アセトアミノフェンに「薬剤性過敏症症候群」の、白血病治療薬のグリベック錠などに「天疱瘡」の副作用—厚労省
2023.1.20.(金)
アセトアミノフェンを含む解熱消炎鎮痛剤等において「薬剤性過敏症症候群」の副作用が判明し、初期には発疹、発熱が、その後、肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴うことがある—。
白血病治療薬のグリベック錠などに「天疱瘡」の副作用が判明し、水疱、びらん、痂皮等が認められた場合には、皮膚科医と相談することが必要となる—。
また多くの骨粗鬆症治療薬では「腎機能障害がある患者」では慎重な投与が求められているところ、より具体的に「低カルシウム血症のリスク」が増加する可能性がある—。
虚血性脳血管障害後の再発抑制などに用いるプラビックス錠などに「インスリン自己免疫症候群」の副作用が判明し、重度の低血糖を引き起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うことが求められる—。
厚生労働省は1月17日に通知「『使用上の注意』の改訂について」を発出し、こうした点について製薬メーカーに改訂を指示するとともに、医療現場に対し注意喚起を行いました(厚労省のサイトはこちら)。
●以下の解熱消炎鎮痛剤・総合感冒薬
▼アセトアミノフェン(経口剤、坐剤)(販売名:アセトアミノフェン<ハチ>、ほか多数)
▼トラマドール塩酸塩・アセトアミノフェン(販売名:トラムセット配合錠、ほか後発品多数)
▼サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・クロルフェニラミンマレイン酸塩(販売名:ペレックス配合顆粒ほか)
▼サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・プロメタジンメチレンジサリチル酸塩(販売名:PL配合顆粒ほか)
▼ジプロフィリン・ジヒドロコデインリン酸塩・dl-メチルエフェドリン塩酸塩・ジフェンヒドラミンサリチル酸塩・アセトアミノフェン・ブロモバレリル尿素(販売名:カフコデN配合錠)
▽新たな【重大な副作用】:薬剤性過敏症症候群
→初期症状として発疹、発熱が見られ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状が現れることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意する
●以下の解熱消炎鎮痛剤
▼アセトアミノフェン(注射剤)(販売名:アセリオ静注液1000mgバッグ)
▼イソプロピルアンチピリン・アセトアミノフェン・アリルイソプロピルアセチル尿素・無水カフェイン(販売名:SG配合顆粒)
▽新たな【重大な副作用】:薬剤性過敏症症候群
→初期症状として発疹、発熱が見られ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状が現れることがある。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意する
●虚血性脳血管障害(心原性脳塞栓症を除く)後の再発抑制、経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される安定狭心症などの虚血性心疾患の治療に用いる以下の薬剤
▼クロピドグレル硫酸塩(販売名:プラビックス錠25mg、同錠75mg、ほか後発品多数)
▼クロピドグレル硫酸塩・アスピリン(販売名:コンプラビン配合錠、ほか後発品あり)
▽新たな【重大な副作用】:インスリン自己免疫症候群
→重度の低血糖を引き起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行う
▽【その他の注意】において、「本剤投与中に、重度の低血糖を引き起こす可能性があるインスリン自己免疫症候群が発症したとの報告があり、HLA型を解析した症例の中には、インスリン自己免疫症候群の発現と強く相関するとの報告があるHLA-DR4(DRB1*0406)を有する症例があった」旨の記述を、「インスリン自己免疫症候群の発現はHLA-DR4(DRB*0406)と強く相関するとの報告がある」に改めてる
●骨粗鬆症治療薬である「アレンドロン酸ナトリウム水和物」(販売名:フォサマック錠35mg、ボナロン錠35mg、ボナロン点滴静注バッグ900μg、ほか後発品多数)
▽【慎重投与】として「重篤な腎機能障害のある患者」が規定されているが、そこに「国内の医療情報データベースを用いた疫学調査において、骨粗鬆症の治療にビスホスホネート系薬剤を使用した腎機能障害患者のうち、特に、高度な腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73平米㎡未満)で、腎機能が正常の患者と比較して低カルシウム血症(補正血清カルシウム値が8mg/dL未満)のリスクが増加したとの報告がある」旨を追記する
