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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

人工呼吸器の稼働前に「一度、器材を組み立て、異常時に警報音が出るか」の確認徹底を―PMDA

2022.4.1.(金)

人工呼吸器の呼吸回路にコネクタやカテーテルを接続するケースが少なくないが、製品によっては 「外れた場合に警報音がならない」こともある―。

事前に、一度、すべての器材を接続して稼働させ、「テスト肺を外した際に警報音が鳴る」ことを確認する必要がある―。

また警報設定等は、個々の医療現場で「適切なもの」となるように検討する必要がある―。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)は3月30日に、「PMDA医療安全情報No.63(人工呼吸器の使用前点検に関する注意について)」を公表し、医療現場にこうした事故防止に向けた留意を呼びかけました(PMDAのサイトはこちら)(同日に公表された臨時号No.3(再周知特集その3「MRI検査時の注意について」)に関する記事はこちら、No.62(PCPS/ECMOカニューレの抜去事例について)に関する記事はこちら)。

メーカー指定製品以外を接続すると「警報音がならない」ケースがある点に留意を

PMDAでは、医療現場からヒヤリ・ハット事例や副作用・不具合報告を収集し、「繰り返し同様の事象が報告されている事例」「添付文書改訂等を通知した事例」などについて、医師・薬剤師・看護師・臨床工学技士等の医療従事者や人間工学分野などの専門家、医薬品・医療機器製造販売業者の業界団体の意見も参考に、「医療従事者に対して安全に使用するために注意すべき点」などをPMDA医療安全情報として公表しています。医療安全確保のために重要かつ有益な情報の1つです。

今般、「人工呼吸器の使用前点検が不十分であった」ことに起因する医療事故が散発していることを受け、PMDAが実施上の留意点を整理し、医療現場に注意を呼びかけました。新型コロナウイルス感染症の重症患者では、人工呼吸器等による管理が必要となり、また不慣れな術者が管理を行うケースも増えていることなどが、「事故の増加」の背景にあると考えられます。人工呼吸器が適切に作動しなければ、患者は「死」に直面することとなるため、事故防止に向けた取り組みが必要不可欠です。



PMDAでは、人工呼吸器使用前点検に関して(1)閉鎖式の気管支吸引用カテーテルを使用する際(2)呼吸回路に接続可能な製品(3)警報機能付き生体情報モニタの必要性と警報設定―の3点について留意点を整理しています。

まず(1)の「閉鎖式の気管支吸引用カテーテル」に関しては、医療現場において「人工呼吸器の回路」―「閉鎖式の気管支吸引用カテーテル」―「挿管カニューレ」という形で接続して使用した際に、呼吸回路が外れたものの音声による警報が発生しなかったという事故が発生しています。

あわせて(2)では、(1)の「閉鎖式の気管支吸引用カテーテル」も含めて「製造販売業者が指定していない製品を接続した場合、音声による警報が発生しないことがある」点を強調しています。例えば、(1)の気管支吸引用カテーテルのほかにも▼L字コネクタ▼人工鼻▼カテーテルマウント―などがあげられます。

PMDAでは「患者に接続する器材を一度すべて組み立てて人工呼吸器の運転を開始し、そののちにテスト肺を外して『警報が発生する』か否かを、患者に実際に接続する前にテストする」よう強く求めています。

事前に一度すべての器材を接続し、異常時に警報が出るのか確認を(PMDA医療安全情報(63)1 220330)



また(3)では、患者の呼吸状態に応じて▼警報機能付き生体情報モニタを使用するか否かを決める▼適正な警報設定を行う―ことをPMDAが要請しています。

警報は医療現場で検討し「適切」に設定を(PMDA医療安全情報(63)2 220330)



巷間、「警報設定を厳しくしすぎるために、常に警報音が鳴っている状況となってしまい、警報音が鳴っても現場スタッフが『いつものこと、対応は後回しでよい』とおざなりな対応をしてしまいがちである」と指摘されます。こうした事態が生じないように、かといって「異常事態の把握が遅れてしまわない」ように、医療現場で「適切な設定」を検討することが重要でしょう。



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