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GemMed塾 ミニウェビナー DPC委員会のありかたとは?

有床診の減少が続き、22年7月末には6000施設を、10月には8万床を割るペース―医療施設動態調査(2020年11月)

2021.1.26.(火)

有床診療所の減少が続いており、現在の減少ペースが続けば来年(2022年)7月末に6000施設を割り、同じく10月には8万床を切る可能性が高い―。

また歯科診療所の減少が続いており、新型コロナウイルス感染症による患者減などが影響していないか、今後の状況を注視する必要がある―。

厚生労働省が1月25日に公表した医療施設動態調査(2020年11月末概数)から、こうした状況が分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

2020年10月から11月にかけても、歯科診療所の減少が続いている(医療施設動態調査 2020年11月)

有床診の減少止まらず、現行ペースでは「2022年7月」には6000施設を切る見込み

厚労省は、毎月末に医療機関(病院・診療所)の施設数・病床数を積み上げ、「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、さらにその前の月末の状況はこちら)。昨年(2020年)11月末における全国の医療施設は17万9514施設となり、前月末から21施設の増加となりました。

病院の施設数は、前月末から4施設減り、8237施設となりました。種類別に見ると、▼一般病院:7181施設(前月末から4施設減少)▼精神科病院:1056施設(同増減なし)—などです。一般病院のうち「療養病床を有する病院」は3562施設で前月末から7施設減少、「地域医療支援病院」は625施設で前月末から変化ありません。

ところで、新型コロナウイルス感染症による医療機関経営への影響(収入減)により「病院・診療所の倒産」が増加する可能性が指摘され、現在のいわゆる「第3波」が始まった11月末時点の数字が注目されましたが、ここでもそうした状況は見られないようです。厚労省による経営支援(空床を確保した病床への手厚い補助、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる病院への人材確保経費補助、診療報酬上の各種特例など)が少なからず効果を上げていると見ることもできそうです。



医科診療所の施設数は10万3151施設で、前月末から47施設増加しました(無床の一般診療所が56施設増加)。ただし有床診療所は前月末から9施設減少し、6370施設となりました。「2020年9月」に続き「11月」にも「有床診療の施設減少数が少ない」状況が見られ、今後の動きを注視する必要があります。

なお歯科診療所は、6月から7月にかけて46施設減少、7月から8月にかけて29施設減少、8月から9月にかけて10施設減、9月から10月にかけて39施設減、10月から11月にかけて22施設減となっており、新型コロナウイルス感染症の影響(受診患者の減少 → 医療機関経営の悪化)が出ている可能性が伺えます。



有床診療所の施設数は、2年前(2018年11月末)には6893施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2019年11月末)には6600施設(厚労省のサイトはこちら)でした。2018年11月末から2019年11月末までの1年間で293施設の減少、そこから昨年(2020年)11月末までの1年間で230施設の減少となっています。有床診療所の施設数は、2019年11月末以降、次のように推移しています。

▼2019年11月末:6600施設
↓(19施設減)
▼2019年12月末:6581施設
↓(29施設減)
▼2020年1月末:6552施設
↓(21施設減)
▼2020年2月末:6531施設
↓(7施設減)
▼2020年3月末:6524施設
↓(41施設減)
▼2020年4月末:6483施設
↓(17施設減)
▼2020年5月末:6466施設
↓(20施設減)
▼2020年6月末:6446施設
↓(13施設減)
▼2020年7月末:6433施設
↓(19施設減)
▼2020年8月末:6414施設
↓(10施設減)
▼2020年9月末:6404施設
↓(25施設減)
▼2020年10月末:6379施設
↓(9施設減)
▼2020年10月末:6370施設

直近1年間は、1か月当たり「19施設強」のペースで減少が続いています。現在のペースが続くと仮定すれば、来年(2022年)7月末に6000施設を割る計算です(前月末までよりも1か月遅いペース)。

有床診のベッド数、現行ペースが続けば「2022年10月」に8万床を割る見込み

次に病院・診療所の病床数(ベッド数)を見てみましょう。全体では、昨年(2020年)11月末には159万6953床で、前月末から455床の減少となりました。▼2019年10月→11月:933床減▼同年11月→12月:969床減▼同年12月→2020年1月:1014床減▼同年1月→2月:1787床減▼同年2月→3月末:2890床減▼同年3月末→4月末:7859床減▼同年4月末→5月末:1000床減▼同年5月→6月末:1083床減▼同年6月末→7月末:1170床減▼同年7月末→8月末:540床減▼同年8月末→9月末:883床減▼同年9月末→10月末:1600床減—と大幅減少が続いていましたが、減少ペースは「小休止」したようです。

