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新型コロナで医療施設等が逼迫する場合の「臨時の医療施設」、入院では【結核病棟入院基本料】を算定―厚労省

2020.5.6.(水)

新型コロナウイルス感染症の患者が急増し、地域の医療提供体制が逼迫する中では、例えばホテル等に医師や看護師等を配置するなどして「臨時の医療施設」を確保することが求められる―。

その際、基準を満たせば保険医療機関として指定することができ、その場合には、例えば入院基本料として【結核病棟入院基本料】(看護配置に応じて1日につき1654-806点)を算定するが、「臨時の医療施設」であることに鑑みた「柔軟な対応」を可能とする―。

厚生労働省は5月1日に事務連絡「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく臨時の医療施設の保険診療上の取扱い等について」を示し、こうした点を明確にしました(厚労省のサイトはこちら)。

「臨時の医療施設」を保険指定する場合、院内感染防止や医療安全確保策などの確保を

新型コロナウイルス感染患者の急増等によって地域の医療提供体制が極めて逼迫する事態が想定されます。その際、都道府県では「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の規定に基づいて「臨時の医療施設」を開設・設置することが求められます例えば「ホテル等に医療スタッフを配置し、臨時の医療施設とする」ケース、「体育館等にベッドを設置、医療スタッフを配置し、臨時の医療施設とする」ケース、「病院の駐車場等にプレハブの施設を急造し、そこにベッドを設置し、医療スタッフを配置する」ケースなど、さまざまな形態が考えられます。

こうした「臨時の医療施設」でも、必要な要件を満たせば保険医療機関としての指定も可能であり、その場合には、保険診療を実施し診療報酬(社会保険診療報酬)を算定することになります。この点については4月24日に開催された中央社会保険医療協議会・総会において、「臨時の医療施設」が算定する診療報酬の基本的な考え方を整理するとともに、「保険指定する際の、医療安全確保等に係る基準を明確化する」ことが委員から求められました(関連記事はこちら)。今般、こうした整理・意見を踏まえて事務連絡が示されたものです。

臨時の医療施設に係る診療報酬(中医協総会6 200424)



まず保険医療機関としての指定は、▼「臨時の医療施設」からの申請▼要件を満たしているからの審査―という流れで行われます。新型コロナウイルス感染症の流行期間のみの「臨時の医療施設」であること、「適正かつ安全な医療を提供するために医療法に規定する義務(施設・人員・構造設備基準、医療安全等)を行うことが可能であると認められること」などが必要です。

この点、中医協・総会で委員から求められた「医療安全確保等に係る基準」に関しては、少なくとも次のような取り組みを行わなければならない旨が明確にされました。ただし、その他の要件については、「臨時の医療施設」であることから「柔軟な対応」が可能となります。

院内感染防止対策については、▼職員等に対する手洗いの励行の徹底▼消毒液の設置―などの院内感染防止のため必要な措置

医療安全管理体制については、▼安全管理のための指針の整備▼医療事故等の院内報告体制の整備―

褥瘡対策については、▼日常生活の自立度が低い入院患者への危険因子の評価▼褥瘡に関する危険因子のある患者・既に褥瘡を有する患者への褥瘡対策の診療計画の作成・実施・評価―

栄養管理体制については、▼栄養管理手順の作成・実施(病院では、1名以上の管理栄養士配置が望ましく、これを満たさない場合は減算措置を適用)―



なお、「臨時の医療施設」に勤務する従事者は、派遣労働者や他医療機関からの応援スタッフなどでも良い(雇用形態や常勤・非常勤の別を問わない)とされていますが、「配置職員の勤務実態を把握し、記録しておく」ことが求められます。

「臨時の医療施設」が入院医療を提供する場合、結核病棟入院基本料を算定する

また臨時の施設においても、保険医療機関として指定された場合には「保険医療機関及び保険医療養担当規則」(療担規則)を遵守することが求められます。ただし、療担規則第11条の3に規定される「療養の給付に関する地方厚生局長等への報告」に関しては、事務負担を軽減するために不要とされています。

診療報酬については、次のように請求することが示されています。応急的な医療提供施設であることに鑑みた特例的な規定が設けられています。なお、電子請求でなく、書面で診療報酬を請求することが可能です。

●初診料
A000【初診料】の注2(紹介率の低い特定機能病院等において、通常288点のところを214点に減算する)、注2(紹介率の低い400床以上の病院において、通常288点のところを214点に減算する)、注4(医薬品の妥結率が低い200床以上の病院において、通常288点のところを214点に減算する)の規定は適用しない

