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新型コロナで自宅療養中の患者への薬剤配送、配送業者等の感染防止を確保し、また患者個人情報へ配慮を―厚労省

2020.5.1.(金)

新型コロナウイルスに感染した無症候・軽症の患者について「自宅療養」等が可能となるが、必要な薬剤を自宅療養患者に配送する際には、「配送業者等における感染防止策の確保」「患者が新型コロナウイルスに感染していることなどの個人情報への配慮」が極めて重要となることから、一定の配送ルールを設けることとする―。

厚生労働省は4月28日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いにおける自宅療養中の患者への薬剤の配送方法に係る留意事項について」を示し、こうした点に留意するよう薬局等に依頼しました(厚労省のサイトはこちら)。

薬剤配送業者への感染拡大を防止し、患者の個人情報を保護

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、▼新型コロナウイルス感染拡大の防止▼新型コロナウイルス感染症患者への十分な医療提供確保―を目指した診療報酬上の柔軟対応や特例が順次行われてきています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

前者については、「医療機関の直接受診による新型コロナウイルス感染」を防止するために、電話や情報通信機器等(以下、電話等)を用いた診療が特例的に大幅拡大されており、併せて「医療機関から薬局へファクシミリ等で処方箋情報を送付し、その情報に基づいて薬局で調剤を行う」「薬局から患者宅へ医薬品を配送する」「電話等で服薬指導等を行う」ことなどが明確に認められています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちらこちら)。

また、新型コロナウイルスに感染しても軽症・無症候である患者については、宿泊施設や自宅での療養が可能とされており(病床を重症者に集約化・重点化するため)、その際の健康管理として「電話や情報通信機器を用いた診療や服薬指導、医薬品の患者宅等への配送」などが非常に重要となってきます。ただし、その際に、薬局や配送業者等が「当該患者が新型コロナウイルス感染症の軽症者等として自宅療養中である」旨を知ってしまうことになるため、患者の同意および患者の個人情報保護の観点からの留意が必要となります。さらに、配送業者等への感染拡大防止策も重要なテーマとなります。

こうした点に鑑みて、今般、厚労省が「自宅療養中の患者への薬剤配送等に関する留意点」(言わば基本的なルール)を整理したものです。もっとも配送方法の選択・受け取り時の状況確認については「薬剤の品質の保持」「患者への確実な授与」を考慮して、薬局開設者・薬局薬剤師が適切に判断することが求められます。



まず、「薬局が自ら薬剤を配送(配送業者等を使用しない)する場合」「家族等が薬局に受け取りにくる場合」には、薬局が適切と考える方法で配送・受け渡しを行うことになります。その際、感染防止の観点から、患者・当該患者と濃厚接触の可能性のある家族等について、特別な事情がない限り「薬局での受け渡し」は行うべきではありません。



また、「薬局が配送業者等に薬剤の配送を依頼する場合」には、次のような考えに沿って、AまたはBの手順を選択することが必要です。ただし、いずれの手順をとる場合でも「薬剤の配送後すぐに受け取る必要がある」ことなどを患者に予め伝えておくことが求められます。

薬局では、あらかじめ、配送業者等に対し「自宅療養中の患者宅に配送を行う際に対応可能な配送方法の有無」「依頼時に必要な事項」等を確認しなければなりません。そのうえで、患者に配送物の投函場所・置き場所等の状況を確認した上で、「薬局が配送業者等に特別な指示等を行わなくとも、配送業者等が患者と直接接しない方法による配送」(例えば、郵便受け・宅配ボックスへの投函、指定した場所への「置き配」など)が可能な場合にはAの手順、そうでない場合にはBの手順で薬剤を配送することになります。

A【薬局が配送業者等に特別な指示等を行わなくとも、配送業者等が患者と直接接しない方法による配送が可能な場合】「常温保存可能な錠剤等を配送する場合」を想定しているが、「温度管理が必要な薬剤を一定期間の温度管理が可能な梱包により配送し、薬剤の品質を保持できると薬剤師が判断する場合」も含む)

(1)薬局は、「薬剤の配送先が自宅療養中の患者である」ことを伝えることなく、配送業者等に薬剤の配送を依頼する。薬剤の品質を保持し患者への確実な授与を行う観点から「配送状況が確認できる」配送方法を選択することが望ましい

(2)配送業者等は、選択された配送方法により配送する

(3)薬局は、患者に対し、「速やかに薬剤を受け取ったかどうか」「薬剤の品質等に関わる問題がないかどうか」(例えば、長い間屋外に置かれていなかったか、破損や数量などの不良がないか、など)を電話等で確認し、必要に応じて服薬指導を行う



B【配送業者等に特別な指示等を行わなければ、配送業者等が患者と直接接しない方法による配送が難しい場合】温度管理が必要な薬剤や郵便受け等に入らない大きさの薬剤を配送する場合を想定している)

この場合、薬局は、配送業者等に「インターフォンを通じた会話などで患者が自宅にいることを確認した上で、患者と直接接触しない方法により配送する」よう指示等することになります。

〇「薬剤の配送先が自宅療養中の患者である」ことを伝えなくとも配送が可能な場合

(1)薬局は、「薬剤の配送先が自宅療養中の患者である」ことを伝えることなく、配送業者等に薬剤の配送を依頼し、配送業者等は選択された配送方法により配送する

(2)薬局は、患者に対し「速やかに薬剤を受け取ったかどうか」「薬剤の品質等に問題がないかどうか」を電話等により確認し、必要に応じて服薬指導を行う



〇「薬剤の配送先が自宅療養中の患者である」ことを伝えなければ配送できない場合

(1)薬局は、利用する配送業者等について、患者の個人情報の管理体制(▼「自宅療養中の患者である」ことを知り得る者が必要最小限に限定されている▼必要な場合を除き、社の内外を含め、関係者以外の者が当該情報にアクセスできないこと▼配送終了後、速やかに患者の個人情報が消去されること―)が確保されていることを確認する

(2)薬局は、配送業者等に「配送先が自宅療養中の患者である」ことを伝えた上で配送を依頼する

(3)配送業者等は、社内の「備考欄への記載やシールの貼付等により、配送先が『自宅療養中の患者宅である』ことを関係者に把握させるためのルール」に基づいて、配送先が「自宅療養中の患者宅であること」を必要最小限の関係者のみに把握させ、選択された配送方法により配送する

(4)薬局は、患者に対し「速やかに薬剤を受け取ったかどうか」「薬剤の品質等に問題がないかどうか」を電話等により確認し、必要に応じて服薬指導を行う



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

 

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