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新型コロナ新規患者数は減少しているが「感染拡大防止」と「医療提供体制の拡充」の継続が必要―新型コロナ専門家会議

2020.5.4.(月)

新型コロナウイルスの新規感染患者数は、緊急事態制限をはじめとする一連の施策の成果により確実に減少してきているが、医療機関の逼迫状況は、極めて緩やかにしか解消しない―。

引き続き、感染拡大防止策の徹底と、医療提供体制の拡充(重点医療機関の設定や、宿泊療養を行う施設の確保、医療従事者へのPCR検査実施推進、個人防護具の確保など)を進める必要がある―。

厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(以下、専門家会議)は5月1日に、「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を公表し、こうした点を強調しました(厚労省のサイトはこちら)。安倍晋三内閣総理大臣は、この提言も踏まえて緊急事態宣言の延長等について判断します。

医療現場の逼迫は依然続いており、その解消は極めて緩やかにしか進まない

新型コロナウイルスは依然として猛威は振るっており、安倍晋三内閣総理大臣は、感染拡大を防止し、医療提供体制を確保するために4月7日に新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に基づいて緊急事態宣言を行いました。

その結果、新規の感染者数は、減少傾向に転じており、緊急事態宣言や国民の協力による「一連の対策の成果」が現れはじめています。また専門家会議では、「感染者の全てが把握されているわけではない」ものの、「PCR検査件数が徐々に増加している中で、陽性件数は全国的に減少傾向にある」「東京などで感染者数の倍加時間が伸びている(直近7日間における感染患者が倍増するまでの時間は、4月1日時点で2.3日だったが、5月1日時点では3.8日に伸びている)」ことなどから「新規感染者数が減少の傾向にあることは間違いない」と見ています。

新型コロナウイルスの新規感染者数は減少傾向にある(新型コロナ専門家会議提言1 200501)



もっとも、新規の感染者数は、依然として相当程度にのぼっており、現在の水準は「データが明確に立ち上がりはじめた3月上旬や、いわゆるオーバーシュート(爆発的患者増加)の兆候を見せ始めた3月中旬前後の水準」までは下回っていません。

また、▼病院内および福祉施設内での集団感染や家庭内感染が多くなっている▼特定警戒都道府県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県、北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府の13都道府県)では、依然として医療現場の逼迫が続いている▼人工呼吸器を使用した呼吸管理や集中治療による全身管理を要する患者が多く発生しており、中核都市や地域においてクラスター(集団感染)の発生に伴う高齢感染患者が多発した際に多くの病床がすぐに占有されてしまう状況にある―など、医療現場の逼迫状況は依然として続いています(新規感染者数は減少スピードに比べて、医療現場の逼迫状況は極めて緩やかにしか解消されない)。

人工呼吸器やECMOを必要とする重症患者数は依然として多い(新型コロナ専門家会議提言2 200501)



こうした点を踏まえて、専門家会議は「しばらくは、新規感染者数の減少傾向を維持させることを通じて『感染拡大が当面起こり難い』程度にまで、取り組みを継続する必要性がある」「医療提供体制については、首都圏では引き続き体制強化を進め、未だ流行していない地域でも、大規模な患者発生をみた首都圏で得られたノウハウを活かし、早急に体制整備を進めることが重要である」と強調し、次のような考え方を明確にしました。

まず、感染拡大防止に関しては、▼感染の拡大を前提とした「集団免疫の獲得」のような戦略や、不確実性を伴うワクチン開発のみをあてにした戦略はとるべきでない感染の状況が厳しい地域では、新規感染者数が一定水準に低減するまでは、医療崩壊を防ぎ、市民の生命を守るため、引き続き「徹底した行動変容の要請」が必要である▼新規感染者数が限定的となり、対策の強度を一定程度緩められるようになった地域でも、再度感染が拡大する可能性があり、長丁場に備え、感染拡大を予防する新しい生活様式(3つの密を避けるための生活様式)に移行していく必要がある▼社会的に必要性が高い活動であり、かつ様々な工夫で感染リスクを十分に下げられる事業などについては、制限を一部徐々に緩和していくことも検討していく必要がある―との考えを提示。



また、医療提供体制に関しては、「感染者数の増加によって、普段なら救える命が救えなくなるような、いわゆる『医療崩壊』を生じさせない」ことを最大の目標として、次のように拡充するよう提言しています。国や都道府県による、さらなるサポートに期待が集まります。

▽▼医療機関ごとの機能分担(「重点医療機関」の設定など)▼都道府県における調整本部・協議会の設置▼患者搬送調整の中心となる「患者搬送コーディネーター」の配置▼軽症者の宿泊療養施設の確保―など、各種の体制整備を各都道府県で確実に進めておく

「他の疾患の患者に対する治療」に重大な支障が生じることのないよう留意しつつ、急激な新型コロナウイルス感染者数の増加に対応できる体制を整えておくことが不可欠である(「新型コロナウイルス感染患者のための病床確保」は、「他の疾患の患者治療のための医療資源を失わせる」ことを意味するため)

▽医療提供体制の整備状況を、住民に対して適切に情報提供していくことが重要であり、都道府県ごとの医療提供体制の「見える化」に努める

▽国は、医療現場を守るため、院内感染対策として▼PCR等検査の積極的な実施の推進▼個人防護具の提供―などに努める



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