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新型コロナの影響で病院経営の悪化深刻、28%の病院で賞与の減額・不支給という苦渋の選択―日病・全日病・医法協(1)

2020.8.7.(金)

新型コロナウイルス感染症の影響で病院経営は厳しく、かつ長期化している。全国の病院の3割では、夏季賞与の「減額」または「不支給」という苦渋の選択をせざるを得なかった―。

このままでは病院経営は困難となり、新型コロナウイルス感染症対応はもとより、地域医療の確保が困難となる。緊急的な病院経営支援が必要である―。

日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3団体が8月6日に公表した「新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査(2020年度第1四半期)」結果から、こうした状況が明らかになりました(日病のサイトはこちら)。

各種調査で、病院経営の悪化が深刻かつ長期化している状況が浮き彫りに

新型コロナウイルス感染症の新規感染者が全国で数多く生じており、「第2波の到来」が危惧されています。こうした中では「感染拡大防止策の徹底」や「医療提供体制の確保」などが依然として重要なことを再確認する必要があります。

この点、医療提供体制を経済的に支えるために、診療報酬上の柔軟措置・特例も行われてきており、例えば新型コロナウイルス感染症患者「専用」の病床確保などを行うICU等で、重症の新型コロナウイルス感染症患者(確定患者のみ)を入院させた場合には「【特定集中治療室管理料】の3倍に相当する点数を算定できる」などの対応が図られています。しかし、新型コロナウイルス感染防止のため、また限られた医療資源を新型コロナウイルス感染症の重症患者に重点化・集約化するために、多くの病院では「予定入院・予定手術の延期」が行われています。あわせて▼外来患者の減少(受療行動の変化(感染防止や衛生面向上等による感染症の減少など)▼救急搬送の減少―なども生じ、病院経営は非常に厳しくなっていることが各種調査で明らかになってきています。
●日病・全日病・医法協調査
追加分析
最終報告
速報

●全国自治体病院協議会調査
こちら

●全国公私病院連盟調査
こちら

●社会保険診療報酬支払基金データ
5月
4月
3月

●グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)分析
こちら(第3弾)
こちら(第2弾)
こちら(第1弾)

さらに今般、日病・全日病・医法協の3病院団体が、2020年度第1四半期(4-6月)の経営状況を追加的に調査し、その結果を公表しました。調査結果は膨大なため、ここでは新たに調査された「賞与支給」の状況に焦点を合わせてみます。

また6月の経営状況も調査され、「わずかに患者が戻ってきているが、前年同期に比べて減少している」状況が確認されており、これは別稿でお伝えします。

全国の27.2%の病院で賞与の減額、0.8%では賞与の不支給

調査回答病院(1459病院、▼20-99床:273施設(18.7%)▼100-199床:471施設(32.3%)▼200-299床:205施設(14.1%)▼300-399床:198施設(13.6%)▼400-499床:134施設(9.2%)▼500床以上:178施設(12.2%))全体では、71.3%が「満額支給」、27.2%が「減額支給」、0.8%が「支給なし」と回答しています。

新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ状況などに着目して病院を分類すると次のような状況です。

▽帰国者接触者外来設置病院(549病院)
▼満額支給:76.1%、▼減額支給:23.1%、▼支給なし:―(ゼロ)

▽新型コロナウイルス感染症疑似症患者受入病院(802病院)
▼満額支給:72.7%、▼減額支給:26.6%、▼支給なし:0.4%

▽新型コロナウイルス感染症入院患者受入病院(533病院)
▼満額支給:76.4%、▼減額支給:23.3%、▼支給なし:0.2%

▽一時的外来・病棟閉鎖病院(247病院)
▼満額支給:74.9%、▼減額支給:24.3%、▼支給なし:0.4%

27.2%の病院では夏季賞与を減額し、0.8%の病院では不支給の選択をせざるを得なかった(新型コロナウイルス感染拡大による病院経営状況の調査(2020年度第1四半期)1.1 200806)



3病院団体では、「全ての病院で外来患者・入院患者が4月は大幅減少し、5月にはさらに悪化。6月には回復の兆しは僅かに見えるものの、医業損益は大幅な赤字が継続している」と分析し、およそ4分の1の病院で「夏季賞与の減額」を、一部の病院では「夏季賞与を支給しない」という苦渋の選択をした状況を紹介しています。

賞与は「業績に準拠して支給されるもの」ですが、スタッフにとっては「大きな生活基盤の1つ」となっているのが事実です。賞与の減額や不支給は「病院スタッフのモチベーション低下」や「退職」にもつながりかねません。

とはいえ、4分の1の病院では「賞与を支給できる体力」がなく、無理に賞与の満額支給に踏み切れば、「経営状況のさらなる逼迫」「倒産」という事態も生じ、地域医療提供体制の崩壊にもつながります。

3病院団体では、▼緊急包括支援事業によるスタッフへの支援(慰労金など)が予定されているが、現時点では実行されていない▼病院の経営状況の悪化は深刻で、長期化が予想される―と指摘したうえで、「適切な対応がなされない場合、病院が経営破綻し、新型コロナウイルス感染症対応が不可能になるのみならず、地域医療が崩壊する危険性すらある」とし、「地域医療を支えるために、緊急的な経営支援が必要である」と強く訴えています。

病院ダッシュボードχ 病床機能報告MW_GHC_logo

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新型ウイルス感染拡大防止に向け、イベント開催の必要性検討、「社員等が休みやすい環境」整備を―加藤厚労相
新型コロナウイルス感染に関する相談者・受診者増に対応するため、相談センターや特別外来の体制等充実を
新型コロナウイルス患者等の受け入れ等で診療報酬の施設基準等満たさずとも、当面は変更届け出等は不要―厚労省
37.5度以上の発熱があり入院が必要な肺炎が疑われる患者、新型コロナウイルス検査の実施を―厚労省
37.5度以上発熱が4日以上続く、倦怠感や呼吸困難がある場合は「帰国者・接触者相談センター」に相談を―厚労省
新型コロナウイル患者の入院医療費は「公費負担」とするなど、治療体制を急ぎ整える―首相官邸
新型コロナウイルス関連での外出自粛患者への診療、往診料や訪問診療料の算定可能―厚生労働省
新型コロナウイルス患者、緊急やむを得ない場合には「感染症病床以外の病床」への搬送・入院も可能―厚労省
新型コロナウイルスの感染疑い例診察する特別外来を設置、相談センターから紹介―厚労省
中国武漢市滞在歴のない「新型コロナウイルスの感染患者」、本邦で初確認―厚労省
本邦でも新型コロナウイルスの感染患者、中国武漢市の滞在歴―厚労省
SARS、MERSと異なる病原体不明肺炎が中国で発生―厚労省



新型コロナ対策、まずPCR検査の拡充を進めるべきではないか―日病・相澤会長
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新型コロナで診療縮小等となる医療機関等への優遇貸付拡充、病院では当初5年「1億円まで無利子」で長期運転資金を融資―厚労省・WAM
新型コロナにより事業縮小や閉鎖を余儀なくされる病院や老健施設に資金融資―福祉医療機構



DPC対象病院、「医療の質向上」と「経営の質向上」とを両立―中医協総会

2021年度介護報酬改定、「複数サービスを包括的・総合的に提供する」仕組みを―社保審・介護給付費分科会(1)
新型コロナに対応する医療機関等スタッフへの慰労金、新型コロナ患者の診療日以降も勤務するスタッフに手厚く—厚労省



東京都における新型コロナ患者の急増、「4月時点と状況は異なり、医療提供体制は切羽詰まった状況ではない」—全日病・猪口会長