放射線治療用合成吸収性材料留置術、「粒子線治療」場面だけでなく、広く「放射線治療」場面で算定可能に—厚労省
2023.9.4.(月)
K007-3【放射線治療用合成吸収性材料留置術】は、これまで「粒子線治療」場面でのみ算定が可能であったが、広く「放射線治療」場面で算定可能とする—。
厚生労働省は8月31日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』の一部改正について」を発出し、こうした点を明確にしました。9月1日より適用されています(厚労省サイトはこちら)。
学会指針改訂を踏まえ、心臓手術用カテーテルの定義解釈を一部見直し
今回は、次の4本の通知・事務連絡について見直しを行いました。
(1)「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(2022年3月4日付、保医発0304第1号)
(2)「特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について」(2022年3月4日付、保医発0304第9号)
(3)「特定保険医療材料の定義について」(2022年3月4日付、保医発0304第12号)
(4)「『特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について』等の一部改正について」(2023年1月31日付、保医発0131第1号)
このうち(1)に関しては、手術料のうちK007-3【放射線治療用合成吸収性材料留置術】(1万4290点)の点数算定上の留意事項を見直しています。
本技術は2020年度の診療報酬改定で新設され、保険診療の中で実施する際の留意事項通知には、「ある臓器ががんに侵され『粒子線治療』を行う必要があるが、近接する消化管等のために実施が難しい」というケースについて、「シート型の放射線治療用合成吸収性材料」を用いて腹腔内・骨盤内の悪性腫瘍(後腹膜腫瘍を含む)と消化管等との間隙を確保する場合に1万4290点の算定が可能である旨がとされていました。
今般、この留意事項について、「粒子線治療を行う場合」のみならず「放射線治療を行う場合」にも、広くK007-3【放射線治療用合成吸収性材料留置術】(1万4290点)の点数算定が可能であることが示されました。
あわせて、(2)(3)において、「シート型の放射線治療用合成吸収性材料」の定義等についても、従前「悪性腫瘍の『粒子線治療』に際し、腹腔内・骨盤内の悪性腫瘍(後腹膜腫瘍を含む)と消化管等の間に挿入されるシート状のもの」とされていたところ、「悪性腫瘍の『放射線治療』に際し、腹腔内・骨盤内の悪性腫瘍(後腹膜腫瘍を含む)と消化管等の間に挿入されるシート状のもの」と改められています。
保険診療の中で、より広範に、かつ安全・適切に放射線治療を行える環境が整備されたと言えます。
また(3)では、▼人工膝関節用材料の「膝蓋骨材料・膝蓋骨置換用材料(III)」の機能区分について、「チタン合金による表面加工」製品も認めること▼血栓除去用カテーテルの「経皮的血栓除去用(III)」の機能区分について、新たに「破砕吸引型」の類型を設けること▼大動脈用ステントグラフトに、新たに「胸部大動脈用ステントグラフト(メイン部分)・中枢端可動型(III)の機能区分を設けること—との見直しも行われました。
なお、【心臓手術用カテーテル】のうち「経皮的冠動脈形成術用カテーテル」の「再狭窄抑制型」については、「冠動脈ステント内再狭窄病変・新規冠動脈病変に対して使用された場合に算定できる。ただし、対照血管径が3.0mm以上の新規冠動脈病変に対しては関連学会が定めるステートメントに沿って使用した場合に限り算定できる」旨が示されています(厚労省サイトはこちら(2023年1月31日付通知「『特定保険医療材料の材料価格算定に関する留意事項について』等の一部改正について」)。
その際、関連学会が定めるステートメントとは「日本心血管インターベンション治療学会の2022年12月1日付の『血管径3.0mm以上の新規冠動脈病変へのDCBの使用について』である」旨が示されていました。
この点、学会で指針が改訂されたことを踏まえ、関連学会が定めるステートメントの解釈を次のように見直しています。
▽日本心血管インターベンション治療学会の2023年8月14日付の『対照血管径3.0mm以上の新規冠動脈病変に対するDCBの使用について』である
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