Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
GemMed塾 新制度シミュレーションリリース

生活援助が多数回のケアプラン、「作成」段階で市町村に届け出を―介護報酬改定疑義解釈(7)

2018.11.8.(木)

 厚生労働省は11月7日に、2018年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.7(疑義解釈その7)を公表しました。

今回は、「居宅介護支援」(ケアマネジメント)、中でも「生活援助中心型サービスが多数回となっているケアプラン」について、介護現場の疑問に答えています(関連記事はこちら(疑義解釈6)こちら(疑義解釈5)こちら(疑義解釈4の2)こちら(疑義解釈4の1)こちら(疑義解釈3)こちら(疑義解釈2)こちら(疑義解釈1))。

生活援助が多数回の場合、多職種でケアプランを検討し、より適切なサービスにつなげる

 介護保険制度においては、保険給付(介護サービス)を受けるに当たり、▼市町村から「要支援・要介護」と判定されなければならない(要支援・要介護認定)▼居宅においては、原則として「専門家(ケアマネ)による計画(ケアプラン)」に沿わなければならない―という特徴があります。医療においては、両者を「医師」が行っていますが、介護保険では、さまざまな主体が役割分担しているイメージです。

 ケアマネジャーは、利用者(要支援者・要介護者)等の意向を踏まえたうえで、その身心状況、家族環境、居住環境、傷病の状況などを総合的に検討し、「どういったサービスをどの程度の回数受けることが自立支援に最も資するか」を考えてケアプランを作成します。例えば、医療の必要性が高いが通院が困難な利用者では「訪問看護」を、身体の機能強化が必要な場合には「訪問や通所のリハビリテーション」を組み込むことを検討します。

 ところで2018年度の介護報酬改定を論議する中で、「要介護度が低い利用者の一部において、生活援助中心型サービスを月100回以上利用している」実態(以下、多数回利用)があることが分かり、「不適切な利用がなされているのではないか」と指摘されていました(財政制度等審議会・財政度分科会)。

財政制度等審議会の分科会(10月25日開催)の資料を、参考資料として厚労省が示した

財政制度等審議会の分科会(10月25日開催)の資料を、参考資料として厚労省が示した

 
 生活援助中心型サービスは、利用者に代わり、掃除や調理等を行うものですが、従前より「単なる家事代行となっていないか」との指摘もあります。介助が必要でない場合でも、こうしたサービスがあれば「便利である、助かる」と考えがち(モラルハザード)なためで、まさに上記のような多数回利用はモラルハザード事例なのではないか、と指摘されていたのです。

 この点、社会保障審議会・介護給付費分科会では、厚労省から「在宅の認知症高齢者などでは、服薬支援のために1日3回の訪問を行う必要があるケースもある」(1日3回×31日=1か月当たり93回)ことが説明され、「回数のみで不適切な事例かどうかを判断することは危険」なことが分かりました。

 もっとも「生活援助中心型サービスが、真にそれほど頻回に必要なのか。他のサービスへの切り替えや併用のほうが自立支援等に資することはないか」を個別ケースごとに多職種で確認することが有用なため、この10月(2018年10月)から、1か月当たりの生活援助サービスの回数が▼要介護1:27回▼要介護2:34回▼要介護3:43回▼要介護4:38回▼要介護5:31回—以上の場合には、そのケアプランを市町村に届け出て、市町村の地域ケア会議で「必要があって頻回の利用となっているのか、あるいは不適切な部分があるのか」を検証する、ことになりました(関連記事はこちらこちら)。

この点について、今般の疑義解釈(7)では、まず届け出の対象となるかどうかは「ケアプランの作成・変更した日」を基準とすることが明確にされました。例えば、最初の届出期限となる今年(2018年)11月末までの届け出対象は、▼今年(2018年)10月中に作成・変更した「10月サービス分のケアプラン」▼今年(2018年)10月中に作成・変更した「11月サービス分のケアプラン」—となります。今年(2018年)9月中に作成・変更した「10月サービス分のケアプラン」は届け出る必要がありません。

