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「カルプロテクチン量測定検査」、クローン病の病態把握を目的に実施する場合の検査手法をさらに拡大―厚労省

2023.6.2.(金)

クローン病の【病態把握】を目的に「カルプロテクチン量」を測定する場合の検査手法を拡大する(LA法による場合でも、D003【自己抗体検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」(270点)の算定を認める)―。

厚生労働省は5月31日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。6月1日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。

カルプロテクチン量を把握する検査、検査手法などの拡大続く

潰瘍性大腸炎(告示番号97)やクローン病(告示番号96)は指定難病に指定される難治性の希少疾病です。大腸の粘膜が侵され、びらんや潰瘍を形成し、血便、粘血便、下痢、血性下痢などが生じる疾患で、原因は明らかになっていません。

ただし、これら疾病においては、炎症が生じている腸上皮において「好中球から『カルプロテクチン』というタンパク質を放出されている」ことが知られています。

そこで、「糞便中のカルプロテクチン量」を測定・把握することで、潰瘍性大腸炎等の病態・活動性を把握することが可能となり、例えば「カルプロテクチンの量が少ない場合には、炎症性腸疾患が寛解していると考えられる」などの判定補助が可能になるのです。

そこで、2017年6月に糞便中のカルプロテクチン量を測定する検査(当初は病態把握のための検査、後に診断補助のための検査)が保険適用されました(D003【自己抗体検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」、関連記事はこちら)。

このカルプロテクチン量を測定するための検査は、これまで▼慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の【診断補助】を目的として実施する場合▼潰瘍性大腸炎またはクローン病の【病態把握】を目的として実施する場合—に保険診療として点数算定することが認められ(関連記事はこちら)、それぞれの場合で検査手法が限定されています。

今般、後者のうち「クローン病の病態把握」目的で実施する場合の検査手法について、新たに「LA法」を用いることが保険診療の中で認められました。クローン病の病態把握がより柔軟に行え、適切な治療につながることとなり、同疾患と闘う患者には大きな朗報になると言えそうです。

今般の見直しを踏まえると、保険診療の中で「カルプロテクチン」量を測定する検査の実施ルール(点数請求ルール)は次のように整理できます。

●D003【糞便検査】の(9)「カルプロテクチン(糞便)」:270点

慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の【診断補助】を目的とする場合(変更なし)
▼腸管感染症が否定される▼下痢、腹痛や体重減少などの症状が3か月以上持続する▼肉眼的血便が認められない—のいずれにも該当し、「慢性的な炎症性腸疾患が疑われる」場合に、内視鏡前の補助検査として、以下の手法で実施する場合に算定可能
▼上記の要旨を診療録・レセプトの摘要欄に記載する
FEIA法(2017年12月から保険適用)
LA法(2020年10月から)



潰瘍性大腸炎の【病態把握】を目的とする場合(変更なし)
▼以下の手法で実施する場合に、原則として3か月に1回算定可能(医学的な必要性から1か月に1回行うことも可能だが、その場合には詳細な理由・検査結果を診療録・レセプトの摘要欄に記載する)
ELISA法(2017年6月から)
FEIA法(2017年12月から)
金コロイド凝集法(2020年5月から)
イムノクロマト法(2020年10月から保険適用)
LA法(2020年10月から)



クローン病の【病態把握】を目的とする場合
▼以下の手法で実施する場合に、原則として3か月に1回算定可能(医学的な必要性から1か月に1回行うことも可能だが、その場合には詳細な理由・検査結果を診療録・レセプトの摘要欄に記載する)
ELISA法(2021年12月から)
FEIA法(2022年5月から)
イムノクロマト法(2022年5月から)
(新)▽LA法(2023年6月から)



なお、慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)の診断補助・病態把握を目的として、本検査とD313【大腸内視鏡検査】(検査手法や部位により900-1550点)とを「同一月中」に併せて行った場合には「主たるもの」のみ算定が可能です。



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