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新専門医目指す「専攻医」の2022年度採用は9519名、「内科医不足の解消」などが今後の重要課題―日本専門医機構

2022.2.21.(月)

来年度(2022年度)から「新専門医資格を目指して新たに専門研修を開始する専攻医」として病院に採用された医師は9519名となる見込みだ―。

基本領域別にみると内科が3割強、外科が1割弱などで「例年と比べて大きな変化」はないが、地域医療の現場からは「内科医師が圧倒的に不足している」との声が強い。今後「診療科、領域間の偏在」是正を検討していく必要があるが、シーリング(採用数の上限設定)には負の面があることにも留意しなければならない―。

日本専門医機構の寺本民生理事長は、2月21日の定例記者会見でこういった状況を明らかにしました。

2月21日のオンライン定例記者会見に臨んだ、日本専門医機構の寺本民生理事長

2022年度からの「新専門医目指す専攻医」、ダブルボード志望者も124名

2018年度から「新専門医制度」が全面スタートしました。従前の専門医制度に対する「各学会が独自の基準で専門医を認定しており、国民に分かりにくく、質が担保されていない」などの批判を踏まえ、「日本専門医機構と各学会が共同して研修プログラムを作成し、認定を行う仕組み」「医師の地域偏在を助長しない(東京など大都市部での専門研修を希望する医師が多いため)よう、エビデンスに基づいた地域・診療科ごとのシーリング(専攻医採用数の上限)を設ける仕組み」へと改められています。

今般、来年度(2022年度)から専門研修を開始する「専攻医」の採用状況が寺本理事長から発表されました。▼7年間の研究を行い、その間、身分保障がなされる「臨床研究医」コースの募集・採用(2021年10月から募集)▼一般の専攻医コースの1次(同年11月から募集)・2次(同年12月から募集)の募集・採用―などを経て、採用状況が概ね固まったものです。ただし「辞退」などが生じ、数字が若干変動する可能性もあります。

●2022年度採用数:9519名(2021年度採用(2021年2月発表時点、以下同)に比べて292名増)
▽臨床研究医コース:18名
▽内科:2931名(同56名減)
▽小児科:554名(同4名増)
▽皮膚科:331名(同25名増)
▽精神科:573名(同21名増)
▽外科:852名(同60名減)
▽整形外科:651名(同24名増)
▽産婦人科:521名(同43名増)
▽眼科:337名(同7名増)
▽耳鼻咽喉科:256名(同37名増)
▽泌尿器科:308名(同6名減)
▽脳神経外科:238名(同18名減)
▽放射線科:301(同32名増)
▽麻酔科:501名(同39名増)
▽病理:99名(同4名増)
▽臨床検査:22名(同1名増)
▽救急科:375名(同49名増)
▽形成外科:255名(同44名増)
▽リハビリテーション科:146名(同40名増)
▽総合診療:250名(同44名増)

なお、上記の中には▼「ダブルボード」志望者(1つの基本領域について専門医資格を得た日、改めて別の基本領域の専門医資格を得るために専門研修をスタートする者)が124名▼「地域枠」出身者(医学部入学時点で「一定の地域での勤務」を約束する医師)が52名▼カリキュラム制での研修を受ける者(決められた年限・施設での研修(プログラム制)でなく、年限や研修施設を定めず、必要な症例数などを経験し専門医資格試験の受験資格を取得する仕組み)が250名―含まれています。

採用数が前年度から若干増減している部分はあるものの、寺本理事長は「概ね例年通りの傾向にある」を見ています。もっとも、例えば内科医について地域医療の現場や学会からは「圧倒的に不足している」との声が強く、上記の「専門医志望者の3割程度で十分なのか?より増やさなければいけないのではないか?」という問題意識が生じます。寺本理事長は、「今後、『診療科、領域間の偏在』の是正を検討していく必要がある。ただしシーリング(採用数の上限設定)には負の面があることにも留意しなければならない」との考えを述べています。

現在のシーリング(2020年度採用分から導入)は非常に複雑ですが、エビデンス(厚生労働省の試算した「都道府県別・診療科別の必要医師数」)に基づいて採用数上限を設定しています。▼「既に必要医師数を確保できている」と考えられる都道府県・診療科ではシーリング(採用数に上限)を設ける▼採用数の一部を「他の都道府県での研修」に充てるプログラム(連携プログラム)とする―ことなどで、医師の少ない都道府県・診療科での研修を専攻医に促すものです。

この点、採用実績や医療現場の状況などを踏まえて「毎年度、改善」されていますが、2022年度採用分(上記)については、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえて「2021年度と基本的に同じ仕組み」とすることになりました。

学会からは「専攻医に占める内科のシェアが減少しており、将来の我が国の医療を考えたとき大きな問題である」(内科領域より)、「外科医不足は深刻で、まだまだ増やす必要がある」(外科領域より)、「ICTが発達する中で放射線科医の働き方は大きく変わっており、従前と同じ感が方で地域偏在などを議論することは難しくなってきている」(放射線科領域より)などの意見が出ており、今後、「シーリング改善案」を機構と関係学会で詰め、素案をまとめることになりそうです(その後、厚生労働省の医師専門研修部会(医道審議会・医師分科会の下部組織、専門研修制度について審議を行っている)での了承を得る)。



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