Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 看護モニタリング

2020年1月からの新規福祉用具貸与77品目の上限価格公表、上限超過は介護保険の対象外―厚労省

2019.7.30.(火)

 厚生労働省は7月26日に、介護保険における来年(2020年)1月からの福祉用具貸与(新規77品目)の「全国平均貸与価格」および「上限価格」を公表しました(厚労省のサイトはこちら)。

利用者の適切な選択を担保するため、福祉用具相談員は平均価格情報などの説明を

公的介護保険サービスの1つとして福祉用具貸与があります。▼車いす(付属品含む)▼特殊寝台(ベッド、付属品含む)▼床ずれ防止用具▼体位変換器▼手すり▼スロープ▼歩行器▼歩行補助つえ▼認知症老人徘徊感知機器▼移動用リフト(つり具の部分を除く)▼自動排泄処理装置—の貸与に係る費用の一部を保険給付することで、「在宅限界」を高める重要な役割に担っています。
福祉用具貸与の上限価格(2018年10月から) 180710の図表の追加
 
ただし、従前、福祉用具貸与の価格は「事業所の裁量による価格」(つまり言い値)となっていたため、まったく同じ製品であっても貸与価格に大きなバラつきがあり、一部事業者が極めて高額な貸与価格を設定していることが問題視されていました。
 
そこで2018年度の介護報酬改定において、(1)全国の平均的な貸与価格を公表し、福祉用具専門員に、利用者にこれを説明することを義務付ける(2)貸与価格に上限を設定する―という2点の見直しが行われました。
 
前者(1)は、利用者への情報提供を徹底し、「適切に製品・事業者を選択できる機会を確保する」ことを目指すものです。福祉用具専門員は、利用者に対し▼当該製品の貸与価格▼同一製品の全国平均貸与価格▼当該製品の特徴▼同一の機能を持つ他の製品の情報―を適切に説明することが義務付けられます(2018年10月から義務付け)。
2018年度介護報酬改定(福祉用具貸与)1
 
また後者(2)は、保険請求できる上限価格を「全国平均価格+1SD(標準偏差)」に定めるものです(2018年10月から適用)。同じ製品であっても、▼仕入価格▼搬出入の経費(遠方への搬送にはコストがかかる)▼保守点検等の費用―が事業者によって異なるため、平均から1SDというバッファを置き、これを上限とするものです。
2018年度介護報酬改定(福祉用具貸与)2
 
なお上限を超える貸与価格を設定した場合(例えばA製品について上限が1万円であったとして、1万3000円の貸与価格を設定した場合)、「上限までは保険給付を行い、超過部分(例で言えば3000円)を自己負担等とする」とするのではなく、「保険請求を認めない(1万3000円全額が自己負担等となる)」仕組みとなっています。この点について、厚労省老健局高齢者支援課の武井佐代里課長(当時)は、「上限を超過した場合でも給付対象とすれば、制度として上限超過を肯定したことになってしまい、利用者負担も増えてしまう。上限設定であるので、超過した場合には保険から排除する」旨を説明しています(2017年10月27日の社会保障審議会・介護給付費分科会、関連記事はこちら)。

 
 
厚労省は2019年度以降、▼3か月に1度程度の頻度で、新規製品についても「全国平均価格情報」や「貸与価格上限」を設定し、公表する▼1年に1度程度の頻度で「全国平均価格情報」や「貸与価格上限」を見直す―考えを示し、今年(2019年)4月には、「10月からの消費税率引き上げ(8%→10%)を踏まえた、全国平均価格・上限価格」を公表していました(関連記事はこちら)。

しかし、2018年10月以降の平均・上限価格公表により▼高額な保険請求は相当程度排除されている▼25%の利用者では上限超過商品を利用しているが、サービスの変化はごく僅か(3%未満)である▼福祉用具貸与事業所の74%で収益が減少し、またカタログ修正などによるコストが発生している―状況に鑑み、「2019年度には上限価格の見直しは行わず、新商品については新たな上限価格設定を行う」ことになりました(4月10日の社会保障審議会・介護給付費分科会で決定)。「上限価格見直しルール」を今後どう考えるかは別途議論される見込みです(関連記事はこちら)。

これを踏まえ、今般、新規製品(77製品)の価格情報(全国平均・上限)が新たに公表されたものです。これらは来年(2020年)1月から適用され、福祉用具貸与価格の全体像は次のように整理できます。

▽今年(2019年)9月まで:2018年10月からの価格情報(A)を適用する

▽今年(2019年)10月から:2019年10月からの価格情報(B)を適用する

▽来年(2020年)1月から:既存製品については「2019年10月からの価格情報(B)」を、新規製品については「2020年1月からの価格情報(C)」を適用する

◆福祉用具貸与に係る平均価格・上限価格の一覧は、こちら(厚労省サイト)からダウンロードできます(サイト中段の3つのExcelファイル(▼福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限一覧(平成30年10月~令和元年9月)(A)▼福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限一覧(令和元年10月~)(B)▼福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限一覧(令和2年1月~)(C)―))