 
届け出に当たっては、「利用者・家族から同意を得たケアプラン(第1-第3表、第6表、第7表)のコピー」を提出することになります。

(居宅におけるケアプランの内容)
▼第1表:居宅サービス計画書(1)(患者の基本情報や、利用者・家族の意向、総合的な援助方針、生活援助中心型の算定理由などを記載)
▼第2表:居宅サービス計画書(2)(生活全般の課題、長期・短期目標、援助の内容や頻度などを記載)
▼第3表:週間サービス計画表(1週間のうち、何曜日の何時から何時までどのサービスが提供されるかのスケジュールなどを記載)
▼第4表:サービス担当者会議の要点(出席者、検討項目、検討内容、結論、残された課題を整理して記載)
▼第5表:居宅介護支援経過(いつ、どのようなサービスを提供したかの実績を詳細に記載)
▼第6表:サービス利用票(兼居宅サービス計画)(暦月のサービス提供予定と実績(実際のサービス提供内容)などを記載)
▼第7表:サービス利用票別表(提供されたサービスごとに、事業所名・単位数・保険給付・利用者負担などを記載)

 
 ところで、「月の途中」や「日数の少ない2月」から居宅サービス利用を始めるようなケアプランでは、「作成月には多数回利用とならないが、翌月から多数回利用となる」ようなケースが出てきます。例えば、「要介護5の利用者に毎日1回、生活援助中心サービスを実施する」必要がある、といったケースでは、2月のケアプランは「生活援助は28回で、多数回利用とはならない」が、3月のケアプランは「生活援助は31回となり、多数回利用に該当する」ことになります。

この点について厚労省は、「厚労省告示の回数(1か月当たり▼要介護1:27回▼要介護2:34回▼要介護3:43回▼要介護4:38回▼要介護5:31回—)以上の生活援助中心型サービスを位置づけたケアプランを作成した段階で、届け出の対象となる」ことを明示しました。

例えば、1月末に2月以降のケアプラン(第1-3表、第6・7表)を作成した際には、2月分のケアプラン(第6・7表)は告示回数を下回っていたが、2月末に作成した3月分のケアプラン(第6・7表)では告示回数以上の生活援助サービスが組み込まれている、といった場合には、▼2月末に作成した3月分のケアプラン(第6・7表)▼1月末に作成したケアプランの第1-3表―を、3月末までに市町村に届け出る必要があります。

 
なお、あるケアマネ事業所が市町村をまたがってサービスを提供している場合、「ケアマネ事業所の所在する市町村」と「利用者の保険者(市町村)」が異なるケースが生じます。この場合、後者、つまり「利用者の保険者(市町村)」に生活援助サービスが多数回利用となったケアプランを提出することになります。

 
 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

 

【関連記事】

「多数回の生活援助」を盛り込んだケアプランの届出、サービス利用制限を目指していない―厚労省
生活援助サービス、要介護2では1か月34回以上の場合、市町村に届け出を―厚労省
生活援助の介護人材育てるも、報酬下げの可能性―介護給付費分科会(1)
生活援助中心の訪問介護、給付切り下げに賛否両論—介護給付費分科会(2)
軽度者への生活援助サービス、総合事業への移行は時期尚早―社保審・介護保険部会(2)
「軽度者への生活援助」の地域支援事業への移行、要支援者の状況検証が先―介護保険部会(1)

介護療養から介護医療院へ転換、サービス提供体制強化加算の「常勤職員」は継続カウント可能か―介護報酬改定疑義解釈(6)
介護療養の精神科作業療法専用施設、機能訓練室等との兼用も可能―介護報酬改定疑義解釈(5)
居宅療養管理指導における「単一建物居住者」、より詳しい考え方を提示―介護報酬改定疑義解釈(4)の2
ICT活用した訪問介護と外部リハビリとの連携を生活機能向上連携加算(I)として評価―介護報酬改定疑義解釈(4)の1
居宅療養管理指導に導入された「単一建物居住者」、詳細を明示―介護報酬改定疑義解釈(3)
介護医療院、I・II型の併設可能だが、各々でサービス費の種類は揃えよ―介護報酬改定疑義解釈(2)
訪問看護の【看護体制強化加算】、介護施設の【排せつ支援加算】などの詳細を解説―介護報酬改定疑義解釈(1)

