Generic selectors
Exact matches only
Search in title
Search in content
Search in posts
Search in pages
診療報酬改定セミナー2024 2024年度版ぽんすけリリース

外科医不足が深刻、医学生・研修医に外科の魅力伝え、「外科医へのインセンティブ」付与を—日本外科学会

2022.5.11.(水)

深刻な外科医不足を打開するために、「診療報酬(手術点数)の増点分を外科医へのインセンティブに振り向ける」「勤務環境改善・労働時間短縮をはじめとする働き方改革」「外科医療補償制度(無過失補償制度)の創設」「医学生・初期研修医への『外科の魅力』情報発信」などに努める—。

日本外科学会は4月27日に「外科医希望者の伸び悩みについての再考」として、こうした考えを強調しました(学会のサイトはこちら)。

外科医の地域間偏在を是正するためには「遠隔医療の導入・推進」も重要

従前より「外科医不足」が指摘されています。その背景として「過酷な勤務状況」「生涯勤務期間が短い」(外科医として活躍できる期間が限られている)「訴訟リスクが大きい」などさまざまな要因が指摘されています。

2018年度から新専門医制度が本格スタートし、外科専攻医(外科専門医を目指す研修医)の採用者数はわずかながら増加するなど明るい兆しも見えましたが、本年度(2022年度)の採用者数は、前年度から52人減少の852人(関連記事はこちら)。専攻医全体に対する割合も9.8%から9.0%に低下しています。

こうした若手外科医不足は「外科医療の遅滞・衰退」、ひいては「国民が必要な手術を受けられない」事態に直結してしまいます。

外科学会では「若手外科医の確保」を最重要課題の1つに位置づけ、課題(なぜ外科希望者が少ないのか)と学会等による対応策とを次のように整理しています。

【課題1】専門医資格を取得するのに時間がかかり生涯労働期間が短い

(対応)
▽専門医資格取得に関し、基本領域として3年間の外科専門研修を行うとともに、サブスペシャリティ領域の「連動研修」(基本領域の研修の一部をサブスペ領域と共有する)を実施(関連記事はこちら)。これにより内分泌外科領域以外では「他領域とほぼ同期間で目標の専門医資格を取得できる」こととした(関連記事はこちら
▽▼内視鏡手術やロボット手術の普及により、外科医の寿命は延びると予想される▼全身を俯瞰的に観ることができるため、外科医として手術を行わなくなった後も「総合医」としての需要が多いと期待されている—ことから、生涯勤務期間は決して短くないレベルになる

【課題2】勤務時間が長い(ワークライフバランスが十分に考慮されていない)

(対応)
▽2024年度から医師の働き方改革がスタートし、時間外労働時が法的に監視されるようになることから、外科医の労働環境は大きく改善されると期待できる(関連記事はこちら
▽ただし、これを実行するには正確な労働時間管理のもとで、▼個々人(特に指導者レベル)の意識改革▼タスクシフト(医師から他職種への業務移管)の推進▼仕事の効率化の推進(カンファランスの短縮やチーム医療の導入など)—などを進める必要がある
▽外科学会では、特に「タスクシフト推進」に向けて厚生労働省と協力しながら具体的かつ適切な提言を行い、大きな役割を果たしてきており、さらに推進していく
▽中堅・若手の中には「当直時間の削減などによる年間収入の減少」を心配する声もあり、こうした側面についても勘案していくことが重要である

【課題3】給与が勤務量に見合っていない

(対応)
▽外科医へのインセンティブ付与を目的の1つとして診療報酬の増点(手術点数の増点など)が行われている
▽しかし、増収分は、多くの病院で本来の目的には使われず「病院の赤字補填」に使用されている
▽診療報酬の増点による増収分を「外科医へのインセンティブ」として正しく使用されるよう、病院長の強いリーダーシップに期待する
▽外科医にとって学術活動は欠かせないが、特に若手・中堅医師では複数学会への参加・発表に多くの時間を取られている現状がある。学会の開催期間・開催地の集約化、新型コロナウイルス感染症に伴うweb学会開催により「学会活動による時間制約の大幅な改善」がなされていると思う。今後もweb開催と現地開催のハイブリッド方式を一段とグレードアップしていく必要がある
▽日本外科学会とサブスペシャルティ学会のテーマ重複解決に向け、学会間連携を強化していく

【課題4】医療訴訟のリスクが高い

(対応)
▽高度医療の実践には一定頻度で予期せぬ合併症が起こる
▽この予期せぬ合併症により患者、家族、外科医が精神的にも肉体的にも疲弊しないようにするため「外科医療補償制度」(無過失補償制度)の策定に向けて厚生労働省に働きかけている(ただし決して道のりは容易ではない)

