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診療報酬改定セミナー2024 新制度シミュレーションリリース

腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術、日本産婦人科学会等の最新指針を遵守せよ―疑義解釈13【2018年度診療報酬改定】

2019.4.8.(月)

 厚生労働省は4月3日に「疑義解釈資料の送付について(その13)」を公表しました(厚労省のサイトはこちら)。

 2018年度の診療報酬改定では、K879-2【腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術】に、新たな施設基準が設けられました。今回の疑義解釈では、この点について明確化を図るとともに、臨床研究法と保険診療との関係を整理しています。

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子宮頸がんへの腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術、日本産科婦人科学会等の指針遵守を

 2018年度の診療報酬改定では、ロボット支援手術の対象(従前は前立腺・腎のみ)が、▼胃がん▼食道がん▼直腸がん▼肺がん▼子宮がん―など12術式に拡大されました。点数(診療報酬)は腹腔鏡手術と同程度に設定され、「腹腔鏡手術について、ロボットを用いて実施してもよい」と解釈されています(点数引き上げのためには、腹腔鏡手術に比べての優越性のエビデンスが必要とされている)(関連記事はこちら)。

またK879-2【腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術】の対象疾患を従前の「子宮体がん」に加え、新たに「子宮頸がん」を追加するとともに、施設基準について▼子宮体がんに実施する場合▼子宮頸がんに実施する場合▼子宮体がんに対して内視鏡手術用支援機器(ロボット)を用いる場合―に区分けして設定しています。

 子宮頸がんにK879-2【腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術】を実施する場合の施設基準を見ると、▼産婦人科・婦人科の標榜▼産婦人科または婦人科の経験5年以上で、「開腹の子宮悪性腫瘍手術」20例以上、「腹腔鏡下腟式子宮全摘術(内視鏡手術用支援機器を用いる場合を除く)」20例以上の実施経験、「腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る。内視鏡手術用支援機器を用いる場合を除く)」5例以上の術者経験をもつ常勤医師1名以上の配置▼当該手術を担当する診療科で、常勤医師2名以上の配置▼常勤の麻酔科標榜医および病理医の配置▼子宮悪性腫瘍手術または腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに対し内視鏡手術用支援機器を用いる場合を含む)を合わせて年間20例以上実施▼緊急手術が可能な体制▼関係学会から示されている指針に基づく当該手術の適切な実施―とされています(厚労省のサイトはこちら(特掲診療料の施設基準に関する解釈通知))。

今般の疑義解釈では、最後の「関係学会から示されている指針」について、日本産科婦人科学会等が示した「子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術に関する指針」(2019年3月4日)が含まれることを明確にするとともに、同学会等が示した「子宮頸癌に対する腹腔鏡下広汎子宮全摘出術について」(2019年1月22日)も参照するよう求めています。

特定臨床研究に該当しても、定められた用法等以外での用法等投与は保険診療とならない

ところで、2018年4月から「臨床研究法」が施行されています。高血圧症治療薬での臨床試験データ操作や、製薬メーカーが臨床試験に極めて深い関与するなど、臨床研究をめぐる不祥事が相次いだことへの反省を踏まえ、例えば、特定臨床研究(▼未承認・適応外の医薬品等に関する臨床研究▼製薬メーカー等から資金提供を受けた医薬品等に関する臨床研究―)を行う場合には、研究実施者が「厚生労働大臣の認定を受けた認定臨床研究審査委員会」に実施計画を提出し、その「計画内容が適正なものか」審査を受けることなどが規定されています(臨床研究法に関する厚労省のサイトはこちら)。

臨床研究法の概要、公正・中立な立場で適正な臨床研究が実施されることを目指す

臨床研究法の概要、公正・中立な立場で適正な臨床研究が実施されることを目指す

未承認薬・適応外薬を用いる臨床研究など(特定臨床研究)が、臨床研究法の対象となる(緑色の部分)

未承認薬・適応外薬を用いる臨床研究など(特定臨床研究)が、臨床研究法の対象となる(緑色の部分)

 
特定臨床研究には、「添付文書に定められた用法等」と異なる用法等について安全性・有効性を評価する臨床研究も含まれます(法第2条第2項第2号ロ)。この点、今般の疑義解釈では、「特定臨床研究への該当の有無によって、保険診療上の取扱いに変更が生じることはない」点が明確にされました。

添付文書に定められた用法等による医薬品の投与を行うことは、特別に定められた場合(選定療養など)以外は自由診療となります。「特定臨床研究に該当する」場合であっても、自由診療であるものが「保険診療と扱われるわけではない」ことを明らかにしているものといえます。

NUDT15遺伝子検査、治療抵抗性のリウマチ性疾患も対象疾患に追加

また今年(2019年)2月から、急性リンパ性白血病や難治性炎症性腸疾患の治療において、重篤な副作用のある「チオプリン製剤」の投与等が妥当か否か是非を判断するための新たな遺伝子検査(Nudix hydrolase 15(NUDT15)遺伝子多型検査、2100点)が保険収載されました(関連記事はこちら)。

疑義解釈(その11)では、本検査の対象疾患について、「今年(2019年)2月時点では『難治性の炎症性腸疾患および急性リンパ性白血病』である」とされましたが、あわせて、「関連学会の定める治療指針等で治療選択基準・本検査の結果を踏まえた治療方針が明確なもの」が該当するとされ、順次拡大される可能性が示されていました(関連記事はこちら)。

今般の疑義解釈(その13)では、「難治性の炎症性腸疾患、急性リンパ性白血病」のほかに、新たに「治療抵抗性のリウマチ性疾患」が本検査の対象となることが明確化されています。

 具体的には次の疾患名が掲げられています。
▽全身性血管炎(▼顕微鏡的多発血管炎▼多発血管炎性肉芽腫症▼結節性多発動脈炎▼好酸球性多発血管炎性肉芽腫症▼高安動脈炎―など)
▽全身性エリテマトーデス(SLE)
▽多発性筋炎
▽皮膚筋炎
▽強皮症
▽混合性結合組織病
▽難治性リウマチ性疾患

今後も対象疾患が拡大となる可能性があることから、最新情報を確認する必要があります。

 
 
 
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