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GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

有床診ついに6500施設割る、2022年4月には6000施設を割る可能性も―医療施設動態調査(2020年4月)

2020.7.6.(月)

有床診療所はついに6500施設を割ってしまった。減少ペースが今のまま続けば、2022年4月末には6000施設を割ることになる―。

またベッド数は、来年(2021年)6月には8万5000床を切る可能性が高い—。

こうした状況が、厚生労働省が7月3日に公表した医療施設動態調査(2020年4月末概数)から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

療養病床の介護医療院への転換などが進み、医療施設数・病床数は大幅減が続いている(医療施設動態調査(2020年4月末) 200703)

有床診がついに6500施設割る、2022年4月には6000施設を割る可能性も

「医療施設動態調査」では、毎月末における病院・診療所の施設数およびベッド数が示されています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。今年(2020年)4月末の状況を見ると、全国の医療施設は17万9200施設で、前月末から67施設の減少となりました。

病院の施設数は、前月末から13施設減少して8260施設となりました。種類別に見ると、▼一般病院:7206施設(前月から12施設減)▼精神科病院:1054施設(同1施設増加)—などという状況です。一般病院のうち、「療養病床を有する病院」は3609施設で前月末から23施設減少、「地域医療支援病院」は621施設で前月末から1施設増加となりました。

地域医療支援病院に関しては、昨年(2019年)8月に厚労省の「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」で承認要件の見直し内容が固められました。現在の(1)紹介患者への医療提供(かかりつけ医への逆紹介も含む)(2)医療機器の共同利用(3)救急医療の提供(4)地域の医療従事者への研修の実施―という4つの役割・機能に加え、新たに「都道府県の判断で『医師の少ない地域への医師派遣実施』などのプラスアルファ要件を追加(厳格化)できる」とするものです(関連記事はこちらこちらこちら)。医療法改正案が国会に上程される見通しでしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で遅れが出ています。

また、先の2020年度診療報酬改定では、「紹介なし外来患者からの特別負担徴収」を一般病床200床以上の地域医療支援病院へ拡大しています(関連記事はこちら)。

一方、「療養病床を有する病院」は、「介護医療院」(▼介護▼医療▼住まい—の3機能を併せ持つ介護保険施設)への転換が進んでいるために減少が続いていると考えられます。

なお、新型コロナウイルス感染症が病院経営に大きな影響を及ぼしており、長期化すれば「病院の倒産」が増加していく可能性があります。今後の動きを注視する必要があるでしょう。



診療所に目を移してみると、医科診療所は10万2634施設で、前月末から24施設減少しました。このうち有床診療所は前月末から41設減少し、ついに6500施設を切り「6483施設」となりました。

また無床の医科診療所は前月から17施設増加しています。こちらも新型コロナウイルス感染症の影響により、「患者数の減少」(新型コロナウイルス感染を避けるために受診を控える)→「経営の悪化」が生じ、今後、施設数が減少していく可能性があるでしょう。

有床診療所の施設数は、2年前(2018年4月末)には7095施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2019年4月末)には6730施設(厚労省のサイトはこちら)でした。2018年4月末から2019年4月末までの1年間で365施設の減少、さらに今年(2020年)4月末までの1年間で247施設の減少となっています。有床診療所の施設数は、2019年4月末以降、次のように推移しています。

▼2019年4月末:6730施設
↓(24施設減)
▼2019年5月末:6706施設
↓(9施設減)
▼2019年6月末:6697施設
↓(16施設減)
▼2019年7月末:6681施設
↓(19施設減)
▼2019年8月末:6662施設
↓(18施設減)
▼2019年9月末:6644施設
↓(25施設減)
▼2019年10月末:6619施設
↓(19施設減)
▼2019年11月末:6600施設
↓(19施設減)
▼2019年12月末:6581施設
↓(29施設減)
▼2020年1月末:6552施設
↓(21施設減)
▼2020年2月末:6531施設
↓(7施設減)
▼2020年3月末:6524施設
↓(41施設減)
▼2020年4月末:6483施設

この1年間は、1か月当たり「21施設弱」のペースで減少が続いています。現在のペースが続くと仮定すれば、ちょうど2年後の2022年4月末に6000施設を割ってしまう計算になります。

