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新型コロナ、60歳以上・基礎疾患あり・呼吸不全悪化傾向の患者には抗ウイルス薬投与の検討を―感染症学会

2020.6.12.(金)

新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言は全都道府県で解除されていますが、一部地域でクラスター(集団感染)が発生し、東京都や北海道など以前として新規患者数が一定数いるなど、第2波・第3波への備え(感染拡大防止、医療提供体制確保など)が非常に重要となります。

新型コロナウイルス感染症の治療に関しては、病態に応じて「重症者ではECMO(体外式膜型人工肺)による管理を検討する」「呼吸不全のある中等症では酸素マスクや経鼻カニューレによる酸素投与を行う」「軽症者では自然軽快することが多いが、状態の急変に留意する」などの対応方針が示されています(関連記事はこちら)。

このように中等症以上の患者では、薬物療法(抗ウイルス薬の投与)が重要となってくることから、日本感染症学会では、これまでの国内外の知見を踏まえた「COVID-19に対する薬物治療の考え方 第4版」を6月5日に公表。そこでは、▼抗ウイルス薬投与療法の対象となる患者▼薬剤の選択▼投与開始のタイミング―などを整理しています(感染症学会のサイトはこちら)。

基礎疾患のない60歳未満患者は経過観察、陽性確定前患者は抗ウイルス薬不適応

まず、抗ウイルス薬投与療法の対象患者については、現時点では次の基準を参考にするよう求めています。薬剤投与には副作用も伴うため、対象患者を適切に選択することが重要なことは述べるまでもありません。

▽概ね60歳未満で、基礎疾患(▼糖尿病▼心血管疾患▼慢性肺疾患▼悪性腫瘍▼喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)▼免疫抑制状態―など)のない患者では、肺炎を発症しても自然治癒する例が多く、必ずしも抗ウイルス薬を投与せずとも経過を観察してよい

▽「概ね60歳以上の患者」や「▼糖尿病▼心血管疾患▼慢性肺疾患▼悪性腫瘍▼喫煙による慢性閉塞性肺疾患(COPD)▼免疫抑制状態―などのある患者」では、重篤な呼吸不全を起こす可能性が高く、死亡率も高いため、低酸素血症・酸素投与などの状況を考慮したうえで抗ウイルス薬の投与を検討する

▽年齢にかかわらず、「酸素投与と対症療法だけでは呼吸不全が悪化傾向にある患者」では、抗ウイルス薬の投与を検討する

▽PCR検査などにより新型コロナウイルス感染症の確定診断がついていない患者は、抗ウイルス薬の適応とはならない

レムデシビルやアビガンなど6薬剤について、留意点などを整理

こうした基準を踏まえて患者を特定したうえで、次に「どのような抗ウイルス薬の投与すべきか」を検討することになります。この点、新型コロナウイルス感染症への効果が認められている薬剤は、現時点では「レムデシビル製剤」(販売名:ベクルリー点滴静注液100mg、同点滴静注用100mg)に限られ、それ以外の薬剤使用は「適応外使用」となります。このため、▼各施設の薬剤適応外使用指針に則り、必要な手続きを行う▼リスクと便益を熟慮して投与の判断を行う▼治験・臨床研究の枠組みの中で薬剤投与を行う場合には、関連する法令・針等に沿う▼有害事象の有無をみるために採血などで評価を行う―ことなどが必要となります。

感染症学会では、(1)レムデシビル(ベクルリー点滴静注)(2)ファビピラビル(アビガン錠)(3)シクレソニド(オルベスコ)(4)ロピナビル・リトナビル(カレトラ)(5)トシリズマブ(アクテムラ)(6)ナファモスタット―の6薬剤を取り上げ、これまでの臨床報告や投与上の留意点などを整理しています。患者の状態などを踏まえ、適切な薬剤を選択することが重要です。

(1)レムデシビル(ベクルリー点滴静注)
もともとエボラウイルス感染症治療薬として開発され、新型コロナウイルス感染症にもin vitro(試験管内)で良好な活性を示したことから、現在、製造元による全世界治験が進行中。5月に米国FDAが緊急使用承認を行い、本邦でも薬事承認(特例承認)された(関連記事はこちらこちらこちら)。

【留意点】
▽現時点では原則として、▼酸素飽和度(SpO2)94%以下▼酸素吸入を要する▼ECMO(体外式膜型人工肺)導入▼侵襲的人工呼吸器管理を要する―などの重症患者を対象に投与を行う

