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GemMed塾 看護モニタリング

急性期入院医療の段階から「毎日のリハビリ提供」を実現せよ、回復期リハ病棟の第三者評価は義務化せよ―リハ医療関連団体協

2023.11.10.(金)

急性期入院医療の段階から「土日・祝日を含めた365日のリハビリ実施」を行う体制を診療報酬で評価すべき—。

回復期リハビリテーション病棟1・3では「適切なFIM評価」を担保するために「第三者評価」が努力義務化されているが、これを「義務」に強化すべきである—。

さらにリハビリ専門職について、給与の引き上げを実現すべきである—。

全国リハビリテーション医療関連団体協議会が11月1日に開催した記者会見で、2024年度の次期診療報酬改定に向けて、こういった内容の要望・提言を厚生労働省に行ったことが明らかにされました(2022年度の前回診療報酬改定に向けた要望に関する記事はこちら)。

2022年度の前回改定では「回復期リハ病棟への第三者評価導入」を提言し、採用された

全国リハビリテーション医療関連団体協議会(以下、本稿では協議会と呼ぶ)は、▼日本リハビリテーション医学会▼日本リハビリテーション病院・施設協会▼回復期リハビリテーション病棟協会▼全国デイ・ケア協会▼日本訪問リハビリテーション協会▼日本リハビリテーション看護学会▼日本理学療法士協会▼日本作業療法士協会▼日本言語聴覚士協会―で構成される「リハビリの質向上とそれに見合う報酬上の評価」を目指す組織です。

2024年度改定論議が中央社会保険医療協議会を中心に進み、すでに個別・具体的な第2ラウンド論議に入っていることを踏まえ、協議会の栗原正紀会長(長崎リハビリテーション病院理事長)は次のような要望・提言を厚労省に行いました。

▽リハビリテーション専門職の処遇改善

▽リハビリテーション料の病態、病状、障害等に応じた評価とDPC・NDBの分類見直し(リハビリ料を「疾病別」ではなく「病態、病状、障害等に応じた評価」とし、PT・OT・STの別が分かるようなDPC等分類に見直す)

(1)急性期医療におけるリハビリテーションの充実

(2)診療報酬における施設外リハビリテーションの推進

(3)適正な回復期リハビリテーションの推進/充実
▼プロセス評価の義務化
▼対象患者の適正化およびケア体制の充実

(4)生活期リハビリテーション診療体制の強化
▼医療保険における訪問リハビリテーションの提供体制の拡充
▼リハビリテーション科医師とリハビリテーション専門職が協働した評価指導の仕組み
▼訪問看護の同行訪問での摂食嚥下障害看護認定看護師の評価

(5)医療と介護の連携の強化
▼「退院時共同指導料(多機関共同指導加算を含む)」「在宅患者緊急時等カンファレンス料」「在宅患者連携指導料」の算定要件への「通所リハビリ」「訪問リハビリテーション」を追記する

(6)共生型サービスの推進に向けた医療・介護保険施設等における自立訓練(機能訓練)の提供の評価



このうち(1)では、▼ADL維持向上等体制加算の抜本的な見直し(すべての急性期病棟入院患者の運動、栄養、口腔の確認、とくに要介護者のリハビリ評価、予防の取り組みなどを多職種共同で実施し、介護予防・重度化防止に資する総合的な取り組みの評価とする)▼救命救急を含む急性期病院の入棟患者に対して、休日を含めた365日リハビリ提供できる体制の評価新設(例えば、循環器病対策基本計画を踏まえた一次脳卒中センター、脳卒中ケアユニット入院医療管理料届出施設、循環器科病棟等で休日を含めた週7日のリハビリ提供が可能な体制の評価など)▼【急性期充実体制加算】に「休日を含めた週7日のリハビリ提供体制」要件付加▼急性期病院で認知症、多疾患・重複障害を持つ重症度の高い患者やフレイル患者の一定割合以上に365日のリハビリ提供を行うことのDPCの機能評価係数IIでの評価新設—などを検討するよう求めています。



また(2)は、▼入院外来を問わず、「医療機関外での訓練」についてもすべてのリハビリ料を算定可能とする▼在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料において「居宅外での訓練が可能」と明示する—ことを提案しました。



さらに(3)では、▼第三者評価(医療機能評価機構の病院機能評価、リハビリテーション病院主機能・副機能など)によるプロセス評価の「義務」化▼重症度(新規入院患者のうち重症患者の割合)の見直し、質の高い看護業務プロセスの評価—を行うよう求めています。

第三者評価については、回復期リハビリ病棟のリハビリの効果を「適正に」測定できるとされ、2022年度の前回診療報酬改定で「リハビリ実績指数(リハビリの効果を評価する)要件が設定されている、回復期リハビリ病棟1・3で努力義務化」されましたが、この背景には「協議会の提言」があります(関連記事はこちら)。今回、「努力義務→義務」への提言がなされており、今後の中医協論議にも注目が集まります。



他方(4)では、▼要介護者でも、頻回なリハビリが必要と医師が判断した場合(には【在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料】の算定を認める▼医療・介護保険のリハビリが実施されていない患者に対し「リハビリ科医師とリハビリ専門職が協働して評価指導を実施する」ことを評価する▼訪問看護において、摂食嚥下障害看護認定看護師が同行することを評価する—ことを要望しました。



こうした要望・提言が、中医協における2022年度改定論議の中にどう織り込まれていくのか、今後に注目する必要があります。



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