2024年度からの専門医研修、「1次募集の採用」は例年に比べて低調、東北・北関東で採用数が若干増加—日本専門医機構・渡辺理事長
2023.12.20.(水)
来年度(2024年度)から専門医資格を取得するための研修(専門研修)を受ける「専攻医」の1次募集採用結果を見ると、全体で8532名となった。2022年度分の1次募集採用は8658名、23年度分は同じく8761名であり、「1次募集」に限って見れば低調である。もっとも、今後の2次募集結果、最終調整結果を待って全体を比較する必要がある—。
日本専門医機構の渡辺毅理事長(地域医療振興協会東京北医療センター顧問、福島県立医科大学名誉教授)が12月18日に定例記者会見を行い、こうした状況報告を行いました。
臨床研修修了者は増加したが、専門研修の1次募集採用数は減少
2018年度から「新専門医制度」が全面スタートしています。従前の専門医制度には「各学会が独自の基準で専門医を認定しているため、国民に分かりにくく、また専門医の質が担保されていない」との批判があったことを踏まえ、日本専門医機構と19の基本領域学会とが共同して研修プログラムを作成し、認定を行う仕組みへと改められました。
新たな専門医資格を取得するためには、▼日本専門医機構・19基本領域学会が作成・認定した研修プログラムを受講し、必要な症例等を経験する▼各基本領域学会が実施する専門医資格試験に合格する▼日本専門医機構から専門医資格を授与される―ことが原則となります。
来年度(2024年度)から研修を開始する専攻医の募集は、次のようなスケジュールで進められています。
【1次募集】
▽2023年11月1日(水)正午から14日(火)正午:登録・応募
▽同11月16日(木)正午から24日(金)正午:採用調整(面接・採用検討)
▽同11月29日(水)正午:採用結果通知
●2023年11月24日(金)正午から11月29日(水)正午:施設側募集実施確認(2次募集を行うか否かの調整)
【2次募集】
▽2023年12月1日(金)正午から14日(木)正午:登録・応募
▽同12月15日(金)正午から22日(金)正午:採用調整(面接・採用検討)
▽同12月25日(月)正午:採用結果通知
●2023年12月22日(金)正午から2024年1月9日(火)正午:施設側募集実施確認(最終調整を行うか否かの調整)
【最終調整】
▽2024年1月9日(火)正午から1月22日(月)正午:募集
▽同1月23日(火)正午から1月31日(水)正午:採用
▽同2月1日(木)正午:採用結果通知
今般、渡辺理事長から1次募集の採用結果が報告されました。
まず採用者数全体を見ると8532名で、応募の98.4%が採用されています。1次募集の採用者数を過去と比較すると、2022年度分((8658名)に比べて153名減、23年度分(8761名)に比べて229名減となっています。
23年度分については「募集が遅れた」という特殊事情があるために比較分析は困難ですが、同様のスケジュールで募集・採用が行われた22年度分と比べると「1次募集の応募数に大きな差はないが、採用数が150名超減少している」ことが分かり、「低調である」と言えます。
この理由は明確ではありませんが、渡辺理事長は「東北医科薬科大学出身者などが臨床研修を終え臨床研修修了者(専門研修を開始する者)が増加していることから、専門研修の応募・採用も増加することを期待したが、そうは動いておらず、期待が外れた。専門医資格取得を目指さず、他の領域(例えば行政機関など?)にシフトしている」と感想を述べています。
また、領域別に見ると次のような状況です。
▽内科:2643名
▽小児科:493名
▽皮膚科:273名
▽精神科:474名
▽外科:734名
▽整形外科:669名
▽産婦人科:442名
▽眼科:298名
▽耳鼻咽喉科:196名
▽泌尿器科:308名
▽脳神経外科:204名
▽放射線科:317名
▽麻酔科:420名
▽病理:78名
▽臨床検査:9名
▽救急科:405名
▽形成外科:201名
▽リハビリテーション科:124名
▽総合診療:244名
渡辺理事長は「内科や外科など、大きなシェアを占め、かつ医師不足が指摘される領域で、若干減少しているようだ」を見ています。
また都道府県別の状況に関しては、「東北や北関東角、医師不足が顕著な領域で若干の増加が見られる。逆に医師が多い西日本で若干の減少が見られる」とコメントしています。
今後の2次募集・最終調整結果を踏まえて「例年と比べて専攻医採用数が多いのか少ないのか」などを判断する必要があります。
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