Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
2020 診療報酬改定セミナー 2020 診療報酬改定セミナー 運営会社 GLOBAL HEALTH CONSULTING

2018年に報告された医療事故は4565件、うち7%弱で患者が死亡、PFM導入などの防止策を―日本医療機能評価機構

2019.7.17.(水)

 昨年(2018年)1年間に報告された医療事故は4565件あり、うち7.8%の356件では患者が「死亡」している。また、同じく2018年の1年間に報告されたヒヤリ・ハット事例は92万件強で、そのうち1.2%は仮に誤った行為を実施していた場合には「死亡」などにつながっていたと予想される―。

 このような状況が、日本医療機能評価機構が7月5日に発表した2018年の「医療事故情報収集等事業」の年報から明らかになりました(機構のサイトはこちら)(2017年の状況に関する記事はこちら、2016年の状況に関する記事はこちら)。

医療事故、「療養上の世話」の場面で、「整形外科」で多発

 日本医療機能評価機構では、医療安全対策の一環として医療機関で発生した事故やヒヤリ・ハット事例を収集、分析する「医療事故情報収集等事業」を実施し、定期的にその内容を公表しています(関連記事はこちらとこちらとこちら)。

 昨年(2018年)に報告された医療事故の状況を見てみましょう。報告された医療事故件数は合計で4565件(国立病院など報告義務のある医療機関に限ると4030件)となりました。

事故の程度別に見ると、「死亡」が356件(事故事例の7.8%、前年比べて0.1ポイント減少)、「障害残存の可能性が高い」ものが500件(同11.0%、同0.6ポイント増)、「障害残存の可能性が低い」ものが1235件(同27.1%、同1.6ポイント減)、「障害残存の可能性なし」が1179件(同25.8%、同0.8ポイント減)などとなっています。死亡事例は前年から横ばいですが、障害残存の可能性の高い事故が増加しており、事故防止対策の強化が急務である状況に変わりありません。
 
 医療事故の概要を見てみると、最も多いのは「療養上の世話」で1553件(事故全体の34.0%、前年から6.0ポイント減)、次いで「治療・処置」1283件(同28.1%、同1.4ポイント増)、「薬剤」418件(同9.2%、同0.6ポイント増)、「ドレーン・チューブ」360件(同7.9%、同1.1ポイント増)などと続きます。前年より「ドレーン・チューブ」に関する事故が大きく増加している点が気になります。
医療事故情報収集等事業 2018年報1 190705
 
 事故に関連した診療科(複数回答が可能)を見ると、従前同様に整形外科(665件、全体の11.8%)、外科(469件、同8.3%)、内科(369件、同6.6%)、消化器科(356件、同6.3%)などで多い状況です。
医療事故情報収集等事業 2018年報2 190705

ヒヤリ・ハット事例は92万件強に増加、医療現場の透明性確保が進む

 次にヒヤリ・ハット事例を見てみましょう。昨年(2018年)1年間に報告されたヒヤリ・ハット事例は合計92万1140件で、前年に比べて3万件超増加しました。ミスそのものが増加していることも考えられますが、「ヒヤリとした、ハットとした」事例を医療現場で把握し、包み隠さずに報告している、つまり透明性が増しているという要素が大きいと考えられます。

内訳を見ると、「薬剤」が最も多く29万2416件(ヒヤリ・ハット事例全体の31.7%、前年比べて1.1ポイント減)、次いで「療養上の世話」20万3933件(同22.1%、同0.4ポイント増)、「ドレーン・チューブ」13万5011件(同14.7%、同0.1ポイント増)などで多くなっています。

 「ヒヤリとした、ハットした」にとどまり、実際に患者に誤った行為などをしていないケースが全体の3分の1に当たる30万4943件ですが、仮に誤った行為を実施していた場合には、3542件・1.2%では「死亡」もしくは「重篤な状況」に至り、また2万5337件・8.3%では「濃厚な処置・治療が必要になった」と考えられます。改めて「十分な注意」「ミスが生じない体制づくり」(複数チェックなど)が必要と言えます。
医療事故情報収集等事業 2018年報3 190705
 

