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診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

小児の新型コロナ感染では「自宅療養」を基本とし、入院の場合は感染防止策を講じて保護者の付き添い検討を―小児科学会

2020.4.30.(木)

小児の新型コロナウイルス感染患者では、軽症者が多いことや、精神的な安定確保が必要なことなどを考慮し、「自宅療養を基本」とし、入院医療が必要な場合には、感染防止策等を講じたうえで「保護者の付き添い」を検討すべきである―。

日本小児科学会は4月23日に、こうした内容の「小児の新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制に関する見解―入院や付き添いの考え方も含めて―」を公表しました(小児科学会のサイトはこちら)。

小児診療を行う医療機関が主体となり、行政と連携して「小児の医療体制確保」を

新型コロナウイルスが依然として猛威を振るっており、小児が感染する事例も現れています。この点、小児の新型コロナウイルス感染患者に対する医療については、▼体制整備は遅れており、病床管理に苦慮する▼全面的な介助が必要なケースが多く、行動の抑制も困難であることから、医療従事者への感染リスクが高い―点が危惧されます。

その一方で小児科学会では、▼これまでの知見では、小児患者は比較的軽症である▼感染伝播のほとんどが保護者や同居家族からで、小児を発端とする「大規模な集団感染事例」は本邦では報告されていない―ことを紹介し、小児の新型コロナウイルス感染症に対する医療提供体制に関しては、成人と異なる、次のような考え方が必要であるとの見解を示しました。

(1)小児の軽症患者は原則として「自宅療養」を考慮する
(2)小児が入院した場合には、保護者の同室付き添いを考慮する
(3)小児の医療体制については、小児診療を行う医療機関が主体となり、行政と協調して対応する



まず(1)については、小児では軽症患者が多いこと、精神的に未成熟の部分が多いこと(親元を離れた入院では、精神的に不安定になりがちである)、医療従事者への感染リスク低減を図る必要があることなどを踏まえた見解と言え、「感染拡大防止を目的として入院した患者についても、速やかに自宅療養への移行が妥当」と小児科学会は指摘します。

もっとも重症化のリスクも考慮し、▼自宅療養の実施には、毎日電話再診などによる状態の確認を前提とする▼自宅に高齢者やハイリスク者(基礎疾患のある人など)が同居し、確実に距離を保って過ごすことができない場合では、担当医と保護者でよく相談する―ことを強調しています。

また、同居家族が新型コロナウイルス感染症に罹患し、小児にも感染が疑われる症状が出た場合には、次のような点への留意を求めています。
▽症状が軽症で、その後の同居家族以外の人との接触が避けられる場合は、検査診断は必ずしも必要ない
▽「発熱の持続」「呼吸器症状の悪化」などみられた場合は、速やかにかかりつけ医に電話で相談する



また、(2)では、重症化などにより「入院が必要になった小児」について、▼精神的な安定の確保▼医療従事者の負担軽減―などのために「保護者による付き添い」を考慮することを求めています。とりわけ、基礎疾患がある小児や乳幼児に関しては、保護者が病態を最も理解し、急変の徴候を早期に気付くことができるというメリットもあります。

もっとも、この場合、付き添いを行う保護者は「濃厚接触者」となることから、「同室での健康観察を行う」「検査結果にかかわらず食事を提供する」などの柔軟な対応が必要と小児科学会は強調します。



さらに、このような「小児特有の状況を踏まえた医療提供体制」を確保するために、(3)のように▼小児の医療体制については、小児診療を行う医療機関が主体となる▼保健所管轄を越え広域に連携して役割分担を決め、行政と協調して対応していく―ことが必要と小児科学会が訴えます。

具体的には、▼1次診療においては、院内感染を防止するために、地域医師会や小児科医会が中心となり、検体採取作業の集約化も検討する▼2次・3次医療圏においては、入院病床の調査を行い、特定の医療機関の負担が過大にならないように「最重症の新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関の設定」「酸素投与が必要な中等症の入院症例を分散して診療するための複数の医療機関の確保」「新型コロナウイルス感染症以外の重篤な基礎疾患のある患者を集約して診療する医療機関や医療的ケア児を受け入れることが可能な医療機関などの確保」を行ったうえで、役割分担を明確にする―ことが必要となります。



小児科学会では、これらを整理し、次のような考え方も明らかにしています。もちろん、状況は個々のケースでさまざまなことから、これらは「一般的な考え方」であり、状況に応じて柔軟に対応することが求められます。

【小児がPCR検査陽性となったが、無症候・軽症である】
▽保護者がPCR陰性

→保護者は感染防御策をとり、小児も保護者も「自宅療養」とする

▽保護者がPCR陽性だが、無症状・軽症
→小児も保護者も「自宅」あるいは「健康陽性者管理施設」(都道府県が確保した宿泊施設)などでの管理を行う

▽保護者がPCR陽性で中等症以上
→感染した保護者は入院し、小児については療育者の状況により入院か自宅療養を判断する



【小児がPCR検査陽性となり、中等症以上である】(単独入院が困難なケース)
▽保護者がPCR陰性

→保護者が感染防御策をとって付き添いの上で、小児が「入院する」ことを考慮する(保護者に感染リスクに関する同意を取得することが望ましい)

▽保護者がPCR陽性だが、無症状・軽症
→保護者が付き添いの上で小児が入院することを考慮する

▽保護者がPCR陽性で中等症以上
→感染した保護者と小児の療育者の状況により、保護者と同室か別室か判断して入院医療を提供する

なお、保護者が小児を介護できないほど重症で、代替養育者が不在の場合には、小児がどのような状態であっても危険な状況に陥らないように、関係者で検討する必要があります。

小児の新型コロナウイルス感染患者への医療提供に関する基本的な考え方(小児科学会見解 00423)



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