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GemMed塾 2024年度版ぽんすけリリース

【生活習慣病管理料】、療養計画書簡素化による医師負担軽減、月1回以上診療実施要件緩和による患者負担軽減を図る—中医協総会(2)

2023.12.11.(月)

生活習慣病患者に対する専門的・総合的な治療管理をより推進していくために、【生活習慣病管理料】について「療養計画書の簡素化」による医師負担軽減、「月1回以上の診療実施要件の緩和」による患者負担軽減、多職種連携の要件化などを図ってはどうか—。

12月8日に開催された中央社会保険医療協議会総会では、こうした議論も行われました(同日の「入院時の食費の引き上げ」方針決定に関する記事はこちら)。

生活習慣病患者に対する専門的・総合的な治療管理をより推進

糖尿病や高血圧症、高脂血症といった「生活習慣病」対策の重要性は論を待ちません。診療報酬では、例えば生活習慣病全般に対する専門的な治療・管理を評価する【生活習慣病管理料】や、糖尿病足病変のハイリスク要因を有する患者に対する専門的な治療・管理を評価する【糖尿病合併症管理料】、生活習慣病を含めた疾患に対する総合的な治療・管理を評価する【特定疾患治療管理料】などが設けられています。

このうち【生活習慣病管理料】については、「計画書交付の医師負担が大きい」「点数が高く患者負担が上昇してしまう」といった背景から、算定は低調な状況です。

生活習慣病管理料の概要(中医協総会(2)1 231208)

生活習慣病管理の算定状況は極めて低調1(入院・外来医療分科会(3)4 230720)

生活習慣病管理の算定状況は極めて低調2(入院・外来医療分科会(3)5 230720)

生活習慣病管理の算定状況は極めて低調3(入院・外来医療分科会(3)6 230720)



しかし生活習慣病全般に対する専門的な治療・管理の重要性・必要性は、高齢化が進展する中でますます増しており、【生活習慣病管理料】の活用促進に向けて厚生労働省保険局医療課の眞鍋馨課長は次のような点を検討してほしいと中医協に要請しています。

(1)【生活習慣病管理料】の「療養計画書」を一定程度簡素化し、改正医療法の内容を踏まえ「患者の求めに応じ文書を交付する」ことをどう考えるか

(2)【生活習慣病管理料】では「少なくとも1か月に1回以上診療する」ことが要件となっているが、生活習慣病の診療において「2-3か月に1」という形態が一定程度あることを踏まえ、この要件を見直してはどうか

(3)「リフィル処方箋」が生活習慣病において多く発行されている実態があることを踏まえ、生活習慣病の疾病管理においてリフィル処方箋の活用を推進する方策をどう考えるか

(4)【生活習慣病管理料】は診療ガイドライン等を参考とした総合的な生活習慣病に係る医学的管理を評価しており、「診療ガイドライン」の「生活習慣の指導についての詳細な推奨」に沿った診療を推進する方策をどう考えるか

(5)【外来データ提出加算】の創設を踏まえ、「データに基づいた生活習慣病対策」の推進方策をどう考えるか



まず(1)は、上述した【生活習慣病管理料】算定の大きなハードルの1つとなっている「療養計画の作成・交付」に係る医師の負担軽減を図ってはどうかという論点です。

生活習慣病管理料で求められる療養計画書(中医協総会(2)2 231208)



Gem Medでも報じているとおり、医療DXの一環として「電子カルテ情報共有サービス」が近く稼働します。患者の同意をもとに、電子カルテ情報のうち▼3文書(診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書)▼6情報(傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報(救急及び生活習慣病)、処方情報)―を患者自身および全国の医療機関で「共有・閲覧」可能とする仕組みです。この仕組みが稼働・普及することで、患者の「検査データ」の推移などが全国の医療機関で確認可能となることから、「療養計画書」の記載事項の一部(検査データなど)を省略でき、結果、医師の療養計画書作成負担が軽減できるのではないかと考えられるのです。

もっとも、高齢患者などには「スマートフォンやパソコンなどは苦手である。書面で療養計画書を確認したい」というニーズがありそうです。この点、改正医療法では「かかりつけ医医機能」を持つ医療機関に対し、「慢性疾患患者等から求めがあった場合には、治療内容や計画などを書面で交付し、説明する」努力義務を課します(2025年4月から)。この努力義務規定に合わせて、【生活習慣病管理料】においても「患者から求めがあった場合には、書面で療養計画書を交付する」ことを求めることで、上記の高齢患者等のニーズに応えられると考えられるのです。

