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衛生面の向上、医療提供体制の確保等で、新型コロナ流行の中でも死亡数は2.3％も減少―厚労省

2020.8.26.（水）

新型コロナウイルス感染症が蔓延し、緊急事態宣言が行われた我が国であったが、今年（2020年）1－6月の死亡数は、前年同期に比べて2.3％「減少」している―。

厚生労働省が8月25日に公表した2020年6月分の「人口動態統計速報」から、こうした状況が明らかになりました（厚労省のサイトはこちら）（4月分の関連記事はこちら）。

1 今年（2020年）1－6月の死亡数は前年同期比で2.3％減少
2 2020年1－6月、出生数は前年同期に比べて1.4％減少し、少子化がさらに進行

今年（2020年）1－6月の死亡数は前年同期比で2.3％減少

新型コロナウイルス感染症の新規患者が7月中旬から再び増加しはじめ、東京都や大阪府などの大都市部はもちろん、沖縄県などの地方でも過去最多の新規感染者が確認されはじめています。「第2波である」と考える識者も少なくなく、「感染拡大防止策の徹底」や「医療提供体制の確保」などが非常に重要となります。

ところで、新型コロナウイルス感染症の蔓延により「死亡者数が大きく増加するのではないか」との心配があります。一部には「我が国ではPCR検査等の実施件数が少ない。このため、実際には新型コロナウイルス感染症によって死亡したのだが、PCR検査等で陽性と判断されずに『肺炎等で死亡』と扱われているケースが相当数あるのではないか」との疑念があるようです。

この点、人口動態統計速報において「1－6月の累計死亡数」を、新型コロナウイルス感染症が蔓延している本年（2020年）と、そうした影響のない昨年（2019年）とを比較してみると、本年（2020年）は69万958名、昨年（2019年）は70万7211名で、「1万6253名・2.3％の減少」となっていることが分かりました。

今年1-6月の死亡率は前年同期に比べて大きく減少、出生数も減少が目立つ（人口動態速報6月1　200825）

また、我が国において新型コロナウイルス感染症が顕在化した3月以降の各月の死亡数と前年同月比を見ると、次のような状況です。

▽2020年3月：死亡数は11万9161名で、前年同月に比べて168名・0.1％減少（厚労省のサイトはこちら）
▽2020年4月：死亡数は11万3362名で、前年同月に比べて423名・0.4％増加（厚労省のサイトはこちら）
▽2020年5月：死亡数は10万8380名で、前年同月に比べて3878名・3.5％減少（厚労省のサイトはこちら）
▽2020年6月：死亡数は10万423名で、前年同月に比べて1931名・1.9％減少（厚労省のサイトはこちら）

5月、6月と死亡数が前年同期で大きく減少してる（人口動態速報6月2　200825）

こうした数字からは、「新型コロナウイルス感染症の流行によって我が国の死亡者が増加した」状況にはないことが分かります。新型コロナウイルスへの感染防止のために、衛生面（手洗いの励行やマスクなど）が向上し、季節性インフルエンザによる死亡者数が抑えられたことなどが、「死亡者数減少」に繋がっていると考えることができるでしょう。もちろん、全国の医療従事者による献身的な医療提供が、これを下支えしていることも述べるまでもありません。

2020年1－6月、出生数は前年同期に比べて1.4％減少し、少子化がさらに進行

なお、人口動態統計速報のうち「出生数」に目を移してみると、「1－6月の累計出生数」は21万2446名で、前年同期に比べて3061名・1.4％の減少となっています。昨年（2019年）には想定以上に少子化が進んだ（出生数：86万5234人、前年に比べて5万3166人減少。出生率（人口1000対）は7.0で、前年（7.4）から0.4ポイント低下）ことが分かりましたが、今年（2020年）にはこれを上回るペースで少子化が進んでいると考えられます。