●再診料
A001【再診料】の注2(医薬品の妥結率が低い200床以上の病院において、通常73点のところを54点に減算する)の規定は適用しない

●外来診療料
A002【外来診療料】の注2(紹介率の低い特定機能病院等において、通常74点のところを55点に減算する)、注2(紹介率の低い400床以上の病院において、通常74点のところを55点に減算する)、注4(医薬品の妥結率が低い病院において、通常74点のところを55点に減算する)の規定は適用しない

●入院料
▽入院基本料の算定については、A102【結核病棟入院基本料】を準用し、届出時の看護配置に応じた点数を算定する(1日につき、▼7対1:1654点▼10対1:1385点▼13対1:1165点▼15対1:998点▼18対1:854点▼20対1:806点)

▽看護配置については「常時満たす」必要はなく、原則として「暦月の延入院患者数を延日数で除して得た数(小数点以下切り上げ)に対し、当該月を平均して満たしていれば差し支えない」ものとし、月の途中から入院基本料を算定する場合は「入院基本料を算定した日から当該月の末日までの延入院患者数を延日数で除して得た数」を用いる

▽基本診療料の施設基準等に規定される、▼看護職員の7割以上(7対1から13対1)あるいは4割以上(15対1から20対1)が看護師であること▼一般病棟用の重症度、医療・看護必要度I(看護必要度評価票による)の基準を満たす患者割合が11%以上または同II(DPCのEF統合ファイルを持ちる)の基準を満たする患者割合が9%以上であること(7対1のみ)▼常勤医師配置が10対1以上であること▼病棟で患者の適切な服薬確保体制が整備されていること―との基準は満たしているものとみなす

▽A102【結核病棟入院基本料】の注3(感染症法に基づき適切な入退院が行われている患者以外では特別入院基本料を算定する)の規定は適用しない

▽入院料等の通則注7に規定する「入院診療計画等の基準」については、実情に応じて柔軟な対応とする

「要件審査を終えた月の診療分」についても当該基本診療料を算定できる(通常は特別入院基本料を算定するが、特例で当該入院基本料(結核病棟入院基本料)を算定できる)(3月2日付の「新型コロナウイルス感染症に係る診療報 酬上の臨時的な取扱いについて(その3)、関連記事はこちら

ホテル等を「臨時の医療施設」とする場合の留意点を整理

上述したように、「臨時の医療施設」としては、例えば「ホテル等に医療スタッフを配置し、臨時の医療施設とする」ケースが考えられます。新たに建物の建造する必要がないことなどから、応急的な医療施設確保として重要な選択肢となると思われますが、今般の事務連絡では次のような点に留意すべき旨が示されています。

▽診療報酬の算定に当たっては、上述のとおり、基本診療料の施設基準等を満たす必要がある

▽「入院医療を提供する施設」として診療報酬を請求するためには、最低限、次の点を整える必要がある(主なもの)。なお、医療法に規定される「医療の安全の確保」などの各種義務は当然に満たさなければならない(ただし第4章の「病院等の開設許可」「構造設備等に関する基準」は適用除外)

【病院の場合】
(1)人員配置基準

▽医師:保険医療機関としての届け出時点で「減算」基準に該当していない(最低3名(▼[入院患者数+外来患者数]/2.5≦52の場合には3名▼[入院患者数+外来患者数]/2.5>52の場合には、【[入院患者数+外来患者数]/2.5-52】/16+3名)
▽看護職員:20対1以上
▽夜勤:看護職員2名以上による夜勤(60床以下を標準とする1看護単位毎)

(2)提供するサービス
▽入院基本料には、通常必要とされる「療養環境の提供」「看護師等の確保」「医学管理の確保」等に要する費用が含まれており、これらが適切に実施されていること

(3)入院診療計画等の基準(上記のとおり柔軟な取り扱い等が認められている)
▽入院診療計画の策定、入院日から7日以内に患者に説明する
▽院内感染対策が行われている
▽医療安全管理体制が整備されている
▽褥瘡対策が行われている
▽栄養管理体制が整備されている

(4)療担規則を遵守している(上記参照)



【有床診療所】
(1)人員配置基準
▽診療所の管理者たる医師の配置
▽看護職員の数が1以上
▽夜間については、緊急時の体制を整備し、看護要員を1人以上配置する(提供する医療に応じた適切な配置とする。例えば、入院患者の状態によっては、看護職員を一定数配置することが望ましい)

(2)その他:【病院】における(2)「提供サービス」、(3)「入院診療計画等」、(4)「療担規則遵守」は有床診療所でも同様


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