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新型コロナの院内感染発生を想定し、院内対策案を点検するとともに、事前シミュレーションを―厚労省

2020.8.5.(水)

新型コロナウイルスの院内・施設内感染が発生しないよう、また発生した場合に備えて、各医療機関や介護施設等では、院内対策(感染防止策、感染拡大防止策)の自主点検を行い、さらに事前に訓練・シミュレーションを行っておく必要がある—。

厚生労働省は7月31日に事務連絡「医療機関における院内感染対策のための自主点検等について」を示し、全国の医療機関や高齢者施設、自治体などの関係者に注意を呼びかけました(厚労省のサイトはこちら(事務連絡本体)こちら(5月1日付事務連絡「医療機関における新型コロナウイルス感染症発生に備えた体制整備及び発生時の初期対応について」の抜粋)こちら(「医療機関における新型コロナウイルス感染症発生に備えた体制整備及び発生時の初期対応について(助言)」)こちら(「急性期病院における新型コロナウイルス感染症アウトブレイクでのゾーニングの考え方」))。

自院の「感染拡大防止策」「院内感染が発生した場合の対応策」を自主点検せよ

新型コロナウイルス感染症にかかる緊急事態宣言は全都道府県で解除されていますが、7月中旬から東京都はもちろん、大阪府や愛知県など全国で過去最多の新規感染者が確認されるなど、「第2波の到来」が危惧されています。「感染拡大防止策の徹底」や「医療提供体制の確保」などが依然として重要なことを再確認できます。

ところで新規感染者増の1つの背景に「医療機関におけるクラスター(集団感染)発生がある」と指摘されています。▼医療機関に入院する患者は、当然、何らかの傷病を抱え免疫力が落ちていること(感染しやすい)▼呼吸器症状や発熱などがある場合、多くの人は医療機関を受診すること(感染者が集まりやすい)―などが背景にあります。

このため、医療機関においては「感染拡大防止策をとる」ことが強く求められており、今般、厚労省は▼医療機関で行う自主点検▼院内感染の発生を想定したシミュレーションの考え方―を整理しています。また、介護保険サービス施設・事業所をはじめとした高齢者施設などでもクラスター発生のリスクがあり、同様の対策をとることが求められます。



まず、各医療機関等において、自院の「感染防止策」「院内感染が発生した場合の対応策」(感染拡大防止策)を今一度、自主点検することが重要です。

自主点検に当たって厚労省は、次のような点を確認するようアドバイスしています(5月1日付事務連絡「医療機関における新型コロナウイルス感染症発生に備えた体制整備及び発生時の初期対応について」の別添「医療機関における新型コロナウイルス感染症発生に備えた体制整備及び発生時の初期対応について(助言)」)。

【新型コロナウイルス感染症 発生に備えた体制整備】
施設管理者(病院長等)の下、指揮系統を明確化して「医療関係者の感染予防策を徹底する」とともに、▼保健所との連携体制構築▼全職員の教育(標準予防策、感染経路別予防策など)▼感染対策を担当医・看護師等による巡回―を行う

【院内感染発生時】
●感染症の実態把握

▽感染症発生状況等の把握(感染者や体調不良の者の発生状況から感染が疑われる範囲を特定し、「患者・濃厚接触者等の一覧」を作成する)
▽PCR検査実施(一覧から、リスク評価に基づき、順次PCR検査を実施する)

●感染拡大防止対策
▽ゾーニング(感染領域と非感染領域(可能な限りナースステーションはこちらに設置)を明確に区分けする。感染領域から非感染領域に戻るルートに「個人防護具の脱衣を行う準感染領域」を設定する。感染者とそれ以外の人の動き、流れが交差しない工夫をする)
▽コホーティング(入院患者を▼感染者▼濃厚接触者▼それ以外の者―の病室に分け、各病室に専用物品を配置(体温計、血圧計、パルスオキシメータなど)し、固定された医療従事者が感染者をケアする)
▽標準予防策・感染経路別予防策の徹底(正しい手指衛生、適切な個人防護具の選択と着脱などを行う。高頻度に不特定多数が接触する箇所(ドアノブ、手すり、スイッチ、テーブル、ベッド柵、パソコン、PHS、電話、ナースコールなど)は、各勤務において清拭消毒を実施する。医療廃棄物の適切な処理をする。廃棄物の適切な処理方法、使用後のリネンの適切な取扱い等を掲示する)