 
 福祉用具専門相談員は、製品の特徴・価格だけでなく、利用者の適切な選択に資するために「全国平均貸与価格」を利用者に説明しなければいけません。

また福祉用具貸与事業者は、「上限価格」を超える価格で貸与を行った場合、介護報酬の「福祉用具貸与費」は算定できなくなる点に最大限の留意が必要です。

   
 
診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

 

【関連記事】

介護保険の福祉用具貸与、2019年10月貸与分から平均貸与・上限価格を引き上げ―厚労省
福祉用具貸与の上限価格設定で「超高額」事例は排除、2019年度は上限価格据え置き―介護給付費分科会(2)
常勤介護職員の月給、2017年度から18年度にかけて1万850円アップ―介護給付費分科会(1)
2019年10月に新設される【特定処遇改善加算】、事業所等の柔軟な裁量認める―介護給付費分科会
2019年10月予定の消費税率引き上げに伴い、介護報酬の基本単位数を引き上げ―介護給付費分科会(2)
新たな【特定処遇改善加算】の加算率、訪問介護では6.3%・4.2%、介護療養では1.5%・1.1%など―介護給付費分科会(1)

2019年10月に消費税対応改定と新処遇改善加算創設を実施―介護給付費分科会
2019年10月予定の「新処遇改善加算創設」「消費税対応改定」の大枠固まる―介護給付費分科会
処遇改善に向けた【新たな加算】、事業所等の状況に応じた「異なる加算率」を設けるべきか―介護給付費分科会
介護報酬の消費税対応は基本単位数アップがベース、区分支給限度基準額引き上げ等も検討―介護給付費分科会
地域区分単価や福祉用具貸与価格上限にも、消費税率引き上げを反映せよ―介護給付費分科会(2)
消費税問題、介護分野でも「個別事業所・施設の補填過不足を調整する」仕組みを四病協が提案―介護給付費分科会(2)

新たな処遇改善加算、「技能・経験ある介護職」「他の介護職」「その他職種」で傾斜配分へ―介護給付費分科会
現在の処遇改善加算に「他職種にも充てられる加算」を上乗せする形も検討―介護給付費分科会(1)
新たな介護職員処遇改善加算、介護福祉士に重点化するとともに、多職種への適用も―介護給付費分科会
2019年10月から、勤続10年以上の介護職員で8万円の賃金アップ―安倍内閣

 
2017年度創設の新介護職員処遇改善加算Iで、介護職員給与は1万3660円増加―介護給付費分科会(1)
介護職員処遇改善加算の新区分、キャリアパス要件IIIの内容や手続きを詳説―厚労省
介護職員処遇改善加算の新区分、4月から算定するためには「4月15日」までに届け出を―厚労省
定期巡回・随時対応で13.7%、看多機で10.2%の新たな介護職員処遇改善加算を創設―社保審・介護給付費分科会
来年度(2017年度)から、介護職員処遇改善加算に上位区分設けることを了承―社保審・介護給付費分科会
来年度から、介護職員の経験や評価などに基づく『定期昇給』を要件とする新処遇改善加算―介護給付費分科会
2017年度の臨時介護報酬改定論議スタート、定昇規定の整備などを要件にした処遇改善を模索―介護給付費分科会
介護従事者の処遇改善に向け、来年度(2017年度)に臨時の介護報酬改定―介護保険部会(2)

介護職員処遇改善加算の新加算(I)、キャリアパス要件IIIの設計方法などを調査—介護事業経営調査委員会

処遇改善加算IVとVを廃止、介護ロボット導入で要件緩和―第153回介護給付費分科会(1)
介護職員処遇改善加算のIVとV、2018年度改定で廃止に向け検討—介護給付費分科会(2)

 
2018年10月からの福祉用具貸与の上限価格を公表、上限超過製品は介護保険の対象外に―厚労省
介護療養の精神科作業療法専用施設、機能訓練室等との兼用も可能―介護報酬改定疑義解釈(5)
居宅療養管理指導における「単一建物居住者」、より詳しい考え方を提示―介護報酬改定疑義解釈(4)の2
ICT活用した訪問介護と外部リハビリとの連携を生活機能向上連携加算(I)として評価―介護報酬改定疑義解釈(4)の1
居宅療養管理指導に導入された「単一建物居住者」、詳細を明示―介護報酬改定疑義解釈(3)
介護医療院、I・II型の併設可能だが、各々でサービス費の種類は揃えよ―介護報酬改定疑義解釈(2)
訪問看護の【看護体制強化加算】、介護施設の【排せつ支援加算】などの詳細を解説―介護報酬改定疑義解釈(1)

