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2024年度診療報酬改定のベースとなる医療経済実態調査、給食費・光熱費・人材紹介会社への手数料なども詳細に把握―中医協

2022.12.14.(水)

2024年度の次期診療報酬改定のベースとなる「医療経済実態調査」について、「回答率・数の向上に向けた抽出率の引き上げ」「急騰が指摘される給食費や光熱水費の詳細な状況把握」「医療機関等の負担増が指摘される人材紹介会社への紹介手数料支払い状況把握」などの改善を行う―。

12月14日に開催された中央社会保険医療協議会の総会および調査実施小委員会において、こうした内容が決定されました。今後、総務省の最終審査などを経て、来年(2023年)6月に調査を実施(4月下旬に調査票配布、7月中旬に回答締め切り)、来秋(2023年11月中旬頃)に調査結果が中医協に報告されます。

一般診療所のうち「数の少ない診療科」の回答数確保に向けた工夫を今後検討へ

医療経済実態調査は、保険医療機関等の経営状況や保険者(健康保険組合や協会けんぽなど)の財政状況を把握し、診療報酬改定の基礎資料を得るものです。

保険医療機関等では、収入の大部分を診療報酬が占めます。このため2年に1度行われる診療報酬改定では「医療機関等の経営状況」を把握し、経営が悪化していれば「診療報酬の引き上げを行い、経営を下支えする必要があるのではないか」などの方向で議論を行っていくことになります。

具体的には「前回診療報酬改定の前後で医療機関経営がどう変化しているのか」を調べる医療経済実態調査(医療機関等調査)が行われます(同時に保険者の財政状況を見る「保険者調査」も行われる)。2024年度の次期改定に向けては「改定前の2021年度の経営状況」と「改定後の2022年度の経営状況」とを調べることになります。

これまでの中医協論議(関連記事はこちらこちら)で、「統計の精度・信頼性を高めるために回答数・率の向上が求められる」との視点に立ち、例えば▼調査対象の抽出率を引き上げる▼回答する医療機関等の負担軽減に向けた調査項目の見直し(必要性の低い項目を削除する)▼現下の状況を踏まえた調査項目を追加する—などの見直し方向を確認。

12月14日の会合には、これまでの議論で確認された方向に沿った調査票案などが厚生労働省保険局医療課保険医療企画調査室長の荻原和宏室長から示されました。前回調査(2022年度改定に向けた調査、関連記事はこちら)からの主な変更点は次のように整理できます。

(1)「新型コロナウイルス感染症の医療機関等経営への影響」を見るために、前回調査(2022年度改定に向けた第23回調査)で導入された「単月調査」(2019年6月・20年6月・21年6月の経営状況を比較し、コロナ感染症の影響をみる調査)を廃止する【回答負担の軽減】

(2)調査対象医療機関の抽出率について、一般診療所を従前の「20分の1」から「15分の1」に、専門医療機関連携薬局については 「1/1」(全数調査)に引き上げる【回答数の確保】

(3)調査項目について、損益のうち▼介護収益の内訳(施設サービス収益、居宅サービス収益、その他の介護収益)▼税金の内訳(法人税、住民税、事業税)—を廃止する【回答負担の軽減】

回答負担軽減のため、介護収益の内訳、税金の内訳は調べない(中医協2 221214)



(4)現下の重要な課題を把握するため、損益において▼給食委託費▼人材委託費▼水道光熱水費—を調べる。人材委託費については「医療従事者の派遣に係る派遣会社への委託料」なども調べる【重要検討課題への対応】

給食費・人材委託費・さらに紹介手数料・水動光熱費の状況を調べる(中医協3 221214)



(5)コロナ感染症の影響に関する調査内容を見直し、「コロナ患者等の受け入れ実績」調査を廃止する一方で、「重点医療機関・協力医療機関以外の病院であるか」「院内クラスターが発生したか」などを把握する【回答負担の軽減、重要検討課題への対応】