●医療提供体制
▽入院
(新規入院患者の制限等を検討し、状況に応じて感染者の転院先を確保する。感染者への面会禁止、入院患者への面会制限を行う)
▽外来(休診を検討するが、一律に「部分的、全体的施設閉鎖等」を考慮しない。医師の判断の下で「電話や情報通信機器を用いた診療等」を含めた医療提供継続方法を検討する。必要に応じて「濃厚接触者、退院者等に対応する外来」の設置を検討する)

●病院管理
▽管理体制
(施設管理者(病院長等)の下、指揮系統を明確化し、保健所との連携体制を構築するなど)
▽職員管理(感染者は症状に応じて適切な場所で管理する。濃厚接触者の職員は自宅待機とし、帰宅の際には公共交通機関の使用は避ける。出勤前に「発熱等の新型コロナウイルス感染症を疑わせる症状」の有無を確認し、症状があれば職場には行かず、電話等で職場管理者と相談する)
▽環境整備(休憩時間の分散、休憩室の換気等を行う。職員からの相談を受け付ける体制を整備する)
▽資材確保(個人防護具等を確保する。今後、必要性の高まる資材の在庫確認・調達を行う)

院内感染対策のチェック項目例(1)(院内感染対策のための自主点検等1 200731)

院内感染対策のチェック項目例(2)(院内感染対策のための自主点検等2 200731)



アドバイスの中には「保健所との連携体制構築」が掲げられています。この点、厚労省では自治体サイドに「管内医療機関が自治体との連携体制を構築しようとする場合に、どのような連携体制が好ましいかを検討する」「院内感染が発生した場合等の問い合わせ先をわかりやすく示す」ことなどを求めています。

院内感染等の発生を想定し、事前に訓練・シミュレーションを実施せよ

また、院内感染が発生した場合などに備えた「訓練」(シミュレーション)も極めて重要です。どの医療機関でも「院内感染が発生する可能性がある」と考え、上記の対策立案とともに、訓練を実施し、「対策の課題・不備」などが見つかった場合には修正・改善することなどに努める必要があります。

この点、国立国際医療研究センター国際感染症センターでは、次のような「急性期病院における新型コロナウイルス感染症アウトブレイクでのゾーニングの考え方」を提示しており、訓練の際に参考にすることが求められます。

【ゾーニングの考え方】(抜粋、以下同)
汚染区域と清潔区域を明確に区別し、汚染区域は可能な範囲で狭く設定する
▽医療従事者は汚染区域に入る際に必要な個人防護具を着用し、汚染区域から出る際に個人防護具を脱衣する。個人防護具の着用と脱衣は別の場所で行う(個人防護具の着用場所と脱衣場所は明確に指定する)

【ゾーニングの基本パターン】
各病室を汚染区域、病室外を清潔区域とする
▽医療従事者は廊下(清潔区域)の着用場所で個人防護具を着用し、病室(汚染区域)に入り、病室内で個人防護具を外して廊下に出る
▽原則として感染者は常に病室内で過ごす。
▽感染者が検査等で移動したり、感染性廃棄物を搬出したりする際のルートを確保する(専用動線の確保が望ましいが、難しければ使用時間を決めて汚染拡大を防ぐ)

ゾーニングの基本パターン、病室を汚染区域とし、廊下は清潔区域とする(院内感染対策のための自主点検等3 200731)



【基本パターンが難しい場合】
▽▼病室の設備が不十分(トイレがないなど)▼隔離対象となる感染者数が多い▼少ない医療従事者で対応せざるをえない▼個人防護具が不足している▼オープンスペースのため構造上汚染区域を広くとる必要がある(ICU、HCUなど)―などの場合には「汚染区域を廊下まで広げる」ことを検討する

ゾーニングの基本パターンが難しく、病棟の一部を汚染区域と設定した例(院内感染対策のための自主点検等4 200731)

ゾーニングの基本パターンが難しく、病棟の大部分を汚染区域と設定した例(院内感染対策のための自主点検等5 200731)