持参薬の入院処方への切り替え忘れ事例が発生、PFMの導入などで防止徹底を

 2018年の年報では、次の9つの具体的な事故事例を取り上げ、詳細に分析した上で、再発防止策などを検討しています。
(1)持参薬のビーマス配合錠を院内で処方する際、リーマス錠を処方した事例【薬剤関連】
(2)持参薬から院内の処方に切り替えた際に抗血小板薬の処方が漏れた事例【薬剤関連】
(3)気管支鏡検査前に休薬する取り決めがあるタケルダ配合錠を休薬せず、検査が中止になった事例【薬剤関連】
(4)オキシコドン徐放カプセルの1回量と1日量を読み間違え、過剰投与した事例【薬剤関連】
(5)検査室に持参するミダゾラムを病室で全量投与した事例【薬剤関連】
(6)手術時、ミクリッツガーゼのカウントをしておらず体内に残存した事例【治療・処置】
(7)輸液ポンプの予定量を設定せず使用した際、気泡警報に不具合があり空気が血管内に混入した事例【医療機器等関連】
(8)胸腔ドレーンバッグの水封部に蒸留水を入れず吸引圧をかけたことにより気胸を発症した事例【ドレーン・チューブ関連】
(9)乳アレルギーの患者に乳製品が含まれている経腸栄養剤を投与した事例【その他】

 このうち(2)では、他院で処方された持参薬は入院処方に切り替えたものの、自院から院外処方した持参薬を入院処方に切り替えることを失念した事例です。外来で経皮的冠動脈形成術(PCI)の説明後、抗血小板薬2種類(タケルダ配合錠、エフィエント錠3.75mg)を42日間分、院外処方した患者が、説明から32日後にPCI目的で循環器脳卒中センターに入院しました。医師は持参薬全ての内容を継続する旨を口頭で看護師に指示し、持参薬を入院処方に切り換えるため、持参薬鑑定書を確認せず3日分処方しました。この際、他院の持参薬のみを処方し、当院院外処方の持参薬の抗血小板薬2種類の処方が漏れてしまいました。PCI実施後にヘモグロビンが7.0台に低下し、原因検索のためCT撮影をしたところ心嚢液が貯留していることが分かり、緊急心臓カテーテル検査と心嚢穿刺ドレナージを実施することとなりました。

機構では、▼医師のチェックだけでは、持参薬等の処方が漏れるため、「他職種によるチェックを入れる」仕組みの構築(薬剤師が服薬指導を行うなど)▼確実に内服したことが確認できるような仕組みを設ける(クリニカルパスに抗血小板薬の内服確認や服薬指導の項目を入れるなど)▼医師への連絡方法として、「紙の伝言板」使用はメモとしての活用はよいが、「報告の実績」としての使用は禁止する▼検査退院後から次回の治療入院までに外来受診がない場合、入院時に抗血小板薬の処方が漏れない仕組みを設ける(予定PCI入院の場合は、入院前に外来で予定入院患者の処方を確認できるようにしたり、外来クラークの協力のもと予定表で確認するなど)―の改善策を提案しています。

このように、「入退院支援」を行う組織を医療機関の実情に応じて設け、持参薬の確認などを行うことが非常に重要です。2018年度の診療報酬改定では、【入退院支援加算】(従前の【退院支援加算】から名称変更)の加算として【入院時支援加算】が創設されており、こうした医療機関の取り組みを経済的に一定程度下支えする環境も整備されてきています。

グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンが昨年(2018年)開催したプレミアムセミナー(PFMセミナー)では、佐久総合病院・佐久医療センターの西澤延宏・副統括院長兼副院長から、「入院する前、つまり外来の時点から患者の入退院を支援する「Patient Flow Management」(PFM)の導入によって、医師や病棟看護師らの負担が軽減するとともに、平均在院日数の短縮による診療単価の向上、入退院支援に携わるメディカルスタッフのモチベーション向上などが期待される。さらに、何よりも「患者の満足度」が大きく向上する」ことが報告されました。是非、ご参考になさってください(関連記事はこちら)。

 
 

 

MW_GHC_logo

 

