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新型コロナ含む「びまん性肺疾患」鑑別診断のため、薬剤服用歴等の十分な問診を―日本呼吸器学会

2020.5.13.(水)

新型コロナウイルス感染症を含む「びまん性肺疾患」について、十分に鑑別診断し、適切な治療法を選択するために、診断にあたっては、新型コロナウイルス感染症に関連する情報だけでなく、▼サプリメントを含めた服用薬剤▼薬剤性肺障害を来しやすい医薬品等の使用歴▼職業歴▼加湿器を含めた自宅・職場での環境暴露▼最近の喫煙歴―などについて十分な問診(情報収集集)を行う必要がある―。

日本呼吸器学会は5月12日に、こうした内容の「COVID-19流行期におけるびまん性肺疾患の診療についての提言」を公表し、医療現場に注意を促しました(日本呼吸器学会のサイトはこちら)。

胸部CTにおける「すりガラス影」、新型コロナ以外のびまん性肺疾患でも見られる

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) が我が国でも猛威を振るっており、「感染防止対策」と「医療提供体制の確保」を重要な2本柱の施策として産学官をあげた対応が図られています。

これまでのデータからは「感染が確認された症状のある人の約80%が軽症、14%が重症、6%が重篤となっている」ことなどが明らかになっており、重症・重篤患者には早期からの人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺、extracorporeal membrane oxygenation)などを使用した集中管理が必要となります。

このように新型コロナウイルス感染症、さらに重症・重篤患者の「鑑別」が重要なことが伺え、重要知見の1つとして、▼日本COVID-19ECMOnet▼日本集中治療医学会▼日本救急医学会▼日本呼吸療法医学会―が提示したデータから、新型コロナウイルス感染症の特徴として「胸部のCT所見で、胸膜直下の『すりガラス影』が確認される」(86%の感染患者に見られる)ことが示されています。

ただし、胸部CTにおける胸膜直下の「すりガラス影」は、新型コロナウイルス感染症にのみ見られる症候ではありません。日本呼吸器学会では、▼胸部X線写真や胸部CT画像において両肺野にびまん性の陰影が広がる疾患群である「びまん性肺疾患」にも、「すりガラス影」が見られるケースがある▼とりわけ、新たな「分子標的治療薬」「生物学的製剤」「免疫チェックポイント阻害薬」などの開発、上市により薬剤性肺障害は増加しており、画像上新型コロナウイルス感染症との鑑別が困難な「すりガラス陰影と浸潤影」がみられる医薬品が報告されている―ことを指摘します。

びまん性肺疾患には、▼原因不明の様々な間質性肺疾患▼膠原病に関連するもの▼放射線治療や薬剤によるもの▼職業性粉塵などの環境によるもの▼感染症―など様々な疾患が含まれており、「しっかりとした鑑別診断」を行い、適切な治療法を選択する必要があります。

この点、びまん性肺疾患の診断・診療を行うにあたって「気管支鏡検査」が有用です。しかし、気管支鏡検査には「エアロゾルによる新型コロナウイルスへの感染の可能性」が懸念されることから、その実施はかなり制限されています(日本呼吸器内視鏡学会による3月2日付の「COVID-19及び疑い症例に対する気管支鏡検査における注意喚起」)。

日本呼吸器学会では、こうした中でも「びまん性肺疾患に含まれる疾患についてしっかりとした鑑別診断を行い、平時であれば救えるはずのびまん性肺疾患患者に不利益を与えないよう心掛ける必要がある」と指摘。

びまん性肺疾患の診療においては、新型コロナウイルス感染症に関連する情報だけでなく、▼サプリメントを含めた服用薬剤▼薬剤性肺障害を来しやすい医薬品等の使用歴▼職業歴▼加湿器を含めた自宅・職場での環境暴露▼最近の喫煙歴―などについて十分な問診(情報収集集)を基本として「新型コロナウイルス感染症を含むびまん性肺疾患の鑑別診断を行わなければならない」と強調しています。



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