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GemMed塾診療報酬改定セミナー2026

2027年度から専門研修始める専攻医の採用枠、「指導医派遣実績」を踏まえた上乗せを行い、地域連携も推進―医師専門研修部会

2026.1.22.(木)

来年度(2027年度)の「新専門医資格の取得を目指す研修を行う専攻医」の募集プログラムに係るシーリング(専攻医の採用数上限)については、2026年度と同様に「指導医の派遣実績」を踏まえた加算を行う―。

また、採用数上限数設定のベースとなる「必要医師数」を最新データに基づいて更新するとともに、「特別地域連携プログラム」と「連携プログラムの都道府県限定分」とを統合し、シンプルで分かりやすい仕組みとする―。

あわせて、特別地域連携プログラムの連携先を確保しやすくするために、「連携先病院の詳しい情報」を基幹施設に提供する取り組みも始める―。

1月21日に開催された医道審議会・医師分科会の「医師専門研修部会」(以下、専門研修部会)で、こうした内容が概ね了承されました。今後、新たに加算数の対象となる都道府県・診療科の「指導医派遣実績」を踏まえた「2027年度から専門研修を始める専攻医の採用数上限」(シーリング)の確定や、連携先・特別地域連携先医療機関の確保などが日本専門医機構や基本領域学会で進められます。

1月21日に開催された「令和7年度 第4回 医道審議会 医師分科会 医師専門研修部会」

最新の医師配置等データに基づいてシーリング(採用数上限)対象地域・診療科を選定

2018年度から「新専門医制度」が全面スタートしました。従前の専門医制度には「各学会が独自の基準で専門医を認定しているため、専門医の質担保が難しく、国民に分かりにくい」などの問題点があり、「日本専門医機構と各学会が共同して研修プログラムを作成し、統一した基準で認定を行う仕組み」に改められています。

ただし「専門医の質を追求するあまりに養成施設の要件が厳しくなり、地域間・診療領域間の医師偏在が助長されてしまうのではないか」との不安が医療現場や自治体にあることから、▼日本専門医機構▼学会▼都道府県▼厚生労働省—が重層的に「医師偏在の助長を防ぐ」仕組みが設けられています。

この「医師偏在の助長を防ぐ」仕組みの1つに「都道府県・診療科(基本領域)ごとの専攻医採用数に上限を設ける」仕組み【シーリング】があります。このシーリングの仕組みは段階的に見直され、2027年度(2027年4月から専門研修を始める専攻医分)の設定方法をどう考えるかを1月21日の専門研修部会で議論しました。

参考人として出席した日本専門医機構の渡辺毅理事長(地域医療振興協会東京北医療センター顧問、福島県立医科大学名誉教授)は、これまでの専門研修部会の議論をもとにシーリングを設定してはどうかと提案しました(関連記事は
こちらこちらこちら)。

2027年度専攻医シーリングの全体像(医師専門研修部会1 260121)



まず、シーリング対象都道府県・診療科(基本領域)の選定については、次のような考え方が示されました。「最新のデータを用いて、地域・診療科で医師が足りているか、不足しているか」を見て、「足りている、十分である」と判断された場合に、シーリング(採用数上限)を設定するものです。

▽2025年に算出された最新の「必要医師数等」に基づいて、各都道府県・診療科(基本領域)における「2022年の足下医師数」が「2022年の必要医師数・2030年の必要医師数」を比べて同数または上回る場合に採用数上限を設ける(2022年の医師数≧2022年・2030年の必要医師数)
・過去3年間の採用数平均が5名以下の都道府県・診療科(基本領域)はシーリングの対象外とする(採用数上限は設けない)
・外科、産婦人科、病理、臨床検査、救急、総合診療科の6診療科については、医師確保等が必要なためにシーリングの対象外とする



この最新の必要医師数に基づいたシーリング対象都道府県・診療科(基本領域)は下表のとおりとなります。

2027年度のシーリング対象都道府県・診療科(基本領域)(医師専門研修部会2 260121)

2026年度のシーリング対象都道府県・診療科(基本領域)(医師専門研修部会3 260121)



