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新型コロナ対応、訪問看護ステーションにも防護具を確保し、特例的な介護報酬の加算創設を―日看協

2020.5.22.(金)

新型コロナウイルス感染症は、「看護教育」の現場、「訪問看護」の現場にも大きな影響を及ぼしており、適切な教育やサービスが確保されるよう支援を行ってほしい―。

日本看護協会は、このような要望書を5月18日に加藤勝信厚生労働大臣ら厚労省幹部に宛てて、また翌19日に萩生田光一文部科学大臣に宛てて提出しました(日看協のサイトはこちら)。

訪問看護を実施する看護職、本人が不安持つ場合、無症状でもPCR検査実施を

安倍首相は、▼北海道▼東京都▼神奈川県▼千葉県▼埼玉県―を除き、新型コロナウイルスの感染拡大が収まってきていると見て、緊急事態宣言を解きました。しかし、いずれの地域においても第2波、第3波が到来する可能性が高く、依然として「感染拡大防止」と「医療提供体制の確保」が重要なことに変わりはありません。

そうした中で、新型コロナウイルスは訪問看護提供にも大きな影響を及ぼしています。例えば、「利用者・家族側が、新型コロナウイルス感染を恐れて訪問看護提供を拒む」「訪問看護提供に当たって必要な個人防護具が不足している」「感染防止等のためにコストが嵩む」などの事態が生じています。

このため日看協では、厚労省医政局の吉田学局長と老健局の大島一博局長に宛てて、次のような支援を行うよう強く要請しています。

▽急性増悪時の入院受け入れ先の確保等
新型コロナウイルス陽性患者(確定患者)や退院等直後の患者が在宅で療養するにあたり、「感染症の症状等が悪化した場合の入院先確保と、円滑な入院実施」(感染者の入院時の対応フローの明確化、受け入れ可能病床のリスト開示など)を進めてほしい

▽訪問看護ステーションにおける医療機関と同等の防護具等供給
防護服やフェイスシールド等を備蓄していない訪問看護ステーションも多く、新規購入も困難である。一部自治体では「訪問看護が在宅療養に必要不可欠な医療サービスである」との認識が不十分であり、訪問看護ステーションへの防護具等供給が後回しになるおそれがある。新型コロナウイルス感染患者への訪問看護サービスの開始にあたり、訪問看護ステーションにも「医療機関と同等の資材」を必ず提供してほしい(関連記事はこちらこちら

▽訪問看護師に対するPCR検査の実施
新型コロナウイルス感染患者や濃厚接触者のケアにあたる訪問看護師が「自身の感染の不安」を持つ場合、無症状でも、医師による速やかにPCR検査指示が出されるようにしてほしい(関連記事はこちら

▽介護報酬における訪問看護提供に対する「加算」の創設
新型コロナウイルスの「感染疑い」患者や濃厚接触者は在宅療養となり、介護保険の訪問看護を実施するケースがある。その場合、▼主治医・医療機関・保健所等との連絡調整業務の増加▼利用者や家族に対する生活上の助言・支援、介護職等への助言など、新たな業務負担の発生▼看護師自身が感染の媒介者とならないような対策の徹底―といったコスト増となるほか、「1日に訪問可能な件数の減少」(感染防止のために他の利用者への訪問を控えるなど)という収益減もあり、特例的な対応として「新たな加算」を創設してほしい

▽要介護高齢者の感染防止にかかる入院先の確保
介護保険施設等で新型コロナウイルスへの感染疑い者などが発生した場合に、▼施設等から保健所等への速やかな情報共有・報告▼濃厚接触者・接触が疑われる利用者・職員・家族へのPCR検査実施▼速やかな入院病床の確保や隔離措置―を進むようにしてほしい

看護学生の臨地実習に代わる教育、どこまでが認められるのか明確に

また新型コロナウイルス感染症は「看護教育」の場にも大きな影響を及ぼしています。看護教育の一環として、病院や介護施設等の「臨地実習」は極めて重要なカリキュラムですが、現下の状況では「新型コロナウイルスへの感染防止の観点から、多くの実習施設(病院、介護施設等)において受け入れの停止・延期となっています。

この点、厚労省と文科省は「臨地実習に代えて演習または学内実習等を行うことは差し支えない」考えを示していますが、▼臨地実習に代わって行う教育方法が国家試験の受験資格として認められるのか▼シミュレーション教育の強化や遠隔授業のための財源確保が厳しい▼看護学生の通信環境や居住地によってはWEB開催での就職試験等に対応できないなど、就職活動の機会に不公平が生じている―などの問題が生じています。

そこで日看協では、加藤厚労相・萩生田文科相に対し、(1)臨地実習に代わる教育方法に関する具体的な範囲と例の提示(2)臨地実習に代わる教育方法に係る費用補助(3)看護学生の就職活動に関する配慮―を行うよう要請しています。



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