医療機器の電源プラグからの発火事故が散発、ホコリや水分等付着がないか定期確認し、清掃を―PMDA
2020.8.27.(木)
医療機器の電源プラグとコンセントの間などに、ホコリや水分、ゲルなどが付着し、漏電を引き起こしてそこから発火する事故が散発している。定期的な確認・清掃を徹底する必要がある—。
医薬品医療機器総合機構(PMDA)は8月26日に、「PMDA医療安全情報 No.59(漏電等による医療機器からの出火について)」を公表し、こうした点について医療現場に留意を呼びかけました(PMDAのサイトはこちら)。
なお、同日には「PMDA医療安全情報 No.60(胸腔ドレーン取扱い時の注意について)」も公表しており、こちらは別稿でお伝えします。
据置型の医療機器、長期間の設置で電源プラグ等にほこりがたまりやすい
PMDAでは、医療現場からヒヤリ・ハット事例や副作用・不具合報告を収集し、「繰り返し同様の事象が報告されている事例」「添付文書改訂等を通知した事例」などについて、医師・薬剤師・看護師・臨床工学技士等の医療従事者や人間工学分野などの専門家、医薬品・医療機器製造販売業者の業界団体の意見も参考に、「医療従事者に対して安全に使用するために注意すべき点」などをPMDA医療安全情報として公表しています。医療安全確保のために重要な情報の1つです。
今般、「漏電等による医療機器からの出火」が散発していることを踏まえ、機器使用上の留意点を2つ整理しています。
(1)コンセントに電源プラグを差し込んだまま、長期間使用される設置型医療機器では、コンセントと電源プラグの間にホコリがたまらないよう、定期的に点検・清掃を行う
(2)電源コード接続による駆動を行う際には、電源プラグと差込口をしっかりと接続するとともに、水やゲル等が電源プラグと差込口の間に付着していないことを確認する
まず(1)では、次のような設置型医療機器について、▼コンセントと電源プラグ間にたまったホコリに空気中の水分が付着して、電気の通り道ができ、電源プラグの刃(先端の金属部分)の間で「漏電」が発生する▼漏電が発生し、周辺部が高熱になることで「発火」に至る―危険性を指摘しています。実際に「コンセントと電源プラグの間に大量のホコリがたまり、ホコリに引火したため、ベッドサイドモニタの背後から煙とともに出火した」事故が発生しています。
▽定置型機器(例えば滅菌器やセントラルモニタなど)
▽据付型医療機器(例えば歯科ユニットや手術台など)
▽検査用医療機器(例えば心電計や超音波診断装置など)
こうした「漏電→発火」を防ぐために、PMDAでは、「コンセントと電源プラグの間にホコリがたまらないよう、定期的に点検・清掃を行う」ことを強く求めています。
医療機関に限らず、介護施設や一般家庭等でも同様の事象が発生するため「定期的な点検・清掃」はさまざまな場面で必須と言えます。
水分やゲル等の電源プラグ付着でも、漏電→発火の危険性あり
また(1)のホコリと同様に、▼電源プラグと機器の差込口との不十分な接続▼接続部分に水分やゲル等の物質付着―によって、「漏電→発熱・発火」の可能性があることを(2)で指摘しています。実際に、シリンジポンプを用いて薬剤を投与する中で、シリンジポンプの電源プラグの差込口から発火した事故が発生しています。
PMDAでは、電源プラグへの異物(ホコリ、水分、ゲルなど)の付着がないかを確認するとともに、異物付着が見られた場合には「いったんプラグを抜き、乾いた布等で取り除いてから使用する」ことを強く求めています。
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