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現在の病院食は「リハビリでのカロリー消費」など考慮せず!入院時食事療養費引き上げで適切な食事提供可能とせよ—日慢協・橋本会長

2023.5.19.(金)

リハビリの効果を高め、在宅復帰を目指すためには「十分なカロリー摂取」が必要であり、「病院基準食の引き上げ」「調理の工夫」などが求められる—。

しかし、病院の給食部門は従前より赤字であり、昨今の物価・光熱水費・人件費の高騰も重なり、「増量」「工夫」などを行えない。25年間据え置かれている「入院時食事療養費の引き上げ」などが必要不可欠である—。

日本慢性期医療協会の橋本康子会長が5月18日に定例記者会見を開き、こうした提言を行いました。

食事の工夫を使用にも、病院の給食部門は大赤字、診療報酬等による支援を

日慢協ではかねてから「寝たきり防止のために、身体機能が落ち切るまえに適切なリハビリ・栄養管理を行う」ことが極めて重要であると提唱しています(関連記事はこちら)。

このためには、例えば「急性期入院医療でのリハビリ力を強化する」「早期にリハビリ力を強化した病院に転院などする」ことのほか、「急性期から慢性期を通じて十分な栄養管理を行う」ことが求められます。

このうち「栄養管理」に注目すると次のような大きな問題があると橋本会長は指摘します。

▽高齢者(60最大男性平均)のBMI(体重÷身長の2乗、25以上を肥満・18.5以上25未満が普通・18.5未満が低体重)を見ると、急性期入院前は「24」であるが、急性期治療を終え、回復期に転院する際には「21.6」に下がる。その後回復期でリハビリを終えると、なんと「21.2」に下がってしまっている(回復期入院中に体重減少)

▽体重減少の背景には、次の2つの要因がある
▼病院給食の「基準栄養量」が不足している(リハビリによる消費カロリー、入院前への体重回復分に必要なカロリーが考慮されていない)
▼「おいしくない」などの理由で全量を食べられない

現在の病院基準食には「リハビリによるカロリー消費」などが考慮されていない(日慢協会見1 230518)



「カロリー不足による体重減」は「筋肉量の減少」にもつながり、当然、リハビリの効果にも悪影響を及ぼします。

このため、「給食の改善」を行うことが求められ、橋本会長の経営する千里リハビリテーション病院での「食事の改善(リハビリで消費されるカロリー部分の補填など)により、入院中の体重減少を抑えることができた」との結果も紹介されています。

食事量・内容の改善で「入院中の体重減少」を抑えることができる(日慢協会見2 230518)



しかし、「給食の改善」を行う余裕が病院にはありません。▼入院時食事療養費が25年前から引き上げれられておらず、物価や人件費の水準高騰により、病院の給食部門はそもそもが「赤字」である▼昨今の物価高騰・光熱水費の急騰・人件費水準のアップにより、赤字幅がとても大きくなっている—ことを橋本会長は指摘し、「リハビリの効果を高めるためにも、入院時食事療養費の適切な水準への引き上げが急務である」と強く訴えました。

入院時食事療養費は「25年間」据え置かれているため、食事改善を行いたくても実施できない(日慢協会見3 230518)

入院時食事療養費は「25年間」据え置かれている(日慢協会見4 230518)



なお、急性期入院医療においても「発熱時には消費カロリーが増える」ことなどを考慮した「食事の見直し」が必要であると橋本会長は付言しています。



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