【課題5】女性医師への配慮が乏しい

(対応)
▽医学部入学生の半数が女性になり、近いうちに現場で活躍する女性医師の割合が格段に増加する(外科学会の女性会員比率は現在10.3%だが、年々増加している)
▽外科学会でも、女性医師の労働環境改善やキャリア形成の支援策を重要かつ緊急度の高い課題と考え、▼女性理事の登用▼あらゆる面での男女共同参画の推進▼出産など一時的に現場を離れたあとに復職する際の技術指導などを行う仕組み構築▼若手医師からの提言活用—などを進めていく



さらに、地域単位で見れば「毎年の外科希望者が数名にとどまる県」も少なくなく、こうした地域では「外科医不足による弊害」が極めて深刻です。このため対応策・解決策の一つとして「遠隔手術の導入が重要である」と外科学会は強調。学術界、産業界、行政のオールジャパン体制で研究が推進されています。技術革新による「遠隔地のロボットを操作して手術を行える」体制などが構築・普及することに期待が集まります(関連記事はこちら)。



外科学会では「外科の魅力を伝えるべく努めているが、医学部生や初期研修医には学会の考えが伝わっていない」ことを問題視。医学生・初期研修医に学会の声が届くよう、若手医師による「情報拡散力」に期待するとともに、「中堅以上の医師」にも1人1人の問題として考えてほしいと要望しています。



診療報酬改定セミナー2024MW_GHC_logo

【関連記事】

放射線カテーテル治療、集中治療科、脊椎脊髄外科の3領域を新専門医サブスペ認定へ―日本専門医機構・寺本理事長
新専門医目指す「専攻医」の2022年度採用は9519名、「内科医不足の解消」などが今後の重要課題―日本専門医機構
専門医を目指す研修プログラムに「どの施設で、どの程度の時間外労働が生じるのか」など明示を―医師専門研修部会
内科専門医、1-2年程度のカリキュラム研修で総合診療専門医のダブルボード取得可―日本専門医機構・寺本理事長
2022年度の臨床研究医コース採用は19名に減、アンケート調査等で課題・改善策探る—日本専門医機構・寺本理事長
新専門研修におけるハラスメント等の相談窓口を開設、「研修医」への情報発信も強化―日本専門医機構・寺本理事長
2022年度の新専門研修に向け、事実上の「シーリング逃れ」等の実態把握し、厳正対処を―医師専門研修部会
基本領域の学会認定専門医、できるだけ「機構認定専門医」へ移行を―日本専門医機構・寺本理事長
広告可能な専門医資格、「日本専門医機構が認定する新専門医」が原則に―医療情報提供内容検討会
どういった医療WEB広告が「不適切」なのか、どう改善すれば良いかを詳説―医療情報提供内容検討会(2)
「日本専門医機構認定の基本領域新専門医」を広告可能とすべきか、「学会認定専門医」広告をどう扱うか―医療情報提供内容検討会(1)

チーム医療等推進のため「特定行為研修を修了した看護師」に業務移管している旨を広告可能に—医療情報提供内容検討会
2021年度から、医療機関等に外国語対応・妊産婦対応の状況報告求める―医療情報提供内容検討会(2)
「特定行為研修を修了した看護師」へのタスク・シフト実施、医療機関で広告可能としてはどうか―医療情報提供内容検討会(1)
不適切な医療WEB広告の通報等増加、エビデンスない「がん免疫療法」等もあり早急是正を―医療情報提供内容検討会
全国統一の「医療の質」評価指標を設け、オールジャパンでの病院ベンチマーク可能に―医療情報提供内容検討会
医療webサイトがどこから不適切となるのか、関係者が協議し指導等の運用・解釈を統一―医療情報提供内容検討会(2)
医療の質向上目指し、「QI事業参加病院のサポート」や「臨床指標の標準化」を行う協議会を設置―医療情報提供内容検討会(1)
全国の医療機関、2019年度から「かかりつけ医機能」や「医療被曝の管理」状況なども都道府県に報告を―医療情報提供内容検討会(2)
医療機関から金銭授受を受ける医療情報サイトは広告、「体験談」等は掲載不可―医療情報提供内容検討会(1)



