻医の不利益を回避―医師専門研修部会(1)
消化器内視鏡など23学会・領域のサブスペ認定に理解を求める、専攻医は安心して連動研修実施を―日本専門医機構
消化器内視鏡や老年病、新専門医制度のサブスペシャリティ領域認証に「待った」―医師専門研修部会
新専門医制度、プログラム制の研修にも関わらず2・3年目の勤務地「未定」が散見される―医師専門研修部会
新専門医制度、「シーリングの遵守」「迅速な情報提供」「カリキュラム制の整備」など徹底せよ―医師専門研修部会
新専門医制度、2019年度の専攻医登録を控えて「医師専門研修部会」議論開始

90学会・領域がサブスペシャリティ領域を希望、2019年9月には全体像固まる見込み―日本専門医機構
カリキュラム制での新専門医研修、必要な単位数と経験症例を基本領域学会で設定―日本専門医機構
新専門医制度、サブスペシャリティ領域は事前審査・本審査を経て2019年9月に認証―日本専門医機構
2019年度からの新専門医目指す専攻医の登録は順調、1次登録は11月21日まで―日本専門医機構
新専門医制度、2019年4月から研修始める「専攻医」募集を正式スタート―日本専門医機構
東京都における2019年度の専攻医定員、外科など除き5%削減を決定―日本専門医機構
2019年度新専門医研修、「東京のみ」「東京・神奈川のみ」で完結する研修プログラムの定員を削減―日本専門医機構
2019年度、東京都の専攻医定員数は2018年度から5%削減―日本専門医機構
日本専門医機構、新理事長に帝京大の寺本民生・臨床研究センター長が就任
がん薬物療法専門医、サブスペシャリティ領域として認める―日本専門医機構
2019年度の専攻医登録に向け、大阪や神奈川県の状況、診療科別の状況などを詳細分析―日本専門医機構
東京の専攻医、1年目に207名、2年目に394名、4年目に483名が地方勤務―日本専門医機構
新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構

新専門医制度によって医師の都市部集中が「増悪」しているのか―医師養成と地域医療検討会
新専門医制度、偏在対策の効果検証せよ―医師養成と地域医療検討会
医学生が指導医の下で行える医行為、医学の進歩など踏まえて2017年度に再整理―医師養成と地域医療検討会

新専門医制度、専門研修中の医師の勤務地を把握できる仕組みに―日本専門医機構
地域医療構想調整会議での議論「加速化」させよ―厚労省・武田医政局長
新専門医制度で医師偏在が助長されている可能性、3県では外科専攻医が1名のみ—全自病
新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協

新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構
新専門医制度、現時点で医師偏在は助長されていない―日本専門医機構

新専門医制度のサブスペシャリティ領域、国民目線に立ち「抑制的」に認証すべき―四病協

新専門医制度、専攻医の1次登録は10月10から11月15日まで—日本専門医機構
新専門医制度、都道府県協議会・厚労省・検討会で地域医療への影響を監視—医師養成と地域医療検討会
新専門医制度、地域医療への影響を厚労省が確認し、問題あれば対応—塩崎厚労相
2018年度からの新専門医制度に備え、10月から専攻医の仮登録—日本専門医機構
新専門医研修プログラム、都道府県協議会で地域医療を確保する内容となっているか確認―厚労省
専門医機構、地域医療への配慮について「必ず」都道府県協議会の求めに応じよ—厚労省検討会
新整備指針の見直し、総合診療専門医の研修プログラム整備基準を決定—日本専門医機構
専門医整備指針、女性医師に配慮した柔軟な対応などを6月2日の理事会で明記—厚労省検討会
地域医療へ配慮し、国民に分かりやすい専門医制度を目指す—日本専門医機構がQ&A
専門医取得が義務でないことやカリキュラム制の設置、新整備指針の中で対応—日本専門医機構
新専門医制度、整備指針を再度見直し「専門医取得は義務でない」ことなど明記へ―厚労省検討会

新専門医制度、見直しで何が変わったのか、地域医療にどう配慮するのかを分かりやすく示す―日本専門医機構
必要な標準治療を集中的に学ぶため、初の基本領域での研修は「プログラム制」が原則―日本専門医機構
新専門医制度、東京・神奈川・愛知・大阪・福岡では、専攻医上限を過去3年平均に制限―日本専門医機構
専門医制度新整備指針、基本理念に「地域医療への十分な配慮」盛り込む―日本専門医機構
地域医療に配慮した、専門医制度の「新整備指針」案を大筋で了承―日本専門医機構
消化器内科や呼吸器外科など、基本領域とサブスペ領域が連動した研修プログラムに―日本専門医機構
総合診療専門医、2017年度は「日本専門医機構のプログラム」での募集は行わず
新専門医制度、18基本領域について地域医療への配慮状況を9月上旬までにチェック―日本専門医機構
【速報】専門医、来年はできるだけ既存プログラムで運用、新プログラムは2018年目途に一斉スタート―日本専門医機構
新専門医制度、学会が責任もって養成プログラムを作成、機構が各学会をサポート―日本専門医機構
【速報】新専門医制度、7月20日に「検討の場」、25日の総会で一定の方向示す見込み―日本専門医機構
新専門医制度、各学会がそろって同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい―日本専門医機構・吉村新理事長
【速報】新専門医制度、日本専門医機構の吉村新理事長「7月中に方向性示す」考え

新専門医制度で地域の医師偏在が進まないよう、専門医機構・都道府県・国の3層構造で調整・是正―専門医の在り方専門委員会
新専門医制度、懸念払しょくに向けて十分な議論が必要―社保審・医療部会



新専門医シーリング、我が国の医学研究力を維持・向上するため「教育・研究」実態も勘案せよ―日本学術会議