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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

2020年度の社会保障費は5300億円増の要求可能、診療報酬で地域医療構想の実現目指せ

2019.8.1.(木)

 来年度(2020年度)予算案の編成に向けて、夏の概算要求時点では年金・医療等の社会保障関係費について2019年度当初予算から5300億円の増額要求を認める―。

 安倍晋三内閣は7月31日に、こうした内容を盛り込んだ2020年度予算の概算要求基準「令和2年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」を了解しました。今後、この基準に沿って各省庁で2020年度の要求内容を固め、8月末までに財務省へ概算要求を行うことになります(財務省のサイトはこちら(概算要求基準)こちら(概算要求基準骨子)こちら(概算要求基準のイメージ図)、経済・財政諮問会議のサイトはこちら(2020年度予算の全体像))。
2020年度予算概算要求基準 190731の図表
 

単なる社会保障費の削減でなく、例えばゲノム医療の初期投資資金を確保せよとの声も

 日本国憲法では、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない」(第83条)、「国費を支出し、又は国が債務を負担するには、国会の議決に基くことを必要とする」(第85条)、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」(第86条)と定めています。

 内閣による予算編成・国会による審議については、例年、次のようなスケジュールで進められます。
▼前年夏に概算要求基準を財務省が提示し、これに沿って各省庁が概算要求を行う
▼秋口から、財務省と各省庁との間で要求内容等について折衝を行う
▼12月初旬に、次年度の税制改正大綱を政府与党がとりまとめる(これにより、次年度における我が国の収入(歳入)が見通せる)
▼12月中下旬に、内閣が次年度予算案を固める
▼当年の1月に、内閣が国会に次年度予算案を上程し、国会で審議。4月から執行が始まる(3月までに成立しない場合には、いわば「つなぎ」として暫定予算が組まれる)

 
今般の「概算要求基準」は次年度予算(今般であれば2020年度予算)の基礎となるものです。年金・医療等の社会保障関係費については、今年度(2018年度)当初予算から「高齢化等に伴ういわゆる自然増として5300億円を加算した額」の範囲内において要求する、こととされました。今年度(2019年度)には前年度比「6000億円」増、昨年度(2018年度)には同じく「6300億円」増での要求が認められていましたが、来年度(2020年度)には高齢化のスピードが鈍化することを踏まえた数字となっています(関連記事はこちら)。

また、この増加額については、「これまでと同様、経済再生やこれまでの改革等の効果を引き続き適切に見込むとともに、年金・医療等に係る経費について、『経済・財政再生計画 改革工程表』に沿って着実に改革を実行していくことを含め、合理化・効率化に最大限取り組み、『新経済・財政再生計画』で示された『社会保障関係費については、経済・財政再生計画において、2020年度に向けてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること、経済・物価動向等を踏まえ、2019年度以降、その方針を2021年度まで継続する』との考え方を踏まえつつ、その結果を2020年度予算に反映させる」との考えも示されました。端的に「5300億円を増加した要求を夏時点では認めるが、さらなる合理化・効率化を進めよ」という指示と言え、12月の予算案時点では「更なる圧縮」が求められるものと予想されます。

2020年度には診療報酬改定が控えており、改定率がどのように設定されるのか、どのような改定内容が盛り込まれるのか、今後の動きに要注目です。

 
また、概算要求基準について議論した経済・財政諮問会議では、「将来の安心感を与える社会保障改革等の推進」として、▼消費拡大に向けて、社会保障制度の持続可能性の確保を含め、若年層・中年層に対し将来の安心感を与える社会保障改革を着実に推進していく▼特に、社会保障サービスの徹底した効率化を進めるとともに、予防・健康づくりや生活習慣病等の重症化予防、認知症予防などに重点化していく▼2025年度の財政健全化目標の達成に向け、新経済・財政再生計画に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進する―ことを強調。

具体的な社会保障改革として、▼病床のダウンサイジング支援▼診療報酬の大胆な見直しによる病床機能の転換▼医薬品産業の高い創薬力を持つ産業構造への転換▼薬価制度の抜本改革▼調剤報酬の適正な評価―などを掲げ、「診療報酬も活用した地域医療構想の実現」を明確に求めています。今後の中医協論議にどう影響を与えるのか注目する必要があるでしょう(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

 もっとも経済財政諮問会議では、「単なる社会保障費の削減」を求めるものではなく、「将来の効率化に向けた投資は積極的に行うべき」との考えが示されているようです。その代表例の1つとして「ゲノム医療」があげられます。

 ゲノム(遺伝情報)解析技術が急速に進み、「Aという遺伝子変異の生じているがん患者にはαという抗がん剤投与が効果的である、Bという遺伝子変異のある患者にはβとγという抗がん剤の併用投与が効果的である」などといった情報が明らかになってきています。こうしたゲノム情報に基づいた治療法(ゲノム医療)が普及すれば、個々のがん患者に対し「効果の低い治療法を避け、効果の高い、最適な治療法を優先的に実施する」ことが可能となります。これは患者の経済的負担の軽減はもちろん、「医療費の効率的使用」にもつながります(効果の低い医薬品選択等を避けることができる)(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。

しかし、当然、ゲノム医療を推進するには、少なからぬ額の「初期投資」が必要になります。経済・財政諮問会議では「こうした投資のための財政資金をしっかりと確保することが必要で、それを確保するための改革をやっていかなければいけない」という指摘がなされています。

 
 なお、「東日本大震災からの復興」などを除く「その他の経費」については前年度予算からの10%削減を求め、その分を成長戦略などに盛り込まれた施策に対応する「新しい日本のための優先課題推進枠」に振り向け、「削減額の3倍」までの範囲で要求することを可能としています。まさに「メリハリをつけよ」との指示と言え、その要求に当たって各省庁には「歳出改革の効果に関する定量的試算・エビデンスを明らかにする」ことが求められます。

   
 
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