【関連記事】

予定術式と異なる手術を実施し再手術不能のケースも、患者を含めた関係者間での情報共有徹底を―医療機能評価機構
抗がん剤の副作用抑えるG-CSF製剤、投与日数や投与量の確認を徹底せよ―医療機能評価機構
小児への薬剤投与量誤り防止など、現時点では「医療現場の慎重対応」に頼らざるを得ない―医療機能評価機構

2017年に報告された医療事故は4095件、うち8%弱の318件で患者が死亡―日本医療機能評価機構
2017年10-12月、医療事故での患者死亡は71件、療養上の世話で事故多し―医療機能評価機構
誤った人工関節を用いた手術事例が発生、チームでの相互確認を―医療機能評価機構
2016年に報告された医療事故は3882件、うち338件で患者が死亡―日本医療機能評価機構
手術室などの器械台に置かれた消毒剤を、麻酔剤などと誤認して使用する事例に留意―医療機能評価機構
抗がん剤投与の速度誤り、輸液ポンプ設定のダブルチェックで防止を―医療機能評価機構
2016年7-9月、医療事故が866件報告され、うち7%超で患者が死亡―医療機能評価機構
2015年に報告された医療事故は3654件、うち1割弱の352件で患者が死亡―日本医療機能評価機構
2016年1-3月、医療事故が865件報告され、うち13%超は患者側にも起因要素―医療機能評価機構
15年4-6月の医療事故は771件、うち9.1%で患者が死亡―医療機能評価機構
14年10-12月の医療事故は755件、うち8.6%で患者死亡―医療事故情報収集等事業

 
病理検査報告書を放置、がん早期治療の機会逃す事例が頻発―医療機能評価機構
手術前に中止すべき薬剤の「中止指示」を行わず、手術が延期となる事例が頻発―医療機能評価機構
患者を車椅子へ移乗させる際、フットレストで外傷を負う事故が頻発―医療機能評価機構
酸素ボンベ使用中に「残量ゼロ」となり、患者に悪影響が出てしまう事例が頻発―医療機能評価機構
腎機能が低下した患者に通常量の薬剤を投与してしまう事例が頻発―医療機能評価機構
検体を紛失等してしまい、「病理検査に提出されない」事例が頻発―医療機能評価機構
薬剤師からの疑義照会をカルテに反映させず、再度、誤った薬剤処方を行った事例が発生―医療機能評価機構
膀胱留置カテーテルによる尿道損傷、2013年以降に49件も発生―医療機能評価機構
検査台から患者が転落し、骨折やクモ膜下出血した事例が発生―医療機能評価機構
総投与量上限を超えた抗がん剤投与で、心筋障害が生じた事例が発生―医療機能評価機構
画像診断報告書を確認せず、悪性腫瘍等の治療が遅れた事例が37件も発生―医療機能評価機構
温罨法等において、ホットパックの不適切使用による熱傷に留意を―医療機能評価機構
人工呼吸器、換気できているか装着後に確認徹底せよ-医療機能評価機構
手術場では、清潔野を確保後すぐに消毒剤を片付け、誤投与を予防せよ―医療機能評価機構
複数薬剤の処方日数を一括して変更する際には注意が必要―医療機能評価機構
胸腔ドレーン使用に当たり、手順・仕組みの教育徹底を―医療機能評価機構
入院患者がオーバーテーブルを支えに立ち上がろうとし、転倒する事例が多発―医療機能評価機構
インスリン1単位を「1mL」と誤解、100倍量の過剰投与する事故が後を絶たず―医療機能評価機構
中心静脈カテーテルが大気開放され、脳梗塞などに陥る事故が多発―医療機能評価機構
併用禁忌の薬剤誤投与が後を絶たず、最新情報の院内周知を―医療機能評価機構
脳手術での左右取り違えが、2010年から11件発生―医療機能評価機構
経口避妊剤は「手術前4週以内」は内服『禁忌』、術前に内服薬チェックの徹底を―医療機能評価機構
永久気管孔をフィルムドレッシング材で覆ったため、呼吸困難になる事例が発生―医療機能評価機構
適切に体重に基づかない透析で、過除水や除水不足が発生―医療機能評価機構
経鼻栄養チューブを誤って気道に挿入し、患者が呼吸困難となる事例が発生―医療機能評価機構
薬剤名が表示されていない注射器による「薬剤の誤投与」事例が発生―医療機能評価機構
シリンジポンプに入力した薬剤量や溶液量、薬剤投与開始直前に再確認を―医療機能評価機構
アンプルや包装の色で判断せず、必ず「薬剤名」の確認を―医療機能評価機構
転院患者に不適切な食事を提供する事例が発生、診療情報提供書などの確認不足で―医療機能評価機構
患者の氏名確認が不十分なため、誤った薬を投与してしまう事例が後を絶たず―医療機能評価機構
手術などで中止していた「抗凝固剤などの投与」、再開忘れによる脳梗塞発症に注意―医療機能評価機構
中心静脈カテーテルは「仰臥位」などで抜去を、座位では空気塞栓症の危険―医療機能評価機構
胃管の気管支への誤挿入で死亡事故、X線検査や内容物吸引などの複数方法で確認を―日本医療機能評価機構
パニック値の報告漏れが3件発生、院内での報告手順周知を―医療機能評価機構
患者と輸血製剤の認証システムの適切な使用などで、誤輸血の防止徹底を―医療機能評価機構
手術中のボスミン指示、濃度と用法の確認徹底を―日本医療機能評価機構