2026年度と比べると、▼大阪・内科▼滋賀・小児科▼長崎・小児科▼神奈川・皮膚科▼福岡・皮膚科▼東京・整形外科▼石川・整形外科▼大阪・整形外科▼和歌山・整形外科▼長崎・整形外科▼熊本・整形外科▼福岡・眼科▼愛知・耳鼻咽喉科▼長崎・麻酔科▼兵庫・形成外科—がシーリング対象から外れ(つまり採用数に上限がなくなる)、逆に、▼鹿児島・内科▼長野・小児科▼兵庫・小児科▼奈良・小児科▼石川・皮膚科▼愛知・皮膚科▼岡山・皮膚科▼京都・精神科▼広島・精神科▼香川・精神科▼奈良・整形外科▼愛知・眼科▼岡山・眼科▼岡山・耳鼻咽喉科▼東京・泌尿器科▼福岡・泌尿器科▼北海道・脳神経外科▼奈良・放射線科▼愛媛・放射線科▼兵庫・麻酔科▼広島・麻酔科▼岡山・形成外科▼大阪・リハビリテーション科▼福岡・リハビリテーション科―がシーリング対象に追加されています(つまり新たに採用数上限が設けられる)。

各地域において「人口の高齢化等による医療ニーズの変化(都市部では人口増で医療ニーズが増加することもある)、医師偏在対策による医師配置数の変化(都会→地方への医師移動)」の状況が異なるため、「将来の必要医師数などが少なくなり、これ以上の医師増員は不要」となる地域・診療科ではシーリングが新たに設定され、「将来の必要医師数などが多くなり、医師増員を図る必要がある」地域・診療科ではシーリング対象から削除されています。

なお、この点について片岡仁美構成員(京都大学医学研究科医学教育・国際化推進センター教授)は「大学の多い地域では医師数が多くなり、シーリングが設けられやすくなるが、基礎研究を行う医師を、臨床に携わる医師と同じ考えで『足元の医師数』とカウントすべきか、今後、検討してほしい」(大学の基礎研究を行う医師を足元の医師数から除外するなどし、「臨床医が足りているのか、不足しているのか」を見るべき)と要望しています。

「指導医の派遣」度合いに応じて、採用数上限の枠を広げる

次にシーリング対象地域・診療科において、どのように専攻医採用数の上限を設定するのかについては、次のような考え方が渡辺・日本専門医機構理事長から示されました。すでに医師専門研修部会で検討・了承された内容を踏まえたものです。

▽採用数上限は「通常募集プログラム分(基本数)」+「通常プログラムの加算分」+「特別地域連携プログラム分」+「連携プログラム分」の合計とする

(a)通常募集プログラム分(基本数)
→当該診療科の直近3年間の全国専攻医採用数平均」×「都道府県人口÷全国の総人口」とする(直近3年間平均採用数を超えて設定することも認められる)

(b)通常プログラムの加算分
→「通常募集プログラム分(基本数)」が直近3年間の平均採用数に達していない場合に、「直近3年間の平均採用数に達しない範囲内」かつ「通常プログラム基本数の15%までの範囲内」で「指導医派遣実績」に応じて加算を行う(後述、直近3年間平均採用数に満たない範囲で加算する)

(c)特別地域連携プログラム分
→「足下充足率0.8以下(小児科は0.9以下)の都道府県に所在する、当該都道府県が候補とした施設」での研修を1年以上行う場合に、いわば加算を行う(後述)

(d)連携プログラム分
→「シーリング対象外の都道府県に所在する施設」での研修を1年半以上行う場合に、いわば加算を行う(後述)



このうち(b)の「指導医派遣実績に基づく加算」は、▼2026年度の加算に用いた派遣実績の数字をそのまま用いる▼2027年度から新たに加算を行う地域・診療科(例えば新規にシーリングがかかる地域・診療科など)については、新たに指導医派遣実績を収集し、加算数に換算する―ことになります。

専門研修部会では「専攻医が地方勤務を望まず、都会に集中してしまう背景の1つに、地方での指導医不足がある」との議論が行われており、「指導医を派遣する地域・診療科では医師偏在是正に貢献していると考えられ、その貢献度合いを『専攻医採用数を増加する』形で評価」しているものです(2026年度から導入、関連記事はこちら)。「加算対象となる指導医派遣の定義」や「加算数への換算方法」などは下図表のとおりです。

指導医派遣の定義等(医師専門研修部会4 260121)

指導医派遣数の加算への換算方法(医師専門研修部会5 260121)



なお、特定機能病院、とりわけ大学病院本院については「医師派遣」機能の充実が強く求められており、今後「指導医派遣の状況」が大きく変わってくる可能性もあります。その際には、加算をどう考えていくのかを実態を踏まえて改めて検討していくことになるでしょう。

医師不足地域等での一定期間勤務を条件とする「特別地域連携プログラム」なども設定

また、(c)の特別地域連携プログラム、(d)の連携プログラムは、「地方で一定期間の勤務を専攻医に求めることで、医師偏在が一定程度抑制される」点を踏まえて、「プログラム分について専攻医採用数の増