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診療報酬改定セミナー2022 診療報酬改定セミナー2022

有床診減少のブレーキは本当なのか?2022年12月に6000施設・23年2月に8万床切る見込み―医療施設動態調査(2021年8月)

2021.11.1.(月)

有床診療所は、今年(2021年)7月から8月にかけて17施設・230床の減少となった。減少ペースが本当に落ちているのか、長期的に見ていく必要がある―。

現在の減少ペースが維持されるとすれば、来年(2022年)12月末に6000施設を割り込み、再来年(2023年)2月末に8万床を切る計算である―。

厚生労働省が10月29日に公表した医療施設動態調査(2021年8月末概数)から、こうした状況が分かりました(厚労省のサイトはこちら)。

今年(2021年)7月から8月にかけての、医療施設数・ベッド数の状況(医療施設動態調査(2021年8月) 211029)

有床診の施設数、「来年(2022年)12月末に6000施設を割る」ペースで減少

厚労省は毎月末における医療機関(病院・診療所)の施設数・病床数を集計し、「医療施設動態調査」として公表しています(前月末の状況はこちら、前々月末の状況はこちら、その前の月末の状況はこちら)。今年(2021年)8月末における全国の医療施設は18万544施設で、前月末から156施設増加しました。

うち病院施設数は前月末から1施設減少し、8213施設となりました。種類別に見ると、▼一般病院:7162施設(前月から増減なし)▼精神科病院:1051施設(同1施設減)—などです。一般病院のうち「療養病床を有する病院」は3533施設で前月末から2施設減、「地域医療支援病院」は632施設で前月末から1施設増加しています。

医科診療所の施設数は10万4313施設で、前月末から163施設の増加となりました。内訳は、無床クリニックが180施設増加(9万8083施設)、有床クリニックが17施設減少(6230施設)です。無床の一般診療所増加は、「病院から無床診療所への医師・看護師等の移動」(つまり退職)につながります。新型コロナウイルス感染症が拡大し「医療従事者が散在し、医療提供体制が逼迫している」と各地で悲鳴が上がる中で、こうした動きをどう考えていくべきかも今後の重要な検討テーマとなりえるでしょう。



医科の有床診療所施設数を見ると、2年前(2019年8月末)には6662施設(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2020年8月末)には6414施設(厚労省のサイトはこちら)でした。一昨年(2019年)8月末から昨年(2020年)8月末までの1年間で248施設の減少、そこから今年(2021年)8月末(6230施設)までの1年間で184施設の減少となっています。有床診療所の施設数は、昨年(2020年)8月末以降、次のように推移しています。

▼2020年8月末:6414施設
↓(10施設減)
▼2020年9月末:6404施設
↓(25施設減)
▼2020年10月末:6379施設
↓(9施設減)
▼2020年11月末:6370施設
↓(21施設減)
▼2020年12月末:6349施設
↓(26施設減)
▼2021年1月末:6323施設
↓(20施設減)
▼2021年2月末:6303施設
↓(17施設減)
▼2021年3月末:6286施設
↓(17施設減)
▼2021年4月末:6269施設
↓(6施設減)
▼2021年5月末:6263施設
↓(9施設減)
▼2021年6月末:6254施設
↓(7施設減)
▼2021年7月末:6247施設
↓(17施設減)
▼2021年8月末:6230施設



直近1年間は、1か月当たり「15施設強」のペースで減少が続いています。現在のペースが続くと仮定すれば、来年(2022年)12月末に6000施設を割る計算です(前月までよりも1か月遅いペース)。

有床診のベッド数、「2023年2月末に8万床を割るペース」での減少変わらず

次に病院・診療所の病床数(ベッド数)を眺めてみましょう。

全体では、今年(2021年)8月末には158万8243床で、前月(2021年7月)末から483床の減少となりました。

このうち病院病床数は150万3752床で、前月末から253床の減少。医療法上の病床種類別に見ると、▼一般病床:88万6566床(前月末から51床増加)▼療養病床:28万7611床(同259床減少)▼精神病床:32万3678床(同27床減少)—などです。