医療広告ガイドライン、新たなQ&Aを厚労省が提示―厚労省
医療機関ホームページ、手術後生存率等を合理的根拠等示さず記載は不可―医療情報提供内容検討会(1)
患者の体験談やビフォーアフター写真、ホームページへの掲載も原則不可―厚労省
患者の医療機関への感謝の気持ち、不適切なものはホームページ等に掲載禁止―社保審・医療部会(2)
医療機関ホームページ、「患者が元気になるイラスト」など掲載禁止―厚労省・検討会



サブスペ領域、「在り方」に遡って議論しなおし、24領域以外は2022年度以降にスタート―日本専門医機構
専門医資格の更新に際し、「多様な地域での診療従事経験」にインセンティブ付与―専門医機構・寺本理事長
サブスぺ領域の結論出ず、4月からの経験症例は「遡及認定」「学会認定専門医」としてカウント―日本専門医機構
新専門医目指す「専攻医」、2021年度採用は9227名、2022年度のシーリングは現行踏襲―日本専門医機構
臨床研究医コースの応募・採用は27名にとどまる、周知期間不足が原因か—日本専門医機構・寺本理事長
10月8・9日に臨床研究医コースの合否決定し、11月初旬から一般枠の専攻医募集開始へ―日本専門医機構
2021年度からの新専門研修の概要固まる、「シーリング逃れ」などを厳格に是正—医師専門研修部会
新専門医制度の「研究医コース」、9月23日頃から募集開始し10月半ばに採用決定、その後に一般枠の募集開始へ―日本専門医機構・寺本理事長
新専門医制度の「臨床研究医コース」、8月にプログラム等提示し、9月から専攻医募集開始へ—日本専門医機構・寺本理事長
新専門医制度に2021年度から「臨床研究医コース」を新設、7年間の身分保障を行い研究に専念できる環境を整備—医師専門研修部会
新専門医、2021年度採用の専攻医数シーリング案を日本専門医機構固める―医師専門研修部会
新専門医制度、循環器内科や呼吸器内科などのサブスぺ領域で「連動研修」認める―医師専門研修部会
新専門医制度、ハラスメント対策等のルールを6月にも策定―日本専門医機構

2021年度からの専攻医採用シーリング、2020年3月頃に決定へ―日本専門医機構
医療水準向上を目指した研究医養成等も2021年度新専門医養成数に反映させるべき―日本専門医機構
新専門医制度、基本領域の見直しは現時点では不可能、異なる視点でのサブスぺ論議に期待―日本専門医機構

新専門医制度の議論迷走、「機構認定済」の23サブスぺ領域に依然、許可下りず―医師専門研修部会
新専門医制度、2020年度の専攻医シーリング決定し10月15日から専攻医募集開始―日本専門医機構
新専門医制度、「地域医療確保に不可欠な地域枠医師等」はシーリングの別枠に―医師専門研修部会
新専門医シーリングの基礎となる「都道府県・診療科別の必要医師数」、年内に改善要望―日本専門医機構
「都道府県別・診療科別の必要医師数」、2020年早々までに日本専門医機構や基本領域学会等の協議会で検証
新専門医制度の新シーリング、2021年度実施までにコンセプト固めたい―日本専門医機構
専門医制度、「専門医の質確保」(高度な研修)と「地域医療の確保」は両立可能―医師専門研修部会(2)
新専門医制度の専攻医、2020年度から都道府県別・診療科別必要医師数踏まえたシーリング設定―医師専門研修部会(1)
診療科別の必要医師数踏まえ、2020年度以降の専攻医シーリングを設定―日本専門医機構
新専門医制度の採用枠、新たに診療科別・都道府県別の必要医師数をベースに考えてはどうか―医師専門研修部会(2)
内科・外科の連動研修の4月スタート見送り、ただし単位の遡及認定等で専攻医の不利益を回避―医師専門研修部会(1)
消化器内視鏡など23学会・領域のサブスペ認定に理解を求める、専攻医は安心して連動研修実施を―日本専門医機構
消化器内視鏡や老年病、新専門医制度のサブスペシャリティ領域認証に「待った」―医師専門研修部会
新専門医制度、プログラム制の研修にも関わらず2・3年目の勤務地「未定」が散見される―医師専門研修部会
新専門医制度、「シーリングの遵守」「迅速な情報提供」「カリキュラム制の整備」など徹底せよ―医師専門研修部会
新専門医制度、2019年度の専攻医登録を控えて「医師専門研修部会」議論開始

