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GemMed塾 病院ダッシュボードχ 病床機能報告

悪性黒色腫の抗がん剤選択を補助する検査、ピロリ菌感染の検出と当該菌の抗菌剤耐性を診断補助する検査を保険適用—厚労省

2022.11.8.(火)

悪性黒色腫に最適な抗がん剤を選択するための新たな検査法を保険適用する—。

胃がんの原因の1つである「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)検出と、当該ピロリ菌が抗菌剤のクラリスロマイシンに耐性を持っているかどうかとを簡便に判断できる新検査法を保険適用する—。

厚生労働省は10月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。11月1日から適用されています(厚労省サイトはこちら)。

悪性黒色腫に対する抗がん剤選択を補助する遺伝子検査法を新たに保険適用

今般の通知では、まずD004-2【悪性腫瘍組織検査】に新検査方法を追加しています。

D004-2【悪性腫瘍組織検査】は、がん患者に対し「どの抗がん剤が効果的か、適切か」を選択するために遺伝子検査などを行うことを評価する診療報酬項目です。「Xという遺伝子変異がある場合に、●●という抗がん剤等が奏効する」といった治験が集積されてきたことを受けたもので、次のように複雑な点数設定がなされています。

1 悪性腫瘍遺伝子検査
イ 処理が容易なもの
(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの:2500点
(2)その他のもの:2100点
ロ 処理が複雑なもの:5000点

2 抗悪性腫瘍剤感受性検査 2500点

▽注1 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して「1のイ」の検査を複数実施した場合は、検査の項目数に応じて次の点数を算定する
イ 2項目:4000点
ロ 3項目:6000点
ハ 4項目以上:8000点

▽注2 患者から1回に採取した組織等を用いて同一がん種に対して「1のロ」の検査を複数実施した場合は、検査の項目数に応じて次の点数を算定する
イ 2項目:8000点
ロ 3項目以上:1万2000点



点数表の解釈通知では、上記の各項目にどういった検査が該当するのかなどを詳細に示しており、例えば、「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「ロ 処理が複雑なもの」とは、以下の遺伝子検査を、「医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品・医療機器を用いて次世代シーケンシング等により行う」場合に算定できるとされています(関連記事はこちら((オ)(カ)を追加))。
(ア)肺がんにおけるBRAF遺伝子検査(次世代シーケンシング)、METex14遺伝子検査 (次世代シーケンシング)、RET融合遺伝子検査
(イ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査(リアルタイムPCR法)
(ウ)固形がんにおけるNTRK融合遺伝子検査、腫瘍遺伝子変異量検査
(エ)胆道がんにおけるFGFR2融合遺伝子検査
(オ)甲状腺がんにおけるRET融合遺伝子検査
(カ)甲状腺髄様がんにおけるRET遺伝子変異検査

今般の通知では、このうち「(イ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査」について、従前からの「リアルタイムPCR法」に加え、新たに「PCR-rSSO法」を追加しました。

その結果、「1 悪性腫瘍遺伝子検査」の「ロ 処理が複雑なもの」は、以下(ア)から(カ)の遺伝子検査を、「医薬品の適応を判定するための補助等に用いるものとして薬事承認・認証を得ている体外診断用医薬品・医療機器を用いて次世代シーケンシング等により行う」場合に算定できることとなっています。
(ア)肺がんにおけるBRAF遺伝子検査(次世代シーケンシング)、METex14遺伝子検査 (次世代シーケンシング)、RET融合遺伝子検査
(イ)悪性黒色腫におけるBRAF遺伝子検査(リアルタイムPCR法、PCR-rSSO法
(ウ)固形がんにおけるNTRK融合遺伝子検査、腫瘍遺伝子変異量検査
(エ)胆道がんにおけるFGFR2融合遺伝子検査
(オ)甲状腺がんにおけるRET融合遺伝子検査
(カ)甲状腺髄様がんにおけるRET遺伝子変異検査

個々のがん患者に、適切な抗がん剤を選択できる環境がまた一つ整ったと言え、難治がんとされる悪性黒色腫(メラノーマ)患者には大きな朗報です。

ピロリ菌感染と、当該ピロリ菌の抗菌剤耐性とを同時に調べられる検査法を保険適用

また、胃がんの原因の1つである「ヘリコバクター・ピロリ」(ピロリ菌)を検出する新たな検査法が保険適用されています。

ピロリ菌の診断・治療に関する検査は、D012【感染症免疫学的検査】の▼9 ヘリコバクター・ピロリ抗体定性(70点)▼12 ヘリコバクター・ピロリ抗体(80点)▼24 ヘリコバクター・ピロリ抗原定性(142点)—の3種類が保険適用されています。

今般、新たに「ピロリ菌感染の有無」と「当該ピロリ菌が抗菌剤のクラリスロマイシンに耐性を持っているかどうか」を簡便に判断できる「ヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出」が開発され、保険適用されました。

具体的には、D023【微生物核酸同定・定量検査】の中に「ヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出」を位置づけ、次のような算定ルールに沿って点数算定することが認められます。

【対象患者】
▽ヘリコバクター・ピロリ感染が強く疑われる患者

【検査法】
▽PCR法

【算定点数】
▽360点(D023【微生物核酸同定・定量検査】の「12 百日咳菌核酸検出」の所定点数を準用)

【留意事項】
▽当該検査を含むヘリコバクター・ピロリ感染診断の保険診療上の取扱いについては「ヘリコバ クター・ピロリ感染の診断及び治療に関する取扱いについて」に即して行う
→新たに「核酸増幅法」によって実施することを保険診療の中で認め、その際の検査料算定ルールが整理されている(関連記事はこちら



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