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GemMed塾 看護モニタリング

療養病棟の死亡退院率の高さは患者状態から見て必然、逆に半数は「軽快退院」している点の評価を―日慢協、武久会長・池端副会長

2021.9.14.(火)

療養病棟において「死亡退院率が高い」点を問題視する向きもあるが、施設基準(医療区分2・3患者割合)や患者の状態(高齢である)などを考慮すれば必然であり、そうした中で「半数程度の患者は軽快退院している」点の評価があってもよいくらいであるー。

また、療養病棟にも様々な機能があり、地域の医療・介護資源もさまざまである。全体の「死亡退院率」のみを見て、病院の在り方を議論することは好ましくない―。

日本慢性期医療協会の武久洋三会長と池端幸彦副会長は、9月9日の定例記者会見でこうした点を強調しました。

9月9日にオンラインの定例記者会見に臨んだ日本慢性期医療協会の武久洋三会長

療養病棟と一口に言っても、その機能は様々で、地域の医療資源も様々

Gem Medでお伝えしているとおり、2022年度の次期診療報酬改定に向けた議論が進められており、これまでに、中央社会保険医療協議会や入院医療分科会で次のような議論が行われています。

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その中で「療養病棟において死亡退院率が高く、また上昇している」点に問題視する意見が支払側委員から示されました。

療養病棟からの退棟策としては、やはり「死亡退院」が最も多い



療養病棟では、「重症度の高い(医療区分2・3)、高齢の患者を受け入れている」ことから、「死亡退院が多くなるのは当然ではないか」とも考えられます。一方、「療養病棟での死亡退院が多さは、ターミナルケア目的での入院施設となっているからではないか。そうした役割は別の施設で担うべきではないか」との指摘もあります。

こうした状況の中で日慢協では、まず「実態を明らかにする」必要があると考え、会員病院を対象に「保有する機能(病棟が取得する入院料)と死亡退院率」を調査。504病院・8万3979床で、昨年(2020年)4月から今年(2021年)3月までに32万3878名が退院しています。

このうち死亡退院は5万289名で全体の死亡退院率は15.5%ですが、療養病棟入院基本料1の病棟に限れば「49.5%」、中でも療養病棟入院基本料1のみの病院では「60.0%」と死亡退院率は確かに高くなっています。

療養病棟でも死亡退院率は確かに高い(日慢協会見2 210909)



しかし、同じ療養病棟であっても死亡退院率は、極めてバラエティに富んでいることや、病棟構成もさまざまである(療養+一般、療養+地ケア、療養+一般+地ケアなど・・・)ことも改めて確認されました。

療養病棟でも死亡退院率には大きなバラつきがある(日慢協会見3 210909)



武久会長・池端副会長は、▼療養病床の死亡率には、地域内に在宅医療も含めたどのような医療資源が備わっているかも関わっている(例えば在宅医療・在宅介護が潤沢な地域では自宅退院が増え、療養病床での死亡が低い可能性がある)▼療養病床の中にも、「治療」「リハビリテーション」「慢性期救急対応」「ターミナル対応」など様々なタイプがある(決して療養病棟はターミナルケア施設ではない)―ことを指摘し、「死亡退院率だけを見て病院のあり方を議論することはできない」と訴えました。

ところで、療養病棟入院基本料1では「医療区分2・3の患者割合が8割以上」、療養病棟入院基本料2では「同じく5割以上」という施設基準が定められており、入院患者の平均年齢が80歳を超える中では、「療養病棟の死亡退院率は高くなる」ことは必然的です。武久会長は「逆に考えれば、そうした中で半分の患者は軽快退院していると見ることもできる。その点は、逆に高く評価してもらってもよいのではないか」ともコメントしています。



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