▽体重3.5kg以上40kg未満の小児には、点滴静注液は推奨されない

▽▼肝機能障害▼下痢▼皮疹▼腎機能障害―などの頻度が高く、重篤な副作用として▼多臓器不全▼敗血症性ショック▼急性腎障害▼低血圧―が報告されている

▽▼急性腎障害▼肝機能障害―が現れることがあるので、投与前・投与中は毎日、腎機能・肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察する

【入手方法】
▽当面の間、日本への供給量が限定的なものとなる可能性があり、厚生労働省がメーカーから薬剤提供を受け、厚労省から各医療機関へ配分する



(2)ファビピラビル(アビガン錠)
「新型または再興型インフルエンザウイルス感染症」(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効・効果不十分なものに限る)」に限定して薬事承認を受けている。海外からは「カレトラ(HIV感染症治療薬)使用患者と比べて、本剤使用患者では新型コロナウイルス消失時間が短縮され、画像所見の改善も早い」との報告がある。

本邦では、藤田医科大学を中心とする観察研究が行われており、臨床的改善率は▼投与開始7日目で軽症:73.8%、中等症:66.6%、重症:40.1%▼14日目で軽症:87.8%、中等症:84.5%、重症:60.3%―、入院から1か月時点での死亡率は軽症:5.1%、中等症:12.7%、重症:31.7%、入院から約1か月後の転帰は生存退院:47.7%、軽快転院:9.4%、入院中:25.5%、増悪転院:5.8%、死亡:11.6%などの成績が報告されている(効果判定には比較試験が必要となる)(関連記事はこちらこちら)。

【留意点】
▽観察研究では、▼尿酸血症・尿酸値上昇:15.5%▼肝機能障害・肝機能酵素上昇:7.4%▼皮疹・中毒疹:1.4%▼下痢・軟便:0.7%▼腎機能障害・クレアチニン値上昇:0.7%▼嘔吐・嘔気・悪心:0.5%▼発熱:0.4%▼:0.4%▼高カリウム血症:0.3%―といった有害事象が見られた。ただし既知の副作用で、未知の副作用の傾向などは見られなかった

▽投与中、血中尿酸値が正常値上限を越えて増加することが多いが、投与終了と共に正常化することが知られている

▽投与前に「患者の肝機能の状態」を把握する必要があり、肝機能障害患者に投与する場合は、投与前にリスクを十分に検討の上で慎重に投与し、投与後は観察を十分に行うことが必要である

▽▼ピラジナミド(結核治療薬、販売名:ピラマイド原末)▼レパグリニド(2型糖尿病治療薬、販売名:シュアポスト錠ほか)▼テオフィリン(気管支喘息等治療薬、販売名:テオドール錠ほか)▼ファムシクロビル(帯状疱疹等治療薬、販売名:ファムビル錠ほか)▼スリンダク(関節リウマチ等の消炎・鎮痛剤、販売名:クリノリル錠)―については、本剤との併用にあたって注意する

▽患者の状態によっては経口投与が極めて困難な場合も想定されることから、その場合には、摂氏55度に加温した水を加えて試験薬懸濁液を調製(簡易懸濁法)し、経鼻胃管を用いて胃に注入する(胃管が胃に挿入されていることを胸部X線検査で確認すべき点などに留意)

▽動物実験で「初期胚の致死、催奇形性」が確認されており、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与しない

▽妊娠する可能性のある女性に投与する場合は、投与開始前に妊娠検査を行い、陰性であることを確認した上で投与する。また、上記の危険性について十分に説明し、投与期間中・投与終了後10日間は、パートナーと共に「極めて有効な避妊法の実施」を徹底するよう指導する。投与期間中に妊娠が疑われる場合には、直ちに投与を中止し、医師等に連絡するよう患者を指導する

▽本剤は精液中へ移行することから、男性患者に投与する際は、上記の危険性について十分に説明した上で、投与期間中・投与終了後10日間、性交渉を行う場合は「極めて有効な避妊法の実施」を徹底(男性は必ずコンドーム着用)するよう指導する。また、この期間中は妊婦との性交渉を行わせない

▽治療開始に先立ち、患者・家族等に有効性と危険性(胎児への曝露の危険性含む)を十分に文書で説明し、文書での同意を得てから投与を開始する



(3)シクレソニド(オルベスコ)
吸入ステロイド喘息治療剤であるが、国立感染症研究所より新型コロナウイルス感染症に対し特異的な抗ウイルス作用を持つことが報告されており、国内外で臨床試験・研究が進行中である