また、有床診療所の病床数は前月末から230床減少し、8万4433床となりました。2年前(2019年8月末)には9万1068床(厚労省のサイトはこちら)、1年前(2020年8月末)には8万7398床(厚労省のサイトはこちら)でした。一昨年(2019年)8月末から昨年(2020年)8月末までの1年間で3670床減少、そこから今年(2021年)8月末までの1年間で2965床減少しています。昨年(2020年)8月末以降、有床診のベッド数は次のように推移しています。

▼2020年8月末:8万7398床
↓(182床減)
▼2020年9月末:8万7216床
↓(348床減)
▼2020年10月末:8万6868床
↓(200床減)
▼2020年11月末:8万6668床
↓(337床減)
▼2020年12月末:8万6331床
↓(402床減)
▼2021年1月末:8万5929床
↓(280床減)
▼2021年2月末:8万5649床
↓(313床減)
▼2021年3月末:8万5336床
↓(287床減)
▼2021年4月末:8万5049床
↓(78床減)
▼2021年5月末:8万4971床
↓(222床減)
▼2021年6月末:8万4749床
↓(86床減)
▼2021年7月末:8万4663床
↓(230床減)
▼2021年8月末:8万4433床

この1年間では、1か月当たり「247床」強のペースで減少が続いています。現在のペースが継続すると仮定すれば、再来年(2023年)2月末に8万床を切る計算です(前月までと同じペース)。





有床診は、▼将来の地域包括ケアシステム(要介護状態になっても住み慣れた地域で在宅生活を継続可能とする仕組み)▼現在の医療提供体制―のいずれにおいても重要な構成要素です(2次医療圏の中には、総ベッド数の4分の1が有床診である地域もある)。有床診の減少は、現在および将来における地域医療・介護提供体制の脆弱化を招きかねません。

厚労省は、2018年度診療報酬改定(介護報酬との同時改定)で、有床診療所を(1)専門特化型(2)地域包括ケア型―の2類型に分け、後者の『地域包括ケア型』について「過疎地などにおける入院医療の重要な支え手(地域包括ケアシステムの重要な担い手)であるものの、経営が厳しく、存続が困難」といった課題に直面していることを重視。有床診経営を支援するために、要介護者の受け入れを【介護連携加算】で評価するなどの報酬見直しを行いました(関連記事はこちらこちら)。

さらに2020年度診療報酬改定では、次のような見直しが行われました(関連記事はこちら)。

▼【有床診療所一般病床初期加算】(急性期病棟からの転棟患者受け入れを評価する)について、点数を150点に引き上げ(50点増)、算定上限日数を「転棟等日から14日」に延長する(7日間延長)

▼【医師配置加算】について、加算1を120点(32点増)、加算2を90点(30点増)に引き上げる

▼【看護配置加算】について、加算1を60点(20点増)、加算2を35点(15点増)に引き上げる

▼【夜間看護配置加算】について、加算1を100点(15点増)、加算2を50点(15点増)に引き上げる

▼【看護補助配置加算】について、加算1を25点(15点増)、加算2を15点(10点増)に引き上げる

▼【有床診療所緩和ケア診療加算】について、250点に引き上げる(100点増)



今年(2021年)4月以降、減少ペースがダウンしているように見えました(関連記事はこちらこちらこちらこちら)。しかし、今般の結果を見ると「減少にブレーキがかかっている」のかを改めて確認する必要がありそうです。

ところで、「診療報酬による手当てでは、有床診の減少を止めることはできないのではないか。有床診減少の背景には『後継者不在』なども大きく関係しており、別の手当てを考える必要があるのではないか」と指摘する識者もおられます。2022年度診療報酬改定に向けた議論が精力的に進められていますが、「有床診の減少スピードに歯止めをかけるために新たな一手を打つ」のか、あるいは「別の方向に舵を切る」のか、今後の動きに注目する必要もあります。



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一般病床数、療養病床数ともに3桁の減少―医療施設動態調査(2016年9月)
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