遺伝性網膜ジストロフィ遺伝学的検査を8月30日に保険適用、患者1人につき1回のみ2万500点が算定可能—厚労省
2023.9.1.(金)
両アレル性RPE遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィの治療に用いる新薬「ボレチゲン ネパルボベク」(販売名:ルクスターナ注)の適用判定を補助する「遺伝性網膜ジストロフィ遺伝学的検査」について、保険診療の中で実施する際のルールを整理し、例えば「患者1人につき生涯に1回2万500点の算定を認める」「原則として『遺伝カウンセリング加算の取得医療機関』での実施を求める」こととする—。
厚生労働省は8月29日に通知「検査料の点数の取扱いについて」を発出し、こうした点を明らかにしました。8月30日から適用されています(厚労省のサイトはこちら)。
原則として「遺伝カウンセリング加算の取得医療機関」での実施を
8月23日の中央社会保険医療協議会総会で、次の薬剤・検査機器の保険適用が承認されました(関連記事はこちら)。
▽両アレル性RPE遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィの治療に用いる薬剤「ボレチゲン ネパルボベク」(販売名:ルクスターナ注(0.5mL1瓶(希釈液2本付))):1瓶当たり4960万226円(両眼に使用するため1人当たりには2倍となる9920万円余り)と極
▽遺伝性網膜ジストロフィと診断された患者、または疑われる患者の疾患原因遺伝子の情報を取得する「PrismGuide IRD パネルシステム」
この中医協決定を受け、今般の通知では「後者の検査機器を用いた【遺伝性網膜ジストロフィ遺伝学的検査】を保険診療の中で行う際の留意点」が次のように整理されました。
【対象者】
▽臨床症状、検査所見、家族歴等から「RPE65遺伝子変異による遺伝性網膜ジストロフィ」と疑われ、十分な生存網膜細胞を有することが確認された者
【検体】
▽血液
【検査方法】
次の要件を満たす医療機器などにより次世代シーケンシングを用いて新薬「ボレチゲン ネパルボベク」の適応判定を補助する
▽「遺伝性網膜ジストロフィの疾患原因遺伝子情報を取得するもの」として薬事承認・認証を得ている
▽厚労省難治性疾患政策研究事業において「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班網膜ジストロフィにおける遺伝学的検査のガイドライン作成ワーキンググループ」が作成した「遺伝性網膜ジストロフィの原因となりうる主な遺伝子」リストに記載されている遺伝性網膜ジストロフィの関連遺伝子の変異を評価可能である
【算定点数】
患者1人につき1回に限り(生涯に1回)、次の点数を合算した点数(2万500点)を準用して算定可能である
▽D006-24【肺癌関連遺伝子多項目同時検査】:1万点
▽D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1.悪性腫瘍遺伝子検査」の「イ.処理が容易なもの」の(1)医薬品の適応判定の補助等に用いるもの:2500点
▽D004-2【悪性腫瘍組織検査】の「1.悪性腫瘍遺伝子検査」の「イ.処理が容易なもの」の「注1 ハ 4項目以上」:8000点
【留意事項】
▽本検査は、厚労省難治性疾患政策研究事業において「網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究班IRDパネル検査における遺伝学的検査運用ガイドライン作成ワーキンググループ」が作成した検査運用指針に従って実施された場合に限り算定できる
▽本検査は、【遺伝カウンセリング加算】の施設基準に係る届け出を行っている保険医療機関で実施する
→ただし、「遺伝カウンセリング加算の施設基準届け出を行っている保険医療機関」との連携体制を有し、当該届け出を行っている保険医療機関において必要なカウンセリングを実施できる体制が整備されている場合は、この限りではない
(参考)
【遺伝カウンセリング加算】に関する施設基準
▽遺伝カウンセリングを要する診療経験3年以上の常勤医師が1名以上配置されていること
→週3日以上常態として勤務し、かつ所定労働時間が週22時間以上の勤務を行っている非常勤医師(遺伝カウンセリングを要する診療経験3年以上の医師に限る)を2名以上組み合わせることで「常勤医師の勤務時間帯と同じ時間帯にこれらの非常勤医師が配置されている」場合には、当該基準を満たしていると見做す
▽遺伝カウンセリングを年間合計20例以上実施していること
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