【留意点】
▽気管内挿管中は「スペーサー」を用いて投与するほか、日本感染症学会の「シクレソニド使用上のご注意」を参照する



(4)ロピナビル・リトナビル(カレトラ)
HIV感染症治療薬であるが、新型コロナウイルス感染症に対してもバーチャルスクリーニングで有効である可能性が示されており、海外からは「無投薬と比べ臨床的改善率、28日死亡率のいずれも有意差がなかった」「▼インターフェロンβ-1b▼ロピナビル・リトナビル▼リバビリン―の3剤併用と、ロピナビル・リトナビル単剤投与とを比べると、3剤併用では、臨床的改善までの期間、PCR検査陰性化までの期間が有意に短縮された」などの報告がある。

【留意点】
▽使用開始前にHIV感染の有無を確認し、陽性の場合には専門家に相談する

▽リトナビル(HIV感染症治療薬、販売名:ノービア錠)による薬剤相互作用があるため、併用薬に注意する

▽錠剤内服が困難な患者に内用液を使用する場合には、アルコール過敏がないか確認する



(5)トシリズマブ(アクテムラ)
関節リウマチなどの膠原病疾患に使用される薬剤だが、新型コロナウイルス感染症への有効性が検討され、海外からは「通常治療に加えて本剤投与を行ったところ、酸素需要量の減少、肺炎の画像所見改善がみられた」「本剤投与症例では、他薬剤投与症例と比べて生存率が高かった」などの報告がある。本邦では製薬メーカーにおいて臨床試験が進行中である

【留意点】
▽新型コロナウイルス感染症患者に対して本剤を投与した際の副作用は「不明」である

▽キャッスルマン病・関節リウマチ・多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎および全身型若年性特発性関節炎の患者に対する市販後調査では、▼上気道感染:5.6%▼肝機能異常:5.1%▼白血球減少:4.1%▼肺炎:2.9%▼発疹:2.4%―が認められている

▽「関節リウマチ(RA)に対するトシリズマブ使用ガイドライン」では投与前には結核・非結核性抗酸菌症のスクリーニングが推奨されている



(6)ナファモスタット
汎発性血管内血液凝固症(DIC)などに適応があり、作用機序から新型コロナウイルス感染症への効果が期待されており、本邦では「肺炎を発症している患者に対する、ファビピラビル(アビガン錠)とナファモスタットメシル酸塩の併用療法」の特定臨床研究が進行中である

【留意点】
▽▼ショック▼アナフィラキシー様症状―が現れることがあり、本剤に対するアレルギー歴について十分な問診を行う

▽▼高カリウム血症▼低ナトリウム血症―が現れることがあり、定期的に▼血清カリウム値▼血清ナトリウム値―を測定し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行う



ぽんすけ2020

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新型コロナウイルス患者等の受け入れ等で診療報酬の施設基準等満たさずとも、当面は変更届け出等は不要―厚労省
37.5度以上の発熱があり入院が必要な肺炎が疑われる患者、新型コロナウイルス検査の実施を―厚労省
37.5度以上発熱が4日以上続く、倦怠感や呼吸困難がある場合は「帰国者・接触者相談センター」に相談を―厚労省
新型コロナウイル患者の入院医療費は「公費負担」とするなど、治療体制を急ぎ整える―首相官邸
新型コロナウイルス関連での外出自粛患者への診療、往診料や訪問診療料の算定可能―厚生労働省
新型コロナウイルス患者、緊急やむを得ない場合には「感染症病床以外の病床」への搬送・入院も可能―厚労省
新型コロナウイルスの感染疑い例診察する特別外来を設置、相談センターから紹介―厚労省
中国武漢市滞在歴のない「新型コロナウイルスの感染患者」、本邦で初確認―厚労省
本邦でも新型コロナウイルスの感染患者、中国武漢市の滞在歴―厚労省
SARS、MERSと異なる病原体不明肺炎が中国で発生―厚労省



新型コロナ対策、まずPCR検査の拡充を進めるべきではないか―日病・相澤会長
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新型コロナで診療縮小等となる医療機関等への優遇貸付拡充、病院では当初5年「1億円まで無利子」で長期運転資金を融資―厚労省・WAM
新型コロナにより事業縮小や閉鎖を余儀なくされる病院や老健施設に資金融資―福祉医療機構



DPC対象病院、「医療の質向上」と「経営の質向上」とを両立―中医協総会

2021年度介護報酬改定、「複数サービスを包括的・総合的に提供する」仕組みを―社保審・介護給付費分科会(1)