【ゾーニング設定のポイント】
▽スタッフの動線を確認し、▼個人防護具を着用していない医療従事者が曝露を受ける▼清潔区域に汚染が生じる―ことなどを避ける
▽「廃棄物の搬出動線」と「清潔物品や食事の搬入動線」を確認する
▽廃棄物や医療機器等を汚染区域から搬出する際に清潔区域を通過する場合は、「搬出経路を汚染しないような対応」(ワゴンに載せる、ビニール袋に入れる、汚染区域内で消毒するなど)をとる
▽ポータブルX線撮影装置を感染者病棟と他の病棟で共用する場合は、その動線を決めておく
▽汚染区域内では医療従事者が行動しやすいよう余裕のあるスペースを確保する
▽血液透析患者、化学療法に伴う好中球減少状態の患者など、特殊な療養環境を要する感染者がいる場合は、汚染区域内にどのように配置するか検討する
▽区域の境界が明確になるよう、衝立で境を示したり、テープを用いて境界を示したりするなどの対応をとる
各ゾーンですべきことを明確にし、掲示物などを利用してわかりやすく示す
▽汚染区域と清潔区域の中間に位置する区域として「準清潔区域」が設定されることがあるが、位置付けが曖昧となり、感染対策の破綻につながる危険があるため、準清潔区域の設定を積極的には推奨しない

【疑い例、濃厚接触者の扱い】
▽新型コロナウイルス感染症の疑い例は、病室・担当者を感染者と明確に分け、新たな感染が生じないよう配慮する
▽疑い例の患者同士が互いに接触しないよう配慮する
▽濃厚接触者については、感染者とは別の病室で対応するのが原則で、濃厚接触者同士が摂食しないよう配慮する

【ゾーニング設定後の確認事項】
▽清潔区域と汚染区域を明確に区別して運用しているか
▽手指衛生や個人防護具の着脱など、基本的な感染対策の手技が確実に行われているか
▽個人防護具の着用場所と脱衣場所が交差あるいは隣接することで交差汚染をきたす危険がないか
▽個人防護具の脱衣場所は脱衣する医療従事者の人数に応じて十分な広さを確保できて いるか
▽個人防護具を再利用する場合、交差汚染を防ぎながら保管できているか
▽清潔状態維持のため、高頻度接触面を中心に頻回の消毒を行うなどされているか
▽ポータブルX線撮影装置など「感染者と非感染者が共用する医療器械」を汚染区域で使用した場合に、消毒が確実に行われているか
ゾーニングにより患者のケアに支障が生じていないか

病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

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新型コロナ疑い患者の外来診療で【院内トリアージ実施料】、新型コロナ感染患者の入院医療で【救急医療管理加算】等の算定認める―中医協総会
新型コロナへのBCG有効性は未確認、ゼロ歳時へのBCG接種に問題が生じないよう優先供給を―小児科学会・ワクチン学会
新型コロナ軽症者等の宿泊療養でホテル代・食事代は不要、宿泊・自宅療養のいずれも医療従事者が健康管理―厚労省
新型コロナウイルス感染症、高齢者やLDH高値者で生存率低く、出血合併症に留意したECMO早期実施が重要
日本集中治療医学会と日本麻酔科学会が共同し、新型コロナ患者管理の情報共有や呼吸不全患者管理トレーニング、ICU飽和状態対策など推進
医療機関スタッフが新型コロナ感染等で出勤できず、一時的に施設基準を満たせずとも、変更届を行わず従前の診療報酬を算定して良い―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、検査キット等の考えを2020年度改定の中で明確化―厚労省
新型コロナ陽性でも、軽症者・無症状者は「宿泊療養・自宅療養」の対象に―厚労省
新型コロナ感染防止のため、臨時・特例的に「初診からのオンライン診療」認める―オンライン診療指針見直し検討会
新型コロナウイルスを迅速に検出する機器、国立国際医療研究センター病院など16施設に配置―経産省
医療従事者の新型コロナ感染、必要性を認めた場合には積極的に検査実施を―厚労省
新型コロナ検査の保険適用に関し、体外診断用医薬品や検査キット等の考えをさらに明確化―厚労省
新型コロナ感染防止のための電話等用いた診療、「情報通信機器を用いる医学管理料」算定の考え明確化―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用踏まえ、検査キット等の考えをさらに明確化―厚労省
各都道府県で「新型コロナウイルス感染症患者を重点的に受け入れる医療機関」設定など早急に進めよ―厚労省

各都道府県に「新型コロナ感染患者の診療拠点となる公立・公的病院」を設置せよ―四病協
新型コロナ対策の臨時特例的なオンライン診療の拡大、診療報酬上も「柔軟な対応」を認める―厚労省
新型コロナ感染避けるため、慢性疾患患者の「予測される症状変化に対する医薬品」処方を電話等で可能に―厚労省

