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新型コロナ拡大防止のため「院内の委員会・研修会の休止・延期」を認め、特定機能病院・地域医療支援病院の紹介率等要件を一時緩和―厚労省

2020.5.14.(木)

新型コロナウイルス感染症患者への対応で医療従事者は、さらに多忙を極めている。また、新型コロナウイルス感染への感染を防止するために、いわゆる3密(密集・密接・密閉)を回避する必要がある―。

こうした状況を踏まえて、医療法において定期的な実施を求めている「委員会」や「研修会」など(院内感染に係るものを除く)については延期・休止することなどを認める―。

また、特定機能病院等や地域医療支援病院における「紹介患者割合」の要件について、一時的に満たせずともよい取り扱いとする―。

厚生労働省は5月12日に事務連絡「新型コロナウイルス感染症の影響に伴う医療法等において定期的に実施することが求められる業務等の取扱いについて」を示し、こうした点を明確にしました(厚労省のサイトはこちら)。

院内感染防止に係る委員会・研修を除き、各種委員会等の延期・休止を認める

医療法においては、医療の質向上、医療安全の確保などを目指し、定期的に委員会や研修会を開催することを求めています。有資格者であっても、自身の知識を最新のものにアップデートし、かつそれを多職種で共有することで、医療の質がさらに高めていくことが必要なためです。

しかし、こうした委員会・研修会は、基本的に「院内の会議室等に多職種が集合し、一定の時間、話し合う」こととなるため、新型コロナウイルスの感染拡大防止で求められる3密(密集・密接・密閉)に該当してしまいがちです。新型コロナウイルス感染症への対応として「医療提供体制の確保」が全国で求められている中では、感染リスクを可能な限り低くすることが求められ、厚労省は今般、各種の委員会・研修会について次のような取り扱いを認めることを明確にしました。ただし、「院内感染に係る委員会・研修会」については、新型コロナウイルスが蔓延する中でもとりわけ重要であり、実施が求められている点に留意が必要です。

▽医療法で規定された委員会・研修会等について、感染予防の観点等から「オンラインで行う」など柔軟に対応する

▽新型コロナウイルス感染症の影響で委員会・研修等の実施に現に支障が生じている場合などには、以下の委員会・研修会など(院内感染に係るものを除く)について「延期」「休止」などの措置をして差し支えない。ただし支障がなくなり次第、速やかに当該措置を見直す

【延期、休止が認められる委員会・研修会等】
▼医療安全管理委員会
▼医療安全に係る職員研修
▼医薬品の安全使用に係る職員研修
▼医療機器の安全使用に係る職員研修
▼特定機能病院の管理者選任に係る合議体の設置、合議体による審査
▼特定機能病院の管理・運営に関する事項を行う場合に構成する合議体の設置、合議体による決議
▼特定機能病院における医療安全に係る職員研修
▼臨床研究中核病院における医療安全等に係る職員研修
▼特定機能病院・臨床研究中核病院における医療安全管理責任者等への医療安全に係る研修
▼特定機能病院における医療安全監査委員会の設置・開催
▼臨床研究中核病院における医療安全監査委員会の設置・開催
▼特定臨床研究の適正実施確保のための委員会(病院管理者が行う管理・監督業務を補佐するために設けるもの)の設置・開催
▼特定臨床研究の適正実施確保のための委員会の設置、その他の管理体制(業務執行の状況を監査するための委員会(監査委員会))の設置・開催
▼特定臨床研究に関する研修
▼地域医療支援病院における地域の医療従事者の資質向上を図るための研修
▼地域医療支援病院における「当該地域医療支援病院に勤務しない学識経験者等によって構成される委員会」の設置・開催

特定機能病院・地域医療支援病院の「紹介率・逆紹介率」要件を一時緩和

特定機能病院と地域医療支援病院には、指定要件の1つに「紹介率・逆紹介率」が設定されています。これらの病院では、他医療機関(病院、診療所)から紹介された患者に対し高度な医療提供を行い、症状が安定するなどした場合には地域の病院や診療所に逆紹介を行うことが求められるためです。

【特定機能病院における紹介率・逆紹介率の要件】
▽紹介率:50%以上、かつ逆紹介率:40%以上

【地域医療支援病院における紹介率・逆紹介率の要件】
▽次のいずれかを満たす
▼紹介率:80%超
▼紹介率:65%超、かつ逆紹介率:40%超
▼紹介率:50%超、かつ逆紹介率:70%超

この点について、今般の事務連絡では、特定機能病院・地域医療支援病院の機能に鑑みて「可能な限り紹介患者に対して医療を提供する体制を維持すべき」と指摘したうえで、「新型コロナウイルス感染症の影響により、地域で新型コロナウイルス感染症患者に対する医療提供において役割を果たすこととされているなど、紹介率・逆紹介率要件を満たすことが困難な場合には、一時的に当該要件を満たさなくても差し支えない」ことを明確にしました。

新型コロナウイルス感染症の重症患者では、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)などの集中的な医学管理が必要となることなどから、紹介を経ずに多くの患者が特定機能病院等を受診し「紹介率が低くなる」ことが考えられます。また、症状が安定してきた患者を地域の医療機関に逆紹介しようとしても、新型コロナウイルス感染の拡大を恐れて、地域の医療機関側が「逆紹介を待ってほしい」と要望するケースも想定されます(逆紹介率が低くなる)。こうした点に配慮した特例を設けるものです。

また厚労省では、各都道府県に対し「地域医療支援病院の状況を把握・確認する」ことを求めています。

特定機能病院・臨床研究中核病院の「相互立入」、一時的に書面確認等でも可能に

ところで特定機能病院と臨床研究中核病院には、「他の特定機能病院と連携し、年に1回以上相互立入を実施し、技術的助言を実施する」ことが求められています。かつて我が国の医療の砦となる特定機能病院において重大な医療事故が発生し、その背景には「医療安全等に関するガバナンス体制が十分でなかった」点が指摘されたことから、ガバナンス体制を強化するとともに、いわゆる「相互監視」の仕組みを導入したものです(関連記事はこちらこちら)。

しかし、こうした「相互立入」は、現下の状況では新型コロナウイルス感染症を拡大してしまうリスクを伴います。

このため厚労省は、「感染予防の観点等から相互立入に支障が生じる場合には、書面等による医療安全管理体制の確認や技術的助言の実施などの代替措置で、当該規定を満たしたものとして差し支えない」ことを明らかにしました。ただし、相互立入が可能となった場合には速やかに代替措置を見直すことが必要です。


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