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一般名間・ブランド(銘柄)名間・一般名-ブランド名間の「名称類似薬の誤り」事例が散発、名称確認の再徹底を—医療機能評価機構

2024.11.26.(火)

一般名間・ブランド(銘柄)名間・一般名-ブランド名間の「名称類似薬の誤り」(医師による処方の誤り、薬剤師による調剤の誤り)事例が散発しており、名称確認の再徹底が必要である—。

日本医療機能評価機構が11月25日に公表した、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の「共有すべき事例」から、こういった重要知見が明らかになりました(機構のサイトはこちら)。

「薬剤名のすべての文字」を見て、正しい薬剤選択を

日本医療機能評価機構は、保険薬局(調剤薬局)における医療安全の確保・向上を目指した「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」も展開しています。全国の保険薬局から「患者の健康被害等につながる恐れのあったヒヤリ・ハット事例」(ヒヤリとした、ハッとした事例)の報告を求め、重要な事例の集積・解析・公表を踏まえて「再発防止」を目指すものです。

再発防止の一環として、ヒヤリ・ハット事例の中から、医療安全確保のために有益な情報を「共有すべき事例」として定期的にピックアップ・公表しています(最近の事例に関する記事はこちら)。今般、新たに3つのヒヤリ・ハット事例が紹介されました。

1つ目は「名称類似薬の入力間違い」で、「一般名同士」の間違い事例です。

ある薬局で、前立腺肥大症・前立腺がん治療薬の「【般】クロルマジノン酢酸エステル錠25mg」の処方箋を応需しました。しかし、薬局スタッフがレセコンに誤って精神神経安定剤の「クロルプロマジン塩酸塩錠25mg」と入力してしまいました。幸い、薬剤師が薬剤を取りそろえる際に「薬剤名の入力が間違っている」ことに気付きました。

多くの薬局では、処方内容をレセコンに入力する際は、「薬剤の規格と一般的名称、もしくはブランド名の読み仮名数文字」を入力して薬剤を検索すると思われます。事例の薬局では「25 クロル」と入力して検索したところ、▼クロルマジノン酢酸エステル錠25mg▼クロルプロマジン塩酸塩錠25mg—が表示され、選択を誤ってしまいました。

述べるまでもなく、医薬品の取り違えは重大な健康被害につながりかねません。機構では▼。一般名が「クロル」で始まる薬剤は入力間違いや取り違えが起こりやすい薬剤としてスタッフに周知、注意喚起する▼表示された薬剤群から正しく選択するには「薬剤名のすべての文字」を見て確認する—などの取り組みを推奨しています。



2つ目も「名称類似薬の取り違え」ですが、こちらは「ブランド名同士」を取り違えた事例です。

ある患者に抗菌剤の「ラスビック錠75mg」1回1錠・1日1回が処方されました。しかし、処方箋を応需した薬剤師は誤って血栓・塞栓治療等に用いる「プラビックス錠75mg」を調製してしまいました。幸い、鑑査した薬剤師が薬剤の取り違えに気付きラスビック錠を正しく調製して患者に交付することができました。

機構では、▼「薬剤名の頭文字が一致していなくても、名称に同じ文字列を含む薬剤は視覚的・音韻的な類似性から、思い込みによる取り違えの可能性がある」点に留意する▼名称が類似しているだけでなく、「規格や用法・用量が同じである薬剤」には特に注意が必要である▼製薬企業やPMDAから「取り違えの可能性がある薬剤の組み合わせ」として注意喚起されている薬剤については、自局で調剤する頻度が低いものでも「称類似薬あり」などの掲示を行い、薬剤取り違え防止のための対策を行う—よう注意喚起しています。



3つ目も「名称類似薬の処方間違い事例」で、こちらは「一般名とブランド名」と誤りです。

ある患者に、以前から高血圧症治療薬の「カンデサルタン錠4mg」が処方されていましたが、今回は高血圧症治療薬の「カルデナリン錠2mg」へ変更となりました。薬剤師が患者から聴取したところ、処方医から「血圧が下がっているので薬剤を減量する」と説明があったことが分かりました。薬剤師は「カンデサルタン錠2mgとカルデナリン錠2mgとを誤ったのではないか?」と疑い、薬剤師が処方医に疑義照会を行ったところ、「【般】カンデサルタン錠2mgの処方間違い」であることが判明しました。

機構では、▼「薬剤の一般的名称」と「他の薬剤のブランド名」とが類似し、医師が薬剤を誤って処方する事例も複数報告されており、留意が必要である▼薬剤が変更になった際には、薬剤服用歴やお薬手帳、退院時の診療情報提供書、患者から聴取した情報などと処方された薬剤を照合し、処方間違いの可能性があれば処方医に確認を行う—ことが重要とアドヴァイスしています。



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