新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、検査キット等を明確化―厚労省
新型コロナ感染防ぐため、在宅自己注射する患者等への「電話等での指導や衛生材料等支給」認める―厚労省
新型コロナ感染予防のため全医療機関外来で標準予防策を講じ、新型コロナ患者診療では必要な装備着用を―厚労省
新型コロナ感染防止のため、「オンライン診療・医薬品処方が可能な範囲」を特例的・臨時的に拡大―オンライン診療指針見直し検討会

公立・公的病院等の再編・統合に向けた再検証、新型コロナ受け事実上の期限延長―厚労省
新型コロナウイルス検査の保険適用を踏まえ、診療報酬の疑義解釈を提示―厚労省

新型コロナ感染疑い患者、院内で移動型エックス線装置を用いたエックス線撮影を認める―厚労省
新型コロナウイルス検出のためのPCR検査、3月6日から保険適用―厚労省
新型ウイルス対策、WAMの資金貸付の強化や診療報酬等の柔軟対応の周知徹底を―日病・相澤会長
新型コロナ対応、緊急開設医療機関で「届け出月からの基本診療料算定」、大病院で「電話での外来診療料算定」可能―厚労省
新型コロナ患者増加状況踏まえ、一般医療機関での外来診療、一般病院の一般病床での入院医療を段階的に進める―厚労省
新型コロナ感染対策のための電話等による診療や薬剤処方、【電話等再診料】や【処方箋料】を算定―厚労省
基礎疾患持つ患者の新型コロナ感染避けるため、電話等による診療・処方、処方箋のFAX送信ルール明確化―厚労省
公立病院における新型コロナ感染症への医療提供体制の充実を要請―高市総務相
「互いに手を伸ばせば届く距離で、多くの人が会話等で一定時間以上続く」環境が新型コロナ感染リスクを高める―厚労省専門家会議
新型ウイルス感染拡大防止に向け、イベント開催の必要性検討、「社員等が休みやすい環境」整備を―加藤厚労相
新型コロナウイルス感染に関する相談者・受診者増に対応するため、相談センターや特別外来の体制等充実を
新型コロナウイルス患者等の受け入れ等で診療報酬の施設基準等満たさずとも、当面は変更届け出等は不要―厚労省
37.5度以上の発熱があり入院が必要な肺炎が疑われる患者、新型コロナウイルス検査の実施を―厚労省
37.5度以上発熱が4日以上続く、倦怠感や呼吸困難がある場合は「帰国者・接触者相談センター」に相談を―厚労省
新型コロナウイル患者の入院医療費は「公費負担」とするなど、治療体制を急ぎ整える―首相官邸
新型コロナウイルス関連での外出自粛患者への診療、往診料や訪問診療料の算定可能―厚生労働省
新型コロナウイルス患者、緊急やむを得ない場合には「感染症病床以外の病床」への搬送・入院も可能―厚労省
新型コロナウイルスの感染疑い例診察する特別外来を設置、相談センターから紹介―厚労省
中国武漢市滞在歴のない「新型コロナウイルスの感染患者」、本邦で初確認―厚労省
本邦でも新型コロナウイルスの感染患者、中国武漢市の滞在歴―厚労省
SARS、MERSと異なる病原体不明肺炎が中国で発生―厚労省



新型コロナ対策、まずPCR検査の拡充を進めるべきではないか―日病・相澤会長
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新型コロナで診療縮小等となる医療機関等への優遇貸付拡充、病院では当初5年「1億円まで無利子」で長期運転資金を融資―厚労省・WAM
新型コロナにより事業縮小や閉鎖を余儀なくされる病院や老健施設に資金融資―福祉医療機構



DPC対象病院、「医療の質向上」と「経営の質向上」とを両立―中医協総会

2021年度介護報酬改定、「複数サービスを包括的・総合的に提供する」仕組みを―社保審・介護給付費分科会(1)
新型コロナに対応する医療機関等スタッフへの慰労金、新型コロナ患者の診療日以降も勤務するスタッフに手厚く—厚労省



東京都における新型コロナ患者の急増、「4月時点と状況は異なり、医療提供体制は切羽詰まった状況ではない」—全日病・猪口会長