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潰瘍性大腸炎の病態把握を補助する新検査、非アルコール性脂肪性肝炎の診断を補助する新検査を1月1日から保険適用—厚労省

2024.1.4.(木)

潰瘍性大腸炎の病態把握を補助する新検査、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の診断を補助する新検査を保険適用する—。

潰瘍性大腸炎の診断補助・病態把握を行う検査について、検査手法の拡大を行う—。

厚生労働省は12月28日に通知「『診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について』の一部改正について」を発出し、こうした点を明確にしました。1月1日から適用されています。

潰瘍性大腸炎の病態把握を目的とする新検査を保険適用

今回の通知では、検査を保険診療の中で実施する場合のルール(通知「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」)が一部見直されています。

まず、D001【尿中特殊物質定性定量検査】に、新たに「プロスタグランジンE主要代謝物(尿)」が位置づけられました。

12月22日の中央社会保険医療協議会・総会で、指定難病の1つ「潰瘍性大腸炎」(告示番号97)の病態把握を補助するために行う「尿中のプロスタグランジンE主要代謝物の測定」検査の保険適用が承認されたことを受け、今般、保険診療の中で本検査を実施する場合の点数算定ルールなどが定められたものです。具体的には次のように設定されました。

【目的】
潰瘍性大腸炎の患者の病態把握補助

【検体】
尿

【検査方法】
CLEIA法

【算定点数】
187点(D001【尿中特殊物質定性定量検査】の「8 アルブミン定量(尿)」(99点)+D013【肝炎ウイルス関連検査】の「3 HBs抗原、HBs抗体」(88点)を準用)

【算定回数】
▽3か月に1回を限度とする
▽た(だし医学的な必要性から本検査を1か月に1回行う場合には、詳細な理由・検査結果をレセプトの摘要欄に記載する

【他検査との併算定に関する留意事項】
▽潰瘍性大腸炎の病態把握を目的として、▼D003【糞便検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」(270点)▼D007【血液化学検査】の「57 ロイシンリッチα2グリコプロテイン」(276点)▼D313【大腸内視鏡検査】(900点-1550点—を同一月中に併せて行った場合は主たるもののみ算定する

潰瘍性大腸炎の診断補助・病態把握を目的とする検査について手法をさらに拡大

また、D003【糞便検査】の「9 カルプロテクチン(糞便)」(270点)について、新たに「金コロイド凝集法」による検査実施が可能となりました(潰瘍性大腸炎の病態把握では従前より可能)。

本検査は、指定難病である潰瘍性大腸炎(告示番号97)やクローン病(告示番号96)の病態・活動性を把握するものです。炎症が生じている腸上皮において「好中球から『カルプロテクチン』というタンパク質が放出される」ことが知られており、「カルプロテクチンの量が少ない場合には、炎症性腸疾患が寛解していると考えられる」などの判定補助が可能になるのです。

2017年6月に「病態把握」のための糞便中カルプロテクチン量測定が保険適用され、徐々に拡大されてきています。今般の新検査手法導入により次のように整理することができます(関連記事はこちら)。

●D003【糞便検査】の(9)「カルプロテクチン(糞便)」:270点

▽慢性的な炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病等)の【診断補助】を目的とする場合
▼腸管感染症が否定される▼下痢、腹痛や体重減少などの症状が3か月以上持続する▼肉眼的血便が認められない—のいずれにも該当し、「慢性的な炎症性腸疾患が疑われる」場合に、内視鏡前の補助検査として、以下の手法で実施する場合に算定可能
▼上記の要旨を診療録・レセプトの摘要欄に記載する
→ELISA法
→FEIA法
→イムノクロマト法
→LA法
(新)金コロイド凝集法

▽潰瘍性大腸炎の【病態把握】を目的とする場合(変更なし)
▼以下の手法で実施する場合に、原則として3か月に1回算定可能(医学的な必要性から1か月に1回行うことも可能だが、その場合には詳細な理由・検査結果を診療録・レセプトの摘要欄に記載する)
→ELISA法
→FEIA法
→金コロイド凝集法
→イムノクロマト法
→LA法

▽クローン病の【病態把握】を目的とする場合
▼以下の手法で実施する場合に、原則として3か月に1回算定可能(医学的な必要性から1か月に1回行うことも可能だが、その場合には詳細な理由・検査結果を診療録・レセプトの摘要欄に記載する)
→ELISA法
→FEIA法
→イムノクロマト法
→LA法
(新)金コロイド凝集法

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の診断を補助する新検査を保険適用

さらに、D007【血液化学検査】に、新たに「サイトケラチン18フラグメント(CK-18F)が位置づけられました。

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の診断を補助するために、肝細胞の自然死により血中へ放出される「CK-18F」を測定する検査の保険適用が12月22日の中医協総会で承認されました。これを受け、保険診療の中で本検査を実施する場合のルールが次のように定められたものです。

【目的】
非アルコール性脂肪肝疾患患者(疑われる患者を含む)に対する非アルコール性脂肪性肝炎の診断補助

【検査方法】
1ステップのサンドイッチ法を用いた酵素免疫測定法

【算定点数】
194点(D007【血液化学検査】の「48 Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体、マロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)、オートタキシン」(194点)を準用)

【他検査との併算定に関する留意事項】
▽本検査と▼D007【血液化学検査】の「37 プロコラーゲン-III-ペプチド(P-III-P)(136点)▼同じく「36 IV型コラーゲン」(135点)▼同じく「40 IV型コラーゲン・7S」(148点)▼同じく「43 ヒアルロン酸」(179点)▼同じく「48 Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体、マロンジアルデヒド修飾LDL(MDA-LDL)、オートタキシン」(194点)—を併せて実施した場合は、主たるもののみ算定する



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