小児への薬剤投与量誤り防止など、現時点では「医療現場の慎重対応」に頼らざるを得ない―医療機能評価機構
車椅子への移乗時等にフットレストで下肢に外傷を負う事故が頻発、介助方法の確認等を―医療機能評価機構
メトホルミン休薬せずヨード造影剤用いた検査を実施、緊急透析に至った事故発生―医療機能評価機構

 
外来から患者の入退院を支援するPatient Flow Management(PFM)が急性期病院の将来を救う
鈴木医務技監・迫井医療課長がGHC改定セミナーに登壇!「重症患者受け入れ」に軸足を置いた入院報酬に!
一般の病床が満床で差額ベッドのみ空床の場合、懇切丁寧な説明と同意あれば差額ベッド代徴収は従前通り可能―疑義解釈6【2018年度診療報酬改定】
看護必要度II、一覧に記載された薬剤の「類似薬」も評価対象に―疑義解釈5【2018年度診療報酬改定】
看護必要度II、投薬・注射・手術・麻酔の薬剤のみ評価対象―疑義解釈4【2018年度診療報酬改定】
自院で介護保険訪問看護を実施していれば、地域包括1・3の選択基準満たす―疑義解釈3【2018年度診療報酬改定】
7対1病院が急性期一般1を算定する場合、9月までは特段の届け出不要―疑義解釈2【2018年度診療報酬改定】
保険診療上の【オンライン診療料】、実施指針よりも厳格に運用―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(3)
医療安全のピアレビュー、抗菌薬の適正使用推進を評価する加算を新設―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(2)
看護必要度IIの詳細、入院時支援加算における専従・専任看護師の規定など解説―疑義解釈1【2018年度診療報酬改定】(1)

外来から入院、退院後の在宅医療までをマネジメントするPFM、さまざまなメリットが!
鈴木医務技監・迫井医療課長がGHC改定セミナーに登壇!「重症患者受け入れ」に軸足を置いた入院報酬に!

200床以上で看護必要度II要件を満たさない場合、急性期一般入院料2・3は届出可能か―厚労省
DPCのEF統合ファイル用いる看護必要度II、選択可能な病院の条件を提示―厚労省

2018年度診療報酬改定、答申内容を一部訂正―厚労省
【2018年度診療報酬改定答申・速報6】がん治療と仕事の両立目指し、治療医と産業医の連携を診療報酬で評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報5】在総管と施設総管、通院困難患者への医学管理を上乗せ評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報4】医療従事者の負担軽減に向け、医師事務作業補助体制加算を50点引き上げ
【2018年度診療報酬改定答申・速報3】かかりつけ機能持つ医療機関、初診時に80点を加算
【2018年度診療報酬改定答申・速報2】入院サポートセンター等による支援、200点の【入院時支援加算】で評価
【2018年度診療報酬改定答申・速報1】7対1と10対1の中間の入院料、1561点と1491点に設定
「入院前」からの外来で行う退院支援、診療報酬で評価―中医協総会 第377回(1)