このうち病院の病床数は151万227床で、前月末から255床の減少。医療法上の病床種類別に見ると、▼一般病床:88万7769床(前月末から301床増加)▼療養病床:29万1672床(同388床減少)▼精神病床:32万4753床(同168床減少)—などとなっています。

また、有床診療所の病床数は前月末から200床減少し、8万6668床となりました。2年前(2018年11月末)には9万4270床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2019年11月末)には9万248床(厚労省のサイトはこちら)でした。2018年11月末から2019年11月末までの1年間で4022床減少、そこから昨年(2020年)11月末までの1年間で3580床減少しています。2019年11月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2019年11月末:9万248床
↓(291床減)
▼2019年12月末:8万9957床
↓(331床減)
▼2020年1月末:8万9626床
↓(237床減)
▼2020年2月末:8万9389床
↓(179床減)
▼2020年3月末:8万9210床
↓(601床減)
▼2020年4月末:8万8609床
↓(309床減)
▼2020年5月末:8万8300床
↓(362床減)
▼2020年6月末:8万7938床
↓(215床減)
▼2020年7月末:8万7723床
↓(325床減)
▼2020年8月末:8万7398床
↓(182床減)
▼2020年9月末:8万7216床
↓(348床減)
▼2020年10月末:8万6868床
↓(200床減)
▼2020年11月末:8万6668床

この1年間では、1か月当たり「298床強」のペースで減少が続いています。現在のペースが継続すると仮定すれば、来年(2022年)10月末には8万床を切る計算です(前月末よりも1か月遅いペース)。



有床診は、将来の地域包括ケアシステム(要介護状態になっても住み慣れた地域で在宅生活を継続可能とする仕組み)の重要な構成要素(急変時やレスパイトにおける入院病床)となることはもちろん、現行の医療提供体制においても重要な構成要素(2次医療圏の中には、総ベッド数の4分の1が有床診である地域もある)の1つとなっています。有床診の減少は、こうした地域の医療・介護提供体制を脆弱化させることを意味し、経営の下支えが重要となってきます。

厚労省は、2018年度診療報酬改定(介護報酬との同時改定)で、有床診療所を(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の2類型に分け、後者の『地域包括ケア型』について「過疎地などにおける入院医療の重要な支え手(地域包括ケアシステムの重要な担い手)であるものの、経営が厳しく、存続が困難」といった課題に直面していることを重視。有床診経営を支援するために、要介護者の受け入れを【介護連携加算】で評価するなどの報酬見直しを行いました(関連記事はこちらこちら)。

さらに、2020年度診療報酬改定では、次のような見直しが行われています(関連記事はこちら)。

▼【有床診療所一般病床初期加算】(急性期病棟からの転棟患者受け入れを評価する)について、点数を150点に引き上げ(50点増)、算定上限日数を「転棟等日から14日」に延長する(7日間延長)

▼【医師配置加算】について、加算1を120点(32点増)、加算2を90点(30点増)に引き上げる

▼【看護配置加算】について、加算1を60点(20点増)、加算2を35点(15点増)に引き上げる

▼【夜間看護配置加算】について、加算1を100点(15点増)、加算2を50点(15点増)に引き上げる

▼【看護補助配置加算】について、加算1を25点(15点増)、加算2を15点(10点増)に引き上げる

▼【有床診療所緩和ケア診療加算】について、250点に引き上げる(100点増)



これまでに改定の効果が明確に現れているとは言い難い状況です。間もなく2022年度診療報酬改定に向けた議論が始まりますが、「有床診の減少スピードに歯止めをかけるためにさらなる一手を打つ」のか、あるいは「別の方向に舵を切る」のか、なども重要な論点となってくるでしょう。

なお、有床診減少の背景には「後継者がいない」ことも大きく関係していると思われます。この点については診療報酬での手当ては極めて困難であり、有床診減少の背景をさらに詳しく分析していくことが重要です。



病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

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