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GemMed塾 ミニウェビナー DPC委員会のありかたとは?

患者の生命等の保護、感染拡大防止の必要性ある場合、新型コロナ患者の同意を得ずに個人情報を医療機関間等で共有可―厚労省、個情委

2020.4.29.(水)

新型コロナウイルスの治療で患者を転院させる際、「患者が意識不明で、個人情報提供への患者同意が取得できないが、迅速な医療提供のために必要と判断される」場合や、「濃厚接触者等を迅速に把握し、感染拡大防止を図る必要がある」場合などには、個人情報提供に関する患者の同意取得は不要である―。

厚生労働省は4月28日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る医療機関間での個人情報の共有の際の個人情報保護法の取扱いについて」(厚労省のサイトはこちら(事務連絡本文)こちら(具体例))、および「新型コロナウイルス感染症に係る保健所から医療機関への個人情報の共有の際の取扱いについて」(厚労省のサイトはこちら)を示し、こうした点を明らかにしました。

治療のため「過去の医療提供内容」等を照会する時にも、「患者同意」不要なケースも

新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、感染患者に適切かつ迅速に医療提供を行う必要があります。その際、患者の情報を転院先医療機関に提供するにあたって「患者の同意」を必ず得なければならないのだろうか、という問題が生じています。

例えば、A医療機関に入院している患者Xについて、十分な医療提供(集中治療など)が行える別のB医療機関への搬送が必要になったとします。この場合、適切な医療提供を行うためには、患者Xの情報(基礎情報や治療経過など)をA医療機関からB医療機関へ提供することが必要ですが、その際には原則として「患者の同意」を得ることが必要となります。

ただし、新型コロナウイルス感染症では急激に状態が変化することがあり、こうした同意取得原則を厳格に遵守した場合に手後れになってしまう可能性もあります。

そこで、政府の個人情報保護委員会と厚労省は、上記のようなケースについて次のような整理を行ったものです。一般的に、「院内掲示等で個人情報の利用目的を示し、患者からの留保の意思表示がない場合には、『黙示の同意』ありとして、医療機関から必要な患者情報(個人情報)を提供してよい」こととなり、さらに「患者が意識不明で、医療提供が迅速に必要な場合」「感染拡大防止のため、濃厚接触者等の把握が急がれる場合」などには「同意が不要である」ことが明確化されています。

▽以下に示す「同意を得る必要が無い場合」を除き、転院元医療機関(上記例ではA)において、院内掲示等で個人情報の利用目的を明らかにし、患者から留保の意思表示がない場合には、「黙示の同意」が得られていると考えられ、必要な個人情報の提供が可能である。転院先医療機関(B)で、改めて本人の同意を得る必要はない(同意取得済情報の授受に該当)

▽同意取得は、「文書による方法」に限らず、「口頭、電話により同意を得て、診療録等に同意を得た旨を記録しておく方法」も認められる

▽例えば、次のような場合には、「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」、「公衆衛生の向上に特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき」に該当し、必要な個人情報(患者情報)の提供に際して、転院元・転院先ともに本人の同意を得る必要はない(患者が現に受診している医療機関から、下記のケースで患者の同意を得ることができないとして、当該患者の過去の個人情報の照会を受けた場合に必要な個人情報を提供する場合も含む)
患者が意識不明であるなど、本人の同意を得ることができず、本人への医療提供のために他医療機関等と必要な個人情報を共有したり、当該患者の家族等からの安否確認に対応する必要がある場合
▼新型コロナウイルス感染症患者への対応に当たって、「他の患者等への感染を防ぐための家族等濃厚接触者の迅速な把握」、「非常に多数の感染症患者が転院先へ一時に搬送された場合の家族等からの転院元への問合せに対する迅速な対応」、「患者本人への医療提供のために他の医療機関等と必要な個人情報(患者情報)を迅速に共有することが非常に重要であり、本人の同意を得るための作業を行うことが著しく不合理な場合」



また、新型コロナウイルス感染の有無を鑑別するために自宅待機となっている患者や、感染していても軽症・無症候のために自宅療養を行っている患者(基本は宿泊施設での療養だが、患者の希望で自宅療養も可能)などでは、保健所(地方自治体)が定期的な健康観察等のフォローアップを行います。

ただし、症状などから「入院治療が必要」となった場合には、当然、入院医療機関への搬送が行われますが、その際に「入院先に必要な個人情報を提供するために、当該患者の同意を得る必要があるか」という問題が生じます。

この点について厚労省は、「各地方自治体の個人情報保護条例の規定に従って運用する」ことを明確にしました。その際には、上述した「医療機関間における個人情報(患者情報)の共有」に関する考え方(医療提供が迅速に必要な場合」「感染拡大防止のため、濃厚接触者等の把握が急がれる場合」などには「同意が不要である」)も参照する必要があります。



個人情報の保護は極めて重要ですが、「患者の身体・生命の保護」「感染拡大防止という公衆衛生上の必要性」が、それを上回るケースがあります。



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