●骨粗鬆症治療薬の「イバンドロン酸ナトリウム水和物」(販売名:ボンビバ静注1mgシリンジ、ボンビバ錠100mg、ほか後発品あり)
▽【特定の背景を有する患者に関する注意】として「高度の腎機能障害のある患者」が規定されているが、そこに「国内の医療情報データベースを用いた疫学調査において、骨粗鬆症の治療にビスホスホネート系薬剤を使用した腎機能障害患者のうち、特に、高度な腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73平米㎡未満)で、腎機能が正常の患者と比較して低カルシウム血症(補正血清カルシウム値が8mg/dL未満)のリスクが増加したとの報告がある」旨を追記する
●骨粗鬆症などの治療に用いる「エチドロン酸二ナトリウム」(販売名:ダイドロネル錠200)
▽【特定の背景を有する患者に関する注意】として「高度の腎機能障害のある患者」が規定されているが、そこに「国内の医療情報データベースを用いた疫学調査において、骨粗鬆症の治療にビスホスホネート系薬剤を使用した腎機能障害患者のうち、特に、高度な腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73平米㎡未満)で、腎機能が正常の患者と比較して低カルシウム血症(補正血清カルシウム値が8mg/dL未満)のリスクが増加したとの報告がある」旨を追記する
●骨粗鬆症治療薬の「ゾレドロン酸水和物」(骨粗鬆症の効能を有する製剤)(販売名:リクラスト点滴静注液)
▽【特定の背景を有する患者に関する注意】として「高度の腎機能障害のある患者」が規定されているが、そこに「国内の医療情報データベースを用いた疫学調査において、骨粗鬆症の治療にビスホスホネート系薬剤を使用した腎機能障害患者のうち、特に、高度な腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73平米㎡未満)で、腎機能が正常の患者と比較して低カルシウム血症(補正血清カルシウム値が8mg/dL未満)のリスクが増加したとの報告がある」旨を追記する
●皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデスの治療に用いる「ヒドロキシクロロキン硫酸塩」(販売名:プラケニル錠200mg)
▽新たな【重大な副作用】:急性熱性好中球性皮膚症(Sweet症候群)
●骨粗鬆症治療薬の「ミノドロン酸水和物」(販売名:ボノテオ錠1mg、リカルボン錠50mg、ほか後発品多数)
▽【慎重投与】として「重篤な腎機能障害のある患者」が規定されているが、そこに「国内の医療情報データベースを用いた疫学調査において、骨粗鬆症の治療にビスホスホネート系薬剤を使用した腎機能障害患者のうち、特に、高度な腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73平米㎡未満)で、腎機能が正常の患者と比較して低カルシウム血症(補正血清カルシウム値が8mg/dL未満)のリスクが増加したとの報告がある」旨を追記する
●骨粗鬆症治療薬の「リセドロン酸ナトリウム水和物」(販売名:アクトネル錠75mg、ベネット錠75mg、ほか後発品極めて多数)
▽【慎重投与】として「重篤な腎機能障害のある患者」が規定されているが、そこに「国内の医療情報データベースを用いた疫学調査において、骨粗鬆症の治療にビスホスホネート系薬剤を使用した腎機能障害患者のうち、特に、高度な腎機能障害患者(eGFRが30mL/min/1.73平米㎡未満)で、腎機能が正常の患者と比較して低カルシウム血症(補正血清カルシウム値が8mg/dL未満)のリスクが増加したとの報告がある」旨を追記する
●慢性骨髄性白血病やフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病などの治療に用いる「イマチニブメシル酸塩」(販売名:グリベック錠100mg、ほか後発品多数)
▽新たな【重大な副作用】:天疱瘡
→水疱、びらん、痂皮等が認められた場合には、皮膚科医と相談する
●「経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン」(販売名:ロタリックス)アセリオ静注液1000mgバッグ)
▽新たな【重大な副反応】:アナフィラキシー
●一般用医薬品の「アセトアミノフェン含有製剤」(経口剤、坐剤)(商品名:バファリンなど)
▽新たに「薬剤性過敏症症候群」(症状として、皮膚が広い範囲で赤くなる、全身性の発疹、発熱、体がだるい、リンパ節(首、脇の下、股の付け根等)の腫れなどが現れる)ことがあり、その場合には直ちに医師の診察を受ける旨を追記する
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