通所介護におけるアウトカム評価【ADL維持等加算】の詳細を通知―厚労省

【18年度介護報酬改定答申・速報8】グループホーム入居者の「入院・再入居」を円滑に
【18年度介護報酬改定答申・速報7】医療ニーズに対応できる特定施設を手厚く評価
【18年度介護報酬改定答申・速報6】特養配置医が活躍し、看取りまで対応できる体制に
【18年度介護報酬改定答申・速報5】老健の報酬体系再編、在宅復帰機能「超強化型」を創設
【18年度介護報酬改定答申・速報4】ケアマネに新加算設け、医療機関との連携を促進
【18年度介護報酬改定答申・速報3】介護医療院への早期転換を「1日93単位の加算」で促進
【18年度介護報酬改定答申・速報2】看護体制強化加算に上位区分―介護給付費分科会
【18年度介護報酬改定答申・速報1】長時間の通所リハなど、基本報酬引き下げ―介護給付費分科会
医療機関併設型の小規模な介護医療院、人員基準を緩く―介護給付費分科会 第157回(1)

2018年度改定率、診療報酬本体プラス0.55%、介護報酬プラス0.54%で決着

2018年度介護報酬改定、医療との連携や自立支援を柱とする審議報告を了承―介護給付費分科会 第156回
200床未満の医療提供施設で勤務するリハ専門職との連携を、多様な介護サービスで評価―第155回介護給付費分科会(2)
利用者が「月50人以上」住む建物への訪問サービス、減算を厳しく―第155回介護給付費分科会(1)
介護サービス利用者の栄養管理を評価―第153回介護給付費分科会(4)
区分支給限度基準額の管理、集合住宅減算を適用せずに計算―第153回介護給付費分科会(3)
定期巡回型サービス提供の“不適切事例”に対策―第154回介護給付費分科会(2)
「有床診の介護参入」や「療養病床の転換」促す運営基準見直し案を了承―第154回介護給付費分科会(1)
要介護度の改善に向けて、「状態改善」に資するサービスの評価を新設―第153回介護給付費分科会(2)
処遇改善加算IVとVを廃止、介護ロボット導入で要件緩和―第153回介護給付費分科会(1)
ケアマネは入院3日以内に情報提供を、集中減算は3サービスに限定―介護給付費分科会(3)
老健の基本報酬、在宅機能に応じたメリハリ強く―介護給付費分科会(2)
介護医療院の方向性固まる、「1年限りの加算」で転換促す―介護給付費分科会(1)
多床室ショートステイの介護報酬、従来型個室並みに引き下げ―介護給付費分科会(2)
特養での医療ニーズ対応を強化すべく、配置医の夜間診療などを高く評価―介護給付費分科会(1)
居宅療養管理指導でも「単一建物居住者」の人数で評価へ―介護給付費分科会(3)
診療報酬でも、「同一・隣接建物に住む患者」への訪問で減算などを検討—中医協総会(1)
通所介護・リハの基本報酬を見直し、1時間刻みに細分化―介護給付費分科会(2)
介護保険の訪問看護、ターミナルケアの実績さらに評価へ―介護給付費分科会(1)
集合住宅への訪問介護など、減算対象を拡大へ―介護給付費分科会(2)
介護のエビデンス構築に向けたデータ提出、当面は事業所を限定―厚労省・科学的介護検討会
生活援助の介護人材育てるも、報酬下げの可能性―介護給付費分科会(1)
「ある状態の要介護者にどの介護サービスが効果的か」などのエビデンスを構築—厚労省・科学的介護検討会
2018年度同時改定、「対面診療と遠隔診療の組み合わせ」や「自立支援に効果ある介護」を評価—未来投資会議
2018年度診療報酬改定、効果的・効率的な「対面診療と遠隔診療の組み合わせ」を評価—安倍内閣が閣議決定
遠隔診療の取扱い明確化し、2018年度改定でICT活用した生活習慣病管理など評価せよ―規制改革会議
2018年度診療報酬改定で、オンライン診療を組み合わせた生活習慣病対策などを評価—未来投資会議