コロナ感染症の対応状況調査の中身を見直す(中医協1 221214)



(6)新設された【看護職員処遇改善評価料】(本年(2022年)10月から)の取得状況、その前身となる【看護職員等処遇改善事業補助金】(本年(2022年)2-9月)の収益状況を調べる【重要検討課題への対応】

看護処遇改善に向けた加算の取得状況、補助金の収益状況を調べる(中医協4 221214)



(7)薬局について「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」「健康サポート薬局」該当の有無を調べるとともに、「一般用備蓄医薬品の品目数」を新たに調査する

(8)有効回答率・数の向上に向け、「回答施設へのフィードバック見本の送付」「関係団体への協力依頼」「調査票の簡素化」「電子調査票の利用促進」などを引き続き進めるとともに、「医療法人の経営状況データベース」の利活用などを検討する(関連記事はこちら)【回答数の確保】

(9)保険者(健康保険組合や協会けんぽ、国民健康保険など)の財政を調べる保険者調査について、「土地・保養所の利用状況」把握を廃止し、決算状況の把握に重点化する

●調査票案などはこちら(調査実施小委資料全体版)(今後、細部の文言調整などが行われる可能性あり)



これまでに議論してきた内容であり反対意見は出ていませんが、(2)の「一般診療所の抽出率」について、さらなる工夫を行うべきではないかとの意見がいくつか出ています。

公益代表の飯塚敏晃委員(東京大学大学院経済学研究科教授)は「抽出率を引き上げは良いことだが、数の少ない診療科では抽出率を『20分の1』から『15分の1』に引き上げても十分なサンプル数は集まらない。一般診療所全体の抽出率を例えば『5分の1』に引き上げることや、数の少ない診療科で抽出率を引き上げることなどを検討してはどうか。病院では、原則として『3分の1』抽出だが、特定機能病院、歯科大学病院・子ども病院では『1/1』(つまり全数調査)とするなど軽重をつけており、一般診療所でも同様に考えてはどうか」と改めて提案。

支払側の安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)もこの飯塚委員提案に賛同し、公益代表の永瀬伸子委員(お茶の水女子大学基幹研究院人間科学系教授)は「過去のデータから、どの診療科で回答数が不十分なのかなどは把握できる。それを踏まえて抽出率見直しなどの検討ができるのではないか」と提案しました。

頷けるところのある提案ですが、「診療科別のクリニック経営状況」データがどのように診療報酬改定論議につながってくるのかが今一つ見えてきません。厚労省保険局医療課の眞鍋馨課長、荻原保険医療企画調査室長は、▼一般診療所全体で抽出率を引き上げ、回答数の確保を図っていく▼一般診療所の主たる診療科は、特定機能病院などの確立されたカテゴリではない(標榜は医療機関が自由に行える)ため、どのように分類して抽出率に軽重をつけるべきかは別の研究・検討が必要となる▼調査にかけられる予算・時間が限られている▼他にも結果検証調査(診療報酬改定の効果・影響を詳しく見る調査)なども行われる—ことを説明したうえで、「今回の調査は原案通り進め、別途、診療科別の抽出率設定などについて検討していく」ことに理解を求めました。今後、「2026年度の次々回診療報酬改定に向けた宿題」事項に位置づけるのかも含めて、検討が重ねられることになりそうです。

今般の中医協における原案決定を受け、総務省の最終審査などを経て調査票を確定。来年(2023年)6月に調査を実施(4月下旬に調査票配布、7月中旬に回答締め切り)、来秋(2023年11月中旬頃)に調査結果が中医協に報告されます。



なお、同日に開催された中医協総会では、大腸がんにおけるリンチ症候群の診断補助・大腸がんにおける化学療法の選択補助に用いる新検査項目「BRAF V600E 変異タンパク免疫染色(免疫抗体法)病理組織標本作製法」を来年(2023年)1月から保険適用することも了承されました(関連記事はこちら)。大腸がん患者や主治医の武器が、また一つ増えることになります。



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