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診療報酬改定セミナー2022 診療報酬改定セミナー2022

1入院当たり包括支払い方式の拡大で、急性期医療の集約化・機能強化進めよ―経済財政諮問会議で有識者議員

2021.11.29.(月)

2022年度の次期診療報酬改定に向け、例えば「1入院当たり包括支払い方式の拡大による急性期医療提供体制の集約化」「かかりつけ医機能の制度化」「オンライン診療の推進」などを行うべきである―。

11月25日に開催された経済財政諮問会議で、有識者議員からこうした提言が行われました。

「メリハリのある診療報酬改定を」と岸田首相、ただし改定率などは今後の議論

経済財政諮問会議は、我が国の財政を健全化し、同時に経済を再生するために様々な提言を政府に行う機関です。その一環として、毎年度「経済財政運営と改革の基本方針」(いわゆる骨太の方針)を策定します。

医療・年金・介護といった社会保障は、国民生活を支える極めて重要なセーフティネットであり「充実」が求められますが、一方で大きな財政支出を伴う(例えば医療に関しては4分の1が国費である)ため「効率化」も求められます。

来年度(2022年度)から、いわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になりはじめ、2025年度には全員が後期高齢者となります。このため、今後、急速に医療・介護ニーズが増加していきます。これは「社会保障費の増加」=「国家財政の逼迫化」を意味します。

また、現在は落ち着きを見せている新型コロナウイルス感染症ですが、感染者数減少の明確な要因は必ずしも明らかになっておらず、また北海道などで新規感染者増加の兆しも出ており、「今冬に第6波が到来する」可能性も懸念されています。依然として「感染防止策の徹底」と「医療提供体制の確保」が重要な状況は変わっていません。医療提供体制に関しては「我が国では医療機関が多すぎ、限られた医療資源(例えば医師・看護師などの医療人材)が散在してしまい、重症患者等に適切に対応することが困難な状況に陥っている」と指摘され、「急性期・高度急性期医療提供体制の集約化」が重要な検討課題の1つに据えられています。

さらに来年度(2022年度)には診療報酬改定が予定されており、現在、中央社会保険医療協議会を中心に改定論議が精力的に進められています。

上述のとおり社会保障は国家財政にも大きな影響を及ぼすため、こうした状況を総合的に踏まえ、諮問会議でも「社会保障改革」に向けた議論が進められているのです。

11月25日の会合では民間有識者議員(▼十倉雅和:住友化学株式会社代表取締役会長▼中空麻奈:BNPパリバ証券株式会社グローバルマーケット総括本部副会長▼新浪剛史:サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長▼柳川範之:東京大学大学院経済学研究科教授—)から、社会保障改革に向けた意見が提示されました。

まず2022年度の診療報酬改定に関しては「改定を通じて医療提供体制の強化を実現すべき」との考えが示されました。例えば、上述した「急性期病床の強化・集約化」を進めるために「1入院当たり包括支払い」の導入・拡大をすべきと進言しています(関連記事はこちら)。

「1入院当たりの包括払い」方式では、利益率を高めるために「在院日数を極力短くする」ことが重要となってきます(包括方式ゆえに収益の上限が決まっており、コストを最小限にすることが利益率向上のために重要となる)。しかし「在院日数の短縮」は「病床利用率の低下」にもつながるため、新規患者の獲得を強化しなければなりません。しかし地域の患者数には限りがあることから、新規患者獲得のために「診療圏の拡大」が必要となります。

ただし、こうした状況はすべての病院で同様であるため、「すべての病院が診療圏を拡大する」→「新規患者の獲得競争が激化する」→「地域において病院の勝ち負けが明確になる」→「優れた病院が生き残り、その病院を軸に医療提供体制の再編・統合が進む」という流れが出来上がるのです。再編・統合により「優れた人材」に医療資源が集約化され、例えば▼人員体制の強化による医療の質向上▼医療従事者の働き方改革の推進―などが実現できます。

もっとも「地域住民の医療機関へのアクセス」も重要な要素であり、この点にも十分に配慮した再編・統合が求められます(例えば、巡回バスの運行やサテライト病院・クリニックの設置など)ことは述べるまでもありません。



このほか、民間有識者議員は2022年度の次期診療報酬改定に向けて、▼感染症を踏まえた診療報酬上の特例措置の効果を検証する▼かかりつけ医機能について国民の理解を深めつつ制度化する▼かかりつけ医への加算評価やオンライン診療料(特定疾患管理料等の対面診療との格差是正を含む)の見直し等を通じ、オンライン診療の対象機関を拡大する▼かかりつけ薬剤師による適切な服薬指導の下、リフィル処方箋(医師が認めた場合、一定期間、反復使用できる処方箋)を導入する▼薬価について費用対効果も踏まえた算定基準の見直しを推進する▼市場実勢価格に合わせた薬価改定分は国民に還元する(診療報酬本体への上乗せは行わない)—ことなども提言しました。

また同日には岸田文雄内閣総理大臣から、2022年度診療報酬改定について「メリハリをつける」との考えが提示されています。民間有識者議員も「診療報酬本体のメリハリのある見直しを行い、国民負担を軽減すべき」との考えを示しています。診療報酬における「メリハリ」とは、一般的に「必要・重要な部分は点数等の引き上げを行い、その分、他の部分の点数引き下げを行う」ことを意味しますが、「プラス改定は行わない」ことなどをダイレクトに意味するものでもありません。今後、厚生労働省や中医協で議論をする際に、上記の点を踏まえていくことになります。



あわせて民間有識者議員は、▼1人当たり医療費・介護費の地域差半減・縮小を進めるために、地域医療構想のPDCAサイクル強化や医療費適正化計画の在り方見直しなどを進める▼新興感染症による医療機関受診行動の変化や少子化推進を踏まえた経済と社会保障給付・負担の将来的展望を提示する▼デジタル化などを進めることで医療・介護の生産性を向上させ(高度医療の機能強化・集約化もその一つ)、将来性のある市場を創出する▼後期高齢者支援金等の負担軽減をはじめとする社会保険料負担の増加抑制などを進める―ことも強く求めています。



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