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2020年3月に介護療養の在院日数大幅短縮、新型コロナの影響が介護分野から現れている―病院報告、2020年3月分

2020.7.13.(月)

今年(2020年)2月から3月にかけて、介護療養病床の平均在院日数が100日を超える大幅短縮となり、病床利用率も8ポイント近く下がっている。新型コロナウイルス感染症の影響が、介護分野から現れていると見られる—。

「3月分」のデータを追いかけると、病院の一般病床では「平均在院日数は横ばい」となり、「病床利用率は特段の傾向なし」という状況で、在院日数短縮に向けた努力が停滞している可能性がある―。

こうした状況が、厚生労働省が7月10日に公表した今年(2020年)3月分の病院報告から明らかになりました(厚労省のサイトはこちら)。

2020年3月、介護療養で在院日数が大幅に短縮し、病床利用率も大幅低下

厚労省は、毎月末の「日本全国の病院における(1)1日平均患者数(2)平均在院日数(3)月末病床利用率―」を把握し、病院報告として公表しています。

今年(2020年)3月の(1)「1日平均患者数」は、病院全体で▼入院:120万4163人(前月と比べて3万5027人・2.8%減)▼外来:122万1094人(同3万123人・2.4%減)―となりました。2月から3月にかけて入院・外来ともに患者数が大きくが大幅に減少することは、例年どおりの傾向です。3月時点では、まだ「新型コロナウイルス感染症の影響」は限定的なようです。4月以降は緊急事態宣言が発せられ、予定入院・予定手術の延期などが要請されており、患者数に大きな変動が出てきそうです。

医療法上の病床種別に入院患者数を見てみると、▼一般病床:66万1980人(前月比3万1279人・4.7%減)▼療養病床:26万3790人(同2999人・1.1%減)▼精神病床:27万6793人(同1552人・0.6%減)▼結核病床:1333人(同10人・0.7%減)―などという状況です。一般病床について、「新型コロナウイルス感染症の影響」が出ているようにも見えます。

2020年2月から3月にかけて入院、外来ともに患者数は減少した(病院報告(2020年3月)1 200710)



また(2)「平均在院日数」は、病院全体では27.9日で、前月から0.2日延伸してしまっています。病床種別に見ると、▼一般病床:16.4日(前月から0.1日短縮)▼療養病床:132.3日(同0.8日短縮)▼介護療養病床:208.6日(同116.1日短縮)▼精神病床:271.8日(同5.0日延伸)▼結核病床:51.2日(同7.4日短縮)―となりました。介護療養について、驚くほどの短縮が見られますが、「新型コロナウイルスへの感染を回避するための一時退所」が行われているものと考えられ、「まず介護分野で新型コロナウイルス感染症の影響が目に見えて生じている」ようです。

2020年2月から3月にかけて介護療養の平均在院日数は100日超の大幅短縮となった(病院報告(2020年3月)3 200710)



さらに(3)「月末病床利用率」に目を移すと、病院全体では76.3%で、前月から1.5ポイント低下しました。病床種別に見ると、▼一般病床:70.5%(前月比1.9ポイント低下)▼療養病床:85.6%(同1.3ポイント低下)▼介護療養病床:82.4%(同7.8ポイント低下)▼精神病床:84.3%(同0.6ポイント低下)▼結核病床:32.6%(同0.7ポイント上昇)―という状況です。やはり介護療養で利用率が大きく下がっており、新型コロナウイルス感染症の影響と見られます。

2020年2月から3月にかけて介護療養の病床利用率は大幅に低下した(病院報告(2020年3月)2 200710)

一般病床の3月分データ、平均在院日数短縮に向けた積極的な努力が停滞か

平均在院日数や病床利用率には「暦月の変動」があります。この影響を除外するために、一般病床における「3月分」データだけを取り上げ、まず平均在院日数の動向の経年変化を見てみましょう。すると、2015年以降「概ね横這い」になっていることが分かります。

▼2012年:17.9日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日短縮)

▼2013年:17.7日(厚労省のサイトはこちら

(0.3日短縮)

▼2014年:17.4日(厚労省のサイトはこちら

(0.8日短縮)

▼2015年:16.6日(厚労省のサイトはこちら

(0.5日短縮)

▼2016年:16.1日(厚労省のサイトはこちら

(0.2日延伸)

▼2017年:16.3日(厚労省のサイトはこちら

(0.1日延伸)

▼2018年:16.4日(厚労省のサイトはこちら

(増減なし)

▼2019年:16.4日(厚労省のサイトはこちら

(増減なし)

▼2020年:16.4日(厚労省のサイトはこちら



一方、月末病床利用率は、次のような状況です。次のように低下と上昇を繰り返しており、「上昇傾向にある」とは言い難い状況です。

▼2012年:72.4%(厚労省のサイトはこちら

(1.2ポイント低下)

▼2013年:71.0%(厚労省のサイトはこちら

(1.8ポイント上昇)

▼2014年:72.8%(厚労省のサイトはこちら

(0.7ポイント上昇)

▼2015年:73.5%(厚労省のサイトはこちら

(0.9ポイント上昇)

▼2016年:74.4%(厚労省のサイトはこちら

(0.4ポイント低下)

▼2017年:74.0%(厚労省のサイトはこちら

(2.6ポイント低下)

▼2018年:71.4%(厚労省のサイトはこちら

(0.3ポイント上昇)

▼2019年:71.7%(厚労省のサイトはこちら

(1.2ポイント低下)

▼2020年:70.5%(厚労省のサイトはこちら



このように「3月分」データからは、2012年以降、「平均在院日数は横ばい」状況、「病床利用率については明確な傾向が見えない」ことが分かります。

Gem Medで繰り返しお伝えしていますが、平均在院日数の短縮は▼急性期一般病棟(旧7対1・10対1一般病棟)等における「重症患者割合」(重症度、医療・看護必要度の基準を満たす患者の割合)の向上▼DPC特定病院群(旧II群)要件の1つである「診療密度」の向上▼「院内感染」や「ADL低下」などのリスク低減▼患者のQOL向上(例えば職場への早期復帰を果たし、生活の安定を取り戻す)—といった「経営の質」「医療の質」双方の向上に直結する重要な事項です。

しかし、「在院日数の短縮」は▼空床の発生・増加 → ▼病床利用率の低下 → ▼病院経営の悪化―にも繋がってしまう、言わば「両刃の剣」であることも事実です(出来高・DPCのいずれにおいても入院料が「1日当たり」で設定されているため)。

このため、「在院日数の短縮」によって医療の質向上を図るとともに、「病床利用率の向上」によって病院経営を安定させる必要があります。このためには、▼かかりつけ医等と密接に連携して紹介患者を確保する▼救急搬送患者を積極的に受け入れる―などし、「重症の新規入院患者」獲得に力を入れることが必要不可欠です。この点、「3月分」からは、新規患者の獲得等に向けて、多くの病院が苦労しており、平均在院日数短縮(つまり早期退院)に向けた積極的な努力がやや停滞していると見ることができそうです。これは上述したメリットの逆、つまり▼感染リスク等の上昇▼患者QOLの低下—などを招いてしまい、好ましい状況とは決して言えません。



地域によっては既に人口減少モードに入っており(日本全国では人口減少が進んでいるが、大都市では増加しているところもある)、今後、多くの地域で「患者数そのものの減少」が進みます。また近い将来、多くの大都市部でも人口減少が始まります。人口減少は、すなわち「患者の減少」を意味し、全国各地で「減少する患者を、多くの病院が奪い合う」状況が生じます。そうした中では、個々の病院による「集患努力」が結実しないことが珍しくなくなっていきます。つまり、多くの地域で病院経営が不安定になる要素が大きいのです。

客観的に▼地域の医療ニーズ▼競合病院の状況▼自院の機能やリソース―を分析し、病床の機能転換(急性期から回復期・慢性期)や、「ダウンサイジング」(病床の削減)、さらに共倒れを防ぐための「近隣病院との再編・統合」なども検討していく必要があります。厚労省は、公立病院・公的病院等の一部(当初424病院であったが、精査の結果440病院程度となった)に関して「再編統合の再検証が特に強く要請される」との考えを示しています(関連記事はこちらこちら こちらこちら)。さらに2020年度予算では「医療法上の病床を稼働病床数ベースで1割以上削減する」病院について、病床削減割合に応じた補助金(全体で84億円)が創設されます(関連記事はこちらこちら)。こうした動きも眺めながら、「自院の状況・地域の状況」を再確認してみることが重要です。



ただし、2020年からは「新型コロナウイルス感染症」という全く別の要素が加わってくるため、慎重な分析が求められそうです(関連記事はこちらこちら)。

ぽんすけ2020 MW_GHC_logo

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