90学会・領域がサブスペシャリティ領域を希望、2019年9月には全体像固まる見込み―日本専門医機構
カリキュラム制での新専門医研修、必要な単位数と経験症例を基本領域学会で設定―日本専門医機構
新専門医制度、サブスペシャリティ領域は事前審査・本審査を経て2019年9月に認証―日本専門医機構
2019年度からの新専門医目指す専攻医の登録は順調、1次登録は11月21日まで―日本専門医機構
新専門医制度、2019年4月から研修始める「専攻医」募集を正式スタート―日本専門医機構
東京都における2019年度の専攻医定員、外科など除き5%削減を決定―日本専門医機構
2019年度新専門医研修、「東京のみ」「東京・神奈川のみ」で完結する研修プログラムの定員を削減―日本専門医機構
2019年度、東京都の専攻医定員数は2018年度から5%削減―日本専門医機構
日本専門医機構、新理事長に帝京大の寺本民生・臨床研究センター長が就任
がん薬物療法専門医、サブスペシャリティ領域として認める―日本専門医機構
2019年度の専攻医登録に向け、大阪や神奈川県の状況、診療科別の状況などを詳細分析―日本専門医機構
東京の専攻医、1年目に207名、2年目に394名、4年目に483名が地方勤務―日本専門医機構
新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構

新専門医制度によって医師の都市部集中が「増悪」しているのか―医師養成と地域医療検討会
新専門医制度、偏在対策の効果検証せよ―医師養成と地域医療検討会
医学生が指導医の下で行える医行為、医学の進歩など踏まえて2017年度に再整理―医師養成と地域医療検討会

新専門医制度、専門研修中の医師の勤務地を把握できる仕組みに―日本専門医機構
地域医療構想調整会議での議論「加速化」させよ―厚労省・武田医政局長
新専門医制度で医師偏在が助長されている可能性、3県では外科専攻医が1名のみ—全自病
新専門医制度の専攻医採用、大都市部の上限値などの情報公開を―四病協

新専門医制度、東京で専攻医多いが、近隣県を広くカバーする見込み―日本専門医機構
新専門医制度、現時点で医師偏在は助長されていない―日本専門医機構

新専門医制度のサブスペシャリティ領域、国民目線に立ち「抑制的」に認証すべき―四病協

新専門医制度、専攻医の1次登録は10月10から11月15日まで—日本専門医機構
新専門医制度、都道府県協議会・厚労省・検討会で地域医療への影響を監視—医師養成と地域医療検討会
新専門医制度、地域医療への影響を厚労省が確認し、問題あれば対応—塩崎厚労相
2018年度からの新専門医制度に備え、10月から専攻医の仮登録—日本専門医機構
新専門医研修プログラム、都道府県協議会で地域医療を確保する内容となっているか確認―厚労省
専門医機構、地域医療への配慮について「必ず」都道府県協議会の求めに応じよ—厚労省検討会
新整備指針の見直し、総合診療専門医の研修プログラム整備基準を決定—日本専門医機構
専門医整備指針、女性医師に配慮した柔軟な対応などを6月2日の理事会で明記—厚労省検討会
地域医療へ配慮し、国民に分かりやすい専門医制度を目指す—日本専門医機構がQ&A
専門医取得が義務でないことやカリキュラム制の設置、新整備指針の中で対応—日本専門医機構
新専門医制度、整備指針を再度見直し「専門医取得は義務でない」ことなど明記へ―厚労省検討会

新専門医制度、見直しで何が変わったのか、地域医療にどう配慮するのかを分かりやすく示す―日本専門医機構
必要な標準治療を集中的に学ぶため、初の基本領域での研修は「プログラム制」が原則―日本専門医機構
新専門医制度、東京・神奈川・愛知・大阪・福岡では、専攻医上限を過去3年平均に制限―日本専門医機構
専門医制度新整備指針、基本理念に「地域医療への十分な配慮」盛り込む―日本専門医機構
地域医療に配慮した、専門医制度の「新整備指針」案を大筋で了承―日本専門医機構
消化器内科や呼吸器外科など、基本領域とサブスペ領域が連動した研修プログラムに―日本専門医機構
総合診療専門医、2017年度は「日本専門医機構のプログラム」での募集は行わず
新専門医制度、18基本領域について地域医療への配慮状況を9月上旬までにチェック―日本専門医機構
【速報】専門医、来年はできるだけ既存プログラムで運用、新プログラムは2018年目途に一斉スタート―日本専門医機構
新専門医制度、学会が責任もって養成プログラムを作成、機構が各学会をサポート―日本専門医機構
【速報】新専門医制度、7月20日に「検討の場」、25日の総会で一定の方向示す見込み―日本専門医機構
新専門医制度、各学会がそろって同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい―日本専門医機構・吉村新理事長
【速報】新専門医制度、日本専門医機構の吉村新理事長「7月中に方向性示す」考え