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医療計画中間見直しに向け、2019年中に指標追加などの見直し方向を固める―医療計画見直し検討会

2019.4.2.(火)

 2021年度の医療計画見直しに向けて、今年(2019年)中に見直し事項を固め、来年度(2020年度)いっぱいをかけて都道府県で見直し作業を固めることとする―。

 3月29日に開催された「医療計画の見直し等に関する検討会」(以下、検討会)で、こういったスケジュール等が確認されました。

3月29日に開催された、「第14回 医療計画の見直し等に関する検討会」

3月29日に開催された、「第14回 医療計画の見直し等に関する検討会」

 

2019年に見直し方向固め、2020年度に各都道府県で医療計画の見直し作業

 2018年度から、新たな医療計画(第7次医療計画)がスタートしています。

 2014年施行の地域医療介護総合確保法(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律)により、▼地域包括ケアシステムの構築▼病院・病床の機能分化・連携の推進―が極めて重要な課題であることが再確認され、医療・介護連携を進めるために、従前の「5年を1期とする」計画から「6年を1期とする」計画に改めるとともに、介護保険事業(支援)計画(3年を1期とする。2018年度から第7期計画がスタート)と歩調を合わせることとなりました。

もっとも6年間は長期間であり、その間に地域医療を取り巻く状況も大きく変化すると考えられることから、「3年後」(第7期計画では2021年度)に中間見直しを行うこととなっています。

2021年度に中間見直しを行う(見直し後の指標等に沿って計画等を進める)ためには、▼2020年度に各都道府県で見直し作業を進める → ▼2019年度中に見直し事項等を固める―必要があります。このため、厚生労働省は3月29日の会合で「2019年中(2019年12月まで)に検討会の意見を取りまとめる」考えを提示し、了承されました。

もっとも「中間見直し」において、それほど大きな見直しをすることは好ましくありません。医療計画では、5疾病5事業および在宅医療の各項目について、いくつかの指標を定めます(全国統一指標に加えて、都道府県が独自の指標を一部定めることも可能)。各都道府県は、その指標に基づいて自地域(都道府県および2次医療圏)の状況を確認し、必要な対策を打っていきます。

たとえば5疾病のうち「がん」対策については、例えば▼がん診療連携拠点病院数(ストラクチャー指標)▼末期がん患者へ在宅医療を提供する医療機関数(同)▼がん検診受診率(プロセス指標)▼がん患者指導の実施件数(同)▼緩和ケア(入院・外来)の実施件数(同)▼がん性疼痛緩和の実施件数(同)▼がん年齢調整罹患率(アウトカム指標)▼がん患者の年齢調整(同)―などが重点指標に据えられており、ほかに▼がん認定看護師を配置しているがん診療連携拠点病院割合(ストラクチャー指標)▼診療ガイドラインに基づく治療実施割合(プロセス評価)▼がん診療連携拠点病院の5年生存率(アウトカム評価)―なども指標となっています。

これらに基づいて、各都道府県では医療計画の中に、例えば「がん患者指導の実施件数」について「2023年度に年間●●件を目指す」などの目標を立てるとともに、達成に向けた施策とその実施方法などを定め、実施していくことになります。

中間見直し時点で、こうした指標を大幅に見直せば「医療計画の前提が崩れ、これまでの取り組みが水泡に帰してしまう」こともありうるため、厚労省では「中間見直しでは、指標の追加等の小幅見直しにとどめる」考えです(関連記事はこちら)。

具体的には、これまで(2018年度の1年度分)の取り組み状況、検討会(例えば「がん対策推進協議会」など)やワーキンググループ(地域医療構想、在宅・医療介護連携)などの下部組織の検討状況などを踏まえて、「指標の追加」などを検討します。

この点に関連し尾形裕也構成員(九州大学名誉教授)は、「第7次医療計画からは、医療・介護連携の強化に向けた大きな見直しが行われた。中間見直しに当たっては、介護保険事業(支援)計画との整合性についても重視すべきである」旨を要請しています。

在宅医療の充実、地域の事情に応じた「柔軟な取り扱い」を求める声も

また3月29日の検討会では、医療計画に関連の深い▼医師偏在対策(医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会の第4次中間とりまとめ)▼地域医療構想の実現▼在宅医療の充実―に関する報告等も行われました(関連記事はこちらこちらこちら)。

このうち「地域医療構想の実現」に向けては、下部組織である地域医療構想に関するワーキンググループで、地域の医療機関の診療実績を勘案し「公立病院・公的病院等の改革プラン内容」を検証する方向が示されるとともに、厚労省で診療実績データに関する分析を進めることとなっています。3月29日の検討会ではこの方向を正式に了承しており、厚労省は急ピッチで各地域の医療状況の分析を進めます(関連記事はこちらこちら)。

 
また在宅医療の充実に関しては、地域医療構想の実現に伴って生じる新たな在宅医療ニーズ(例えば「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の70%を在宅等に移行することとなっている)に応えるために、都道府県が市町村の取り組み支援していく方針が示されています(関連記事はこちらこちら)。

この点、城守国斗構成員(日本医師会常任理事)から「杓子定規な対応はすべきでない」旨の指摘がありました。例えば、上記で言えば、「療養病棟に入院する医療区分1の患者」の70%を、在宅医療や介護施設等で受け入れることになりますが、都道府県・市町村によっては「在宅医療の整備が思うように進まない」「介護医療院への転換が進まない」ところもあるでしょう。こうした患者を「療養病棟に入院することはできません。在宅医療の整備はまだですが、頑張って在宅で生活してください」などと放り出すことはできないことから、城守構成員は「一定の柔軟性を認めるべき」と訴えているのです。厚労省では、こうした指摘も踏まえながら、都道府県や市町村の在宅医療推進をサポートしていくことになります。
 
 
 
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