通所介護におけるアウトカム評価【ADL維持等加算】の詳細を通知―厚労省

【18年度介護報酬改定答申・速報8】グループホーム入居者の「入院・再入居」を円滑に
【18年度介護報酬改定答申・速報7】医療ニーズに対応できる特定施設を手厚く評価
【18年度介護報酬改定答申・速報6】特養配置医が活躍し、看取りまで対応できる体制に
【18年度介護報酬改定答申・速報5】老健の報酬体系再編、在宅復帰機能「超強化型」を創設
【18年度介護報酬改定答申・速報4】ケアマネに新加算設け、医療機関との連携を促進
【18年度介護報酬改定答申・速報3】介護医療院への早期転換を「1日93単位の加算」で促進
【18年度介護報酬改定答申・速報2】看護体制強化加算に上位区分―介護給付費分科会
【18年度介護報酬改定答申・速報1】長時間の通所リハなど、基本報酬引き下げ―介護給付費分科会
医療機関併設型の小規模な介護医療院、人員基準を緩く―介護給付費分科会 第157回(1)

2018年度改定率、診療報酬本体プラス0.55%、介護報酬プラス0.54%で決着

2018年度介護報酬改定、医療との連携や自立支援を柱とする審議報告を了承―介護給付費分科会 第156回
200床未満の医療提供施設で勤務するリハ専門職との連携を、多様な介護サービスで評価―第155回介護給付費分科会(2)
利用者が「月50人以上」住む建物への訪問サービス、減算を厳しく―第155回介護給付費分科会(1)
介護サービス利用者の栄養管理を評価―第153回介護給付費分科会(4)
区分支給限度基準額の管理、集合住宅減算を適用せずに計算―第153回介護給付費分科会(3)
定期巡回型サービス提供の“不適切事例”に対策―第154回介護給付費分科会(2)
「有床診の介護参入」や「療養病床の転換」促す運営基準見直し案を了承―第154回介護給付費分科会(1)
要介護度の改善に向けて、「状態改善」に資するサービスの評価を新設―第153回介護給付費分科会(2)
処遇改善加算IVとVを廃止、介護ロボット導入で要件緩和―第153回介護給付費分科会(1)
ケアマネは入院3日以内に情報提供を、集中減算は3サービスに限定―介護給付費分科会(3)
老健の基本報酬、在宅機能に応じたメリハリ強く―介護給付費分科会(2)
介護医療院の方向性固まる、「1年限りの加算」で転換促す―介護給付費分科会(1)
多床室ショートステイの介護報酬、従来型個室並みに引き下げ―介護給付費分科会(2)
特養での医療ニーズ対応を強化すべく、配置医の夜間診療などを高く評価―介護給付費分科会(1)
居宅療養管理指導でも「単一建物居住者」の人数で評価へ―介護給付費分科会(3)
診療報酬でも、「同一・隣接建物に住む患者」への訪問で減算などを検討—中医協総会(1)
通所介護・リハの基本報酬を見直し、1時間刻みに細分化―介護給付費分科会(2)
介護保険の訪問看護、ターミナルケアの実績さらに評価へ―介護給付費分科会(1)
集合住宅への訪問介護など、減算対象を拡大へ―介護給付費分科会(2)
福祉用具貸与、上限価格を超える場合には「保険給付の対象としない」―介護給付費分科会
生活援助の介護人材育てるも、報酬下げの可能性―介護給付費分科会(1)

介護職員処遇改善加算のIVとV、2018年度改定で廃止に向け検討—介護給付費分科会(2)
自立支援に資する介護、「要介護度の改善」だけでない点で一致—介護給付費分科会(1)
介護老健の在宅復帰・リハビリ・医療提供の各機能をどう充実させるか—介護給付費分科会(2)
介護医療院、報酬設定論議始まる!医療療養からの転換を危惧する声も—介護給付費分科会(1)
特養ホーム、医療ニーズ勘案し「介護医療院」などとの役割分担をどう考えるか—介護給付費分科会(2)
ケアマネの特定事業所集中減算、廃止含めた見直し要望が多数—介護給付費分科会(1)
生活援助中心の訪問介護、給付切り下げに賛否両論—介護給付費分科会(2)
2018年度改定でも「訪問看護の大規模化」や「他職種との連携」が重要論点—介護給付費分科会(1)
通所介護の「質」をどのように考え、報酬に反映させるべきか—介護給付費分科会
介護報酬の居宅療養管理指導、在宅医療の診療報酬に合わせた体系としてはどうか—介護給付費分科会(2)
退院後2週間未満の訪問リハ開始が効果的だが、3割の要介護者では実現できず—介護給付費分科会(1)
認知症デイサービスはIIIa以上、一般デイではIIb以下が主に利用—介護給付費分科会
定期巡回や看多機の整備進まず、「ニーズの実態を精査すべき」との指摘も—介護給付費分科会(2)
一部有識者が提唱する「新型多機能」、小多機の理念に反すると猛反発—介護給付費分科会(1)
2018年度介護報酬改定に向けキックオフ、夏までに第1ラウンドの議論終える—介護給付費分科会

オンラインでのサービス担当者会議などを可能にし、医療・介護連携の推進を—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
要介護・維持期リハビリ、介護保険への移行を促すため、診療報酬での評価やめるべきか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
訪問看護、2018年度同時改定でも事業規模拡大などが論点に―中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
医療機関での看取り前の、関係者間の情報共有などを報酬で評価できないか―中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)