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将来の医療水準向上目指す「新専門医制度の臨床研究医コース」、地域枠からの応募認めるなど門戸を広げ、優秀論文を表彰―日本専門医機構

2024.5.21.(火)

2021年度からスタートした「新専門医制度の臨床研究医コース」であるが、定員割れ・募集人数の減少が続いており、来年度(2025年度)からの専攻医については「地域枠出身医師の応募も可能とする」「研究の場を大学・ナショナルセンター以外(都道府県立がんセンターなど)にも広げる」といった形で門戸を広げる—。

また、臨床研究医コースにおける優れた論文を表彰する奨励賞(仮称)を2025年度より設け、臨床研究医コース参加のインセンティブの一環とする—。

日本専門医機構の渡辺毅理事長(地域医療振興協会東京北医療センター顧問、福島県立医科大学名誉教授)は、5月20日の記者会見でこういった方針を明らかにしました。日本専門医機構には、より明確かつ分かりやすい広報が求められています。

5月20日の記者会見に臨んだ、日本専門医機構の渡辺毅理事長(地域医療振興協会東京北医療センター顧問、福島県立医科大学名誉教授)

臨床研究医コース、日本専門医機構には分かりやすく明確な説明が求められている

2018年度から「新専門医制度」が全面スタートしました。従前の「専門医が乱立して分かりにくい」「専門医の質が担保されているのか疑問である」という批判に応えるため、新たな専門医資格を取得するためには、▼日本専門医機構・19基本領域学会が作成・認定した研修プログラムを受講し、必要な症例等を経験する▼各基本領域学会が実施する専門医資格試験に合格する▼日本専門医機構から専門医資格を授与される―ことが原則となります。

毎年度1万名近い医師が、新専門医資格取得を目指して研修プログラムを受講しています。

ところで、当初は新専門医制度の枠組みには「研究医養成」の仕組みが存在せず、「我が国の将来の医学水準が低下してしまう」ことが懸念されていました。そこで2021年度から次のような「臨床研究医コース」が設置されています(関連記事はこちらこちらこちらこちらこちら)。

▽通常の専門研修と同様に、臨床研修(初期研修)を修了した医師を対象とし、7年間の臨床研鑽および研究(エフォートの50%以上)に携わる(研修期間は7年間)

▽大学病院等で研鑽する(例えば2年間)中で臨床を学び(主にカリキュラム制となる)、その後、大学院等に進学し、研究に携わる。研究期間中に、First author(主筆)として、SCI(Science Citation Index)論文を2本以上執筆する義務を負う(case reportは除く)

▽研修修了後は、大学等で臨床教官となることなどが考えられる

▽研修期間中は、身分保障がなされ、所属大学病院や大学院等の規定に沿った給与支給を受けられる

臨床研修医コースの概要1(医師専門研修部会1 200717)

臨床研修医コースの概要2(医師専門研修部会2 200717)



しかし「定員40名」のところ、初年度(21年度)は26名、2年度目(21年度)は19名(うち1名が辞退)、3年度目(22年度)は13名、4年度目(23年度)は14名の採用にとどまり、「定員割れ」「応募者の減少」が続いています。



こうした状況を受け、2024年度からの臨床研究医コースについて次の2点の見直しが行われています。さらに、すでに臨床研究医コースで研修を始めている専攻医についても、本人の希望に基づいて「見直し内容の適用」が行われています(関連記事はこちら)。専攻医の負担を軽減し、臨床研究医コースへの応募のハードルを下げる狙いがありました。

【見直し内容】
(1)研修期間の短縮

「現在」7年間

「見直し後」最低5年間(うち1年目は主に臨床に充てる)

(2)論文執筆義務の緩和
「現在」研究期間中に、First author(主筆)として、SCI(Science Citation Index)論文を2本以上執筆する義務を負う(case reportは除く)

「見直し後」研修期間中に、SCI論文2本以上を執筆する。ただし、1本の論文に関しては「英文による症例報告」あるいは「和文による臨床研究に関する論文」で代用することを可能とする



さらに2025年度からは、(a)地域枠出身医師の応募も可能とする(b)研究の場を大学・ナショナルセンター以外(都道府県立がんセンターなど)にも広げる—といった形で臨床研究医コースの「門戸を広げる」方針が決定しました。

2025年度スタートの「臨床研究医コース」募集スケジュールは次のようになっています。

2025年度開始の臨床研究医コースの募集スケジュール



また、臨床研究医コース参加のインセンティブを高めるために、優れた論文を表彰する「奨励賞」(仮称)を設ける方針も決定しています。▼学会誌で発表した研究▼Science Citation Indexのついた英文雑誌において掲載された研究(申請時においてin pressか、既発表の論文)を対象に、機構で審査を行い、「最優秀賞」(1本)と「優秀賞」(2本)を評価するものです(副賞として最優秀賞には10万円、優秀賞には5万円を支給)。論文執筆へのインセンティブの1つになると期待されます。



なお、臨床研究医コースの応募が低調な背景には「内容等が臨床研修医に伝わっていない」ことが指摘されています。専攻医の将来、日本の医学医療の紹介にもかかわる事項であり、明確かつ分かりやすい形で広報を行うことが日本専門医機構には強く求められています。



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新専門医制度のサブスペシャリティ領域、国民目線に立ち「抑制的」に認証すべき―四病協

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