この論点について、診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)ともに「医療DXにより電子カルテ情報情報の共有が進み、それを患者自身が確認可能となる。この仕組みを活用する場合には療養計画書への検査結果記載等が不要になると考えられる。簡素化を進めるべき」との考えで一致しました。

もっとも改正医療法を踏まえた「患者の求めに応じた文書交付」については、「改正医療法でも、かかりつけ医機能を持つ医療機関の『努力義務』とされており、【生活習慣病管理料】の要件(=義務化)とすることは両者の整合が取れない」(診療側の長島委員)、「文書交付を【生活習慣病管理料】の要件(=義務化)とすることも考えられる」(支払側の松本委員)と、診療・支払両側で意見の食い違いがあります。この点も踏まえながら、今後、具体的な見直し内容を詰めていくことになるでしょう。



また(2)で「1か月に1回以上の診療義務」を緩和し、また(3)で「リフィル処方箋の活用」による受診頻度減を可能とすることで、「患者の経済的負担が軽減」される可能性があります。

この点について診療側の長島委員は「受診頻度は患者の時々の状態で変わってくるため、医師が状態を判断して医学的に決定すべきである。またリフィル処方箋活用も強制されるべきではなく、医師が是非を判断すべきである。この前提に立ってどういった仕組みが考えられるのかを検討すべき」と一定の理解を示しました。一方、支払側の松本委員は「受診頻度を下げることで、患者の経済的負担を下げることもできる。長期処方やリフィル処方箋活用の要件化も含めて検討すべき」とコメントしています。「受診頻度を下げ、経済的負担を軽くすることで【生活習慣病管理料】のハードルを下げる(算定しやすくする)」という方向には診療側・支払側双方とも理解を示しており、今後、具体的な制度設計が進められると考えられます。



他方、(4)の「診療ガイドライン活用」に関しては、支払側の松本委員が「生活習慣病に対しても、エビデンスに基づいた標準的な治療法が患者に提供されるべきであろう。その点を踏まえれば【生活習慣病管理料】に『専門医による治療』あるいは『診療ガイドラインに基づく治療』を要件化すべきと考える」との考えを示したのに対し、診療側の長島委員・太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)は「診療ガイドラインの活用は重要であるが、ガイドラインはあくまで一般的な治療法を定めたものであり、個々の患者によって具体的な治療内容は変わってくる点を理解しなければならない。診療ガイドラインはあくまで『参考』とすることにとどめるべき」と反論しています。「ガイドラインの重要性」を否定する意見はなく、今後、どういった内容で要件に盛り込んでいくのか具体案を検討していくことになるでしょう。

生活習慣病に関するガイドライン(中医協総会(2)3 231208)



さらに(5)の「データに基づく生活習慣病対策」の推進に関しては、「外来データ提出加算はスタートしたばかりであり、しばらくは経過を見る必要がある」(診療側の長島委員)、「データ提出に向けた医療現場の協力に期待したい」(支払側の松本委員)といった意見が出されるにとどまりました。



このように【生活習慣病管理料】の見直し方向が具体的に見えてきましたが、 「かかりつけ医機能の評価」論議に続き、改めて「特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の関係」論議も行われています。

支払側の松本委員は「【生活習慣病管理料】では、医療技術の進展を踏まえた要件アップデートなどが行われてきている。生活習慣病治療において算定件数が多い【特定疾患療養管理料】においても医療技術の進展を踏まえた、要件のアップデートを行う、あるいは生活習慣病を【特定疾患療養管理料管理料】の算定対象から除外し、『生活習慣病治療の際は、原則として【生活習慣病管理料】を算定する』というルールを設けてはどうか。現状は【生活習慣病管理料】の要件が厳しいため、代わりに【特定疾患療養管理料】を算定しているように見える」と提案しています。特定疾患療養管理料と生活習慣病管理料の関係が「あまりにも見えにくい」点の改善(両点数の切り分け、役割分担の明確化)を求める意見と言えます。

