「HTLV-1関連脊髄症患者」「遺伝性痙性対麻痺による痙性対麻痺患者」にもロボットスーツ用いた歩行運動処置を実施可—厚労省
2023.10.10.(火)
「HTLV-1関連脊髄症患者」「遺伝性痙性対麻痺による痙性対麻痺患者」にもロボットスーツ用いた歩行運動処置を保険診療の中で実施可能とする—。
厚生労働省は9月29日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」等の一部改正について」を発出し、こうした点を明確にしました。10月1日より適用されています(厚労省サイトはこちら)。
学会指針を踏まえて「転倒しない」ような配慮の上で実施を
今回は、次の4本の通知・事務連絡について見直しを行いました。
(1)「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2022年3月4日付、保医発0304第1号)
(2)「特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について」(2022年3月4日付、保医発0304第9号)
(3)「特定保険医療材料及びその材料価格(材料価格基準)の一部改正に伴う特定保険医療材料(使用歯科材料料)の算定について」(2022年3月4日付、保医発0304第10号)
(4)「特定保険医療材料の定義について」(2022年3月4日付、保医発0304第12号)
このうち(1)に関しては、処置料のうちJ118-4【歩行運動処置(ロボットスーツによるもの)】(1100点)の点数算定上の留意事項を見直しています。
本技術は20216年度の診療報酬改定で新設され、「緩徐進行性の神経・筋疾患の患者」に対し、ロボットスーツを間欠的に装着し、生体電位信号に基づき歩行運動を繰り返すことで歩行機能を改善するものです。
保険診療の中で実施する際には、次のような点に留意すべきことが通知で定められています
▽対象患者は、▼脊髄性筋萎縮症▼球脊髄性筋萎縮症▼筋萎縮性側索硬化症▼シャルコー・マリー・トゥース病▼遠位型ミオパチー▼封入体筋炎▼先天性ミオパチー▼筋ジストロフィー—の患者とする
▽ロボットスーツを装着し、関連学会が監修する適正使用ガイドを遵守して転倒しないような十分な配慮のもと歩行運動を実施した場合に算定する
▽事前に適切な計画を策定した上で実施し、計画された5週間以内に実施される9回の処置が終了した際には、担当の複数職種が参加するカンファレンスで歩行機能の改善効果を検討する
▽上記カンファレンスで「通常の歩行運動に比して客観的に明確な上乗せの改善効果が認められる」と判断される場合に限り、本処置を継続して算定できる。カンファレンスの当該検討結果の要点(5週間以内に実施される9回の処置の前後の結果を含む)を診療録に記載し、レセプトに症状詳記を添付する
▽初めて当該処置を実施する場合の「患者の体重、大腿長、下腿長、腰幅」等を勘案した当該 者に適切な装着条件の設定については、1肢毎にJ129【義肢採型法】の「1 四肢切断の場合(1肢につき)」(700点)に準じて算定する
今般の通知で、対象患者について、新たに▼HTLV-1関連脊髄症(HAM)の患者▼遺伝性痙性対麻痺による痙性対麻痺を有する患者—が追加されました。他の留意事項は従前から変わっていません。ロボットスーツを用いた歩行機能改善の対象が広がることで、歩行困難患者のADL・QOLが向上することに期待が集まります。
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