介護職員処遇改善加算のIVとV、2018年度改定で廃止に向け検討—介護給付費分科会(2)
自立支援に資する介護、「要介護度の改善」だけでない点で一致—介護給付費分科会(1)
介護老健の在宅復帰・リハビリ・医療提供の各機能をどう充実させるか—介護給付費分科会(2)
介護医療院、報酬設定論議始まる!医療療養からの転換を危惧する声も—介護給付費分科会(1)
特養ホーム、医療ニーズ勘案し「介護医療院」などとの役割分担をどう考えるか—介護給付費分科会(2)
ケアマネの特定事業所集中減算、廃止含めた見直し要望が多数—介護給付費分科会(1)
生活援助中心の訪問介護、給付切り下げに賛否両論—介護給付費分科会(2)
2018年度改定でも「訪問看護の大規模化」や「他職種との連携」が重要論点—介護給付費分科会(1)
通所介護の「質」をどのように考え、報酬に反映させるべきか—介護給付費分科会
介護報酬の居宅療養管理指導、在宅医療の診療報酬に合わせた体系としてはどうか—介護給付費分科会(2)
退院後2週間未満の訪問リハ開始が効果的だが、3割の要介護者では実現できず—介護給付費分科会(1)
認知症デイサービスはIIIa以上、一般デイではIIb以下が主に利用—介護給付費分科会
定期巡回や看多機の整備進まず、「ニーズの実態を精査すべき」との指摘も—介護給付費分科会(2)
一部有識者が提唱する「新型多機能」、小多機の理念に反すると猛反発—介護給付費分科会(1)
2018年度介護報酬改定に向けキックオフ、夏までに第1ラウンドの議論終える—介護給付費分科会

オンラインでのサービス担当者会議などを可能にし、医療・介護連携の推進を—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
要介護・維持期リハビリ、介護保険への移行を促すため、診療報酬での評価やめるべきか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
訪問看護、2018年度同時改定でも事業規模拡大などが論点に―中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
医療機関での看取り前の、関係者間の情報共有などを報酬で評価できないか―中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)

フレイル対策と介護予防の一体実施、「無関心層の参加」が重要課題―社保審・介護保険部会
医療療養から介護医療院へ転換進めるため、介護保険も「都道府県化を保険者」とせよ―日慢協・武久会長
25対1医療療養の5割超が20対1医療療養へ、介護療養の5割弱が介護医療院Iの1へ―日慢協調査
慢性期病院、介護療養から新類型への転換やリハ機能充実で大幅収益改善も―日慢協・武久会長
介護医療院、保有する設備や常勤換算での職員配置、サービス内容などを広告可能―厚労省
介護医療院の開設、公的医療機関等の開設者、2024年3月までの転換者なども可能―厚労省

介護職員処遇改善加算のハードルを詳細に調査・分析し、より上位の加算取得を支援—介護事業経営調査委員会
2017年度創設の新介護職員処遇改善加算Iで、介護職員給与は1万3660円増加―介護給付費分科会(1)
介護職員処遇改善加算の新区分、キャリアパス要件IIIの内容や手続きを詳説―厚労省
介護職員処遇改善加算の新区分、4月から算定するためには「4月15日」までに届け出を―厚労省
定期巡回・随時対応で13.7%、看多機で10.2%の新たな介護職員処遇改善加算を創設―社保審・介護給付費分科会
来年度(2017年度)から、介護職員処遇改善加算に上位区分設けることを了承―社保審・介護給付費分科会