これに対し診療側の長島委員は「【特定疾患療養管理料】は様々な疾患の重症化を防ぐために、早期の管理を評価するものである。一方、【生活習慣病管理料】は、より専門性の高い治療管理を総合的に評価するもので、両者は明確に異なる。患者の特性や状態などを踏まえて医療現場で適切な点数選択が行われている。仮に『生活習慣病治療の際は、原則として【生活習慣病管理料】を算定する。【特定疾患療養管理料】は算定できない』という乱暴なルールを設ければ、初期の生活習慣病患者が適切な治療を受ける機会を逃してしまう」と強く反論しています。【特定疾患療養管理料】は内科医の重要な収益源ともなっており、一気に大きな見直しを行うことは難しそうです。少し時間をかけた丁寧な議論が必要かもしれません。



このほか12月8日の中医協総会では、次のような見直し方向も議論されています。

▽【生活習慣病管理料】について「多職種連携・医科歯科連携に係る要件」を追加する(多職種連携・医科歯科連携の有効性がガイドライン等で示されている)(概ね了承)

▽【糖尿病透析予防指導管理料】について「非糖尿病の慢性腎臓病」も対象に加える(現在は「糖尿病性の慢性腎臓病」が対象だが、「非糖尿病の慢性腎臓病」にも多職種の取り組みにより腎機能低下が抑制がされること示されている)(概ね了承)

▽【糖尿病透析予防指導管理料】について「取組開始後の期間に応じた評価」(早期の介入を高く、遅めの介入を低く評価)を導入する(発症早期の介入が効果的であり、介入開始後早期に特に大きな効果が得られることが示されている)(概ね了承)

糖尿病透析予防指導管理料の概要(中医協総会(2)4 231208)



▽2024年度改定では「消費税対応の診療報酬上乗せ点数」について見直しは行わず、引き続き「消費税負担額」と「診療報酬の補填」状況を把握して検証を行っていく(概ね了承)

▽「診療報酬上、書面での検査結果その他の書面の作成、書面を用いた情報提供」などが必要とされる項目(例えば院内感染対策の掲示や医療安全対策の掲示など)について、電磁的な方法による書面交付も可能とする(概ね了承)

▽かかりつけ医が、より早期から外来医療において「人生の最終段階における適切な意思決定」を支援する方策を検討する(支払側は【地域包括診療料】【地域包括診療加算】での、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に基づく意思決定支援指針策定を要件化するよう要望。診療側は「環境整備」を優先せよと主張)

▽急性期一般入院料等も含めた「入院医療」全般において「適切な意思決定支援の指針策定」要件化を検討する(現在は地域包括ケア病棟や療養病棟で指針策定が義務化されており、支払側は「急性期を含めた全入院料での要件化」を提案。診療側は「小児病棟」など指針策定が適切でないケースもある点を考慮するよう要望)

▽明細書無料発行の免除規定を廃止する(ただし、システム改修等の時間・コストを考慮し「2028年度以降の標準型レセプトコンピュータ提供開始」時期を目途に廃止する)(概ね了承)

▽訪問看護ステーションにおいても明細書発行を義務化する(ただし、現在の領収証を領収証兼明細書と位置づける)(概ね了承)

▽施設基準の届け出や添付書類の提出を一部省略化し、あわせて届け出の電子化を推進する(医療の質確保の観点から監査等で施設基準遵守を確認する)(概ね了承)

▽診療報酬による「医療従事者の処遇改善」方法を、この年末・年始に集中的に「入院・外来医療等の調査・評価分科会」で検討する(1月中旬から中医協で検討結果をもとに議論)(概ね了承)



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急性期入院医療でも「身体拘束ゼロ」を目指すべきで、認知症対応力向上や情報連携推進が必須要素—中医協・介護給付費分科会の意見交換(2)
感染対策向上加算の要件である合同カンファレンス、介護施設等の参加も求めてはどうか—中医協・介護給付費分科会の意見交換(1)
要介護高齢者の急性期入院医療、介護・リハ体制が充実した地域包括ケア病棟等中心に提供すべきでは—中医協・介護給付費分科会の意見交換
2024年度の診療報酬に向け、まず第8次医療計画・医師働き方改革・医療DXに関する意見交換を今春より実施—中医協総会

2022年度改定での「在宅医療の裾野を広げるための加算」や「リフィル処方箋」など、まだ十分に活用されていない—中医協(1)