有床診ベッド数、2021年6月末に8万5000床を割る可能性大

病床数(ベッド数)に目を移すと、全体では、今年(2020年)4月末には160万3784床で、前月末から7859床の大幅減少となりました。2019年10月→11月で933床減、2019年11月→12月で969床減、2019年12月→2020年1月で1014床減、2020年1月→2月で1787床減、2020年2月→3月末で2890床減と大幅減少が続いています。

このうち病院の病床数は151万5117床で、前月末から7260床の大幅減少です。医療法上の病床種類別に見ると、▼一般病床:88万7612床(前月末から391床増加)▼療養病床:29万5998床(同6619床減少)▼精神病床:32万5394床(同240床減少)—などとなっています。療養病床の減少(上述したとおり、主に「介護医療院」への転換)が病床数大幅減の大きな要因と考えられます。

また、有床診療所の病床数は前月末から601床減少し、8万8609床となりました。2年前(2018年4月末)には9万6856床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2019年4月末)には9万1930床(厚労省のサイトはこちら)でした。2018年4月末から2019年4月末までの1年間で4926床減少、そこから今年(2020年)4月末までの1年間で3321床減少しています。2019年4月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2019年4月末:9万1930床
↓(320床減)
▼2019年5月末:9万1610床
↓(112床減)
▼2019年6月末:9万1498床
↓(212床減)
▼2019年7月末:9万1286床
↓(218床減)
▼2019年8月末:9万1068床
↓(243床減)
▼2019年9月末:9万825床
↓(353床減)
▼2019年10月末:9万472床
↓(224床減)
▼2019年11月末:9万248床
↓(291床減)
▼2019年12月末:8万9957床
↓(331床減)
▼2020年1月末:8万9626床
↓(237床減)
▼2020年2月末:8万9389床
↓(179床減)
▼2020年3月末:8万9210床
↓(601床減)
▼2020年4月末:8万8609床

この1年間では、1か月当たり「277床弱」のペースで減少が続いています。現在のペースが継続すると仮定すれば、来年(2021年)6月末には8万5000床を切る計算です(前月末と同じペース)。



有床診は、地域包括ケアシステムを構築する上で極めて重要な構成要素であることはもちろん、2次医療圏の中には、総ベッド数の4分の1が有床診である地域もあるなど医療提供体制の要素としても非常に重要です。有床診の減少は、こうした地域包括ケアシステム・地域医療提供体制を脆弱化させてしまうことから、経営の下支えが重要となります。

厚労省は、2018年度の前回診療報酬(介護報酬との同時改定)で、有床診療所を(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の2類型に分け、後者の『地域包括ケア型』について「過疎地などにおける入院医療の重要な支え手(地域包括ケアシステムの重要な担い手)であるものの、経営が厳しく、存続が困難」といった課題に直面していることを重視。有床診経営をサポートするために、要介護者の受け入れを【介護連携加算】で評価するなどの報酬見直しを行いました(関連記事はこちらこちら)。

さらに、2020年度の今回診療報酬改定では、次のような見直しが行われました(関連記事はこちら)。

▼【有床診療所一般病床初期加算】(急性期病棟からの転棟患者受け入れを評価する)について、点数を150点に引き上げ(50点増)、算定上限日数を「転棟等日から14日」に延長する(7日間延長)

▼【医師配置加算】について、加算1を120点(32点増)、加算2を90点(30点増)に引き上げる

▼【看護配置加算】について、加算1を60点(20点増)、加算2を35点(15点増)に引き上げる

▼【夜間看護配置加算】について、加算1を100点(15点増)、加算2を50点(15点増)に引き上げる

▼【看護補助配置加算】について、加算1を25点(15点増)、加算2を15点(10点増)に引き上げる

▼【有床診療所緩和ケア診療加算】について、250点に引き上げる(100点増)

これらの効果が今後、どこまで現れてくるのか状況を注視していく必要があるでしょう。

有床診が地域で果たす機能(その1)(中医協総会(2)6 191127)

有床診が地域で果たす機能(その2)(中医協総会(2)7 191127)

診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

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