訪問リハ、事業所医師と他医療機関医師が情報連携してリハ計画作成した場合には報酬を減算―介護報酬改定疑義解釈(8)
2019.2.13.(水)
厚生労働省は2月5日に、2018年度介護報酬改定に関するQ&AのVol.8(疑義解釈その8)を公表しました。
今回は、「事業所の医師の診察なく、訪問リハビリテーション等を提供した場合の減算」について、介護現場の疑問に答えています(関連記事は、こちら(疑義解釈7)とこちら(疑義解釈6)とこちら(疑義解釈5)とこちら(疑義解釈4の2)とこちら(疑義解釈4の1)とこちら(疑義解釈3)とこちら(疑義解釈2)とこちら(疑義解釈1))。
原則は「訪問リハ事業所の医師による診察」が要件、減算の場合でも厳しい要件あり
自立支援を目指す介護保険制度においては、「リハビリテーション」が非常に重要なサービスの一つに位置付けられています。
ただし、介護保険のリハビリについては、従前、「ともすれば身体活動の改善のみを目標に、しかも効果を十分に確かめることなく、漫然と実施されているケースが多い」との指摘がありました。高齢者の目標・ニーズ(リハビリによってどうなりたいか、歩行が目的なのか、家事の自立を求めているのか)はさまざまであり、また定期的に効果をチェックし、リハビリ内容を必要に応じて修正していくことが重要なこと、介護報酬面でもこうした方向に推し進めていくことが再確認されました。
そこで2015年度の介護報酬改定において、リハビリの報酬体系が大きく見直されました。例えば▼リハビリテーションマネジメント加算を組み替え、リハビリの管理を強化・充実する▼ADL・IADL、社会参加などの生活行為の向上に焦点を当てた新たな『生活行為向上リハビリテーション』実施を加算で評価する▼認知症の状態に合わせた効果的な方法や介入頻度・時間を選択できるような【認知症リハビリテーション実施加算】への見直し―などが目立ちます。
さらに、2018年度の介護報酬改定では、この方向へさらにドライブをかけるため、リハビリテーションマネジメント加算のさらなる見直しなどが行われたほか、(介護予防)訪問リハビリにおいて「事業所の医師がリハビリテーション計画の作成に係る診療を行わなかった場合の減算(1回につき20単位を減算する)が新設されました。医療の専門家である医師が診察を行い、医学的視点で利用者の状態を把握することが、適切な目標設定に向けて不可欠なためです。このため、(介護予防)訪問リハビリ事業所には、常勤医師の配置も新たに求められています(ただし、他事業所等との兼務を可能とし、医師確保のハードルを低く設定している)。
具体的には、事業所医師がリハビリ計画作成に係る診療を行うことが訪問リハビリ提供の「要件」となり、これがなされなかった場合には、次の3点を満たすことを条件として「減算された報酬」を算定することになります。事業所医師の診察もなく、また次の3条件を要件を満たさない場合には、減算された報酬の算定することすら不可能となります。
【訪問リハビリ計画作成に係る診療を行わず、訪問リハビリを提供するための条件】
▼利用者が、当該事業所(A(介護予防)訪問リハビリ事業所とする)とは別の医療機関の医師(X医師とする)による計画的な医学的管理を受けており、A訪問リハビリ事業所の医師が、計画的な医学的管理を行っているX医師から、当該利用者に関する情報の提供を受けている
▼計画的な医学的管理を行っているX医師が適切な研修の修了等をしている
▼情報提供を受けたA(介護予防)訪問リハビリ事業所の医師が、当該情報を踏まえてリハビリ計画を作成すること
今般の疑義解釈(8)では、2つ目の条件である「適切な研修」について、日本医師会の「日医かかりつけ医機能研修制度」の応用研修の単位を取得した場合も含まれることが明らかにされました。
この場合、当該応用研修のすべての単位を取得していることまでは必要なく、(介護予防)訪問リハビリ事業所の医師に情報提供を行う日が属する月から前36か月の間に「合計6単位以上」(「応用研修第1期」の項目である▼フレイル予防・高齢者総合的機能評価(CGA)・老年症候群▼栄養管理▼リハビリテーション▼摂食嚥下障害―、および「応用研修第2期」の項目である▼かかりつけ医に必要な生活期リハビリテーションの実際▼在宅リハビリテーション症例▼リハビリテーションと栄養管理・摂食嚥下障害―のうち、いずれか1単位以上を含む)を取得、または取得予定であればよいことも明確にされました。
なお、別の医療機関の医師(上記のX医師)が(介護予防)訪問リハビリ事業所の医師に情報提供をする際には、「●●年3月31日までに適切な研修の修了等または受講を予定している」旨などを記載することが望まれます(上記要件を満たすか確認できる)。
なお、昨年(2018年)3月23日に公表された、疑義解釈(1)から、情報提供医師に必要とされる研修内容・項目が修正されています(疑義解釈(1)の問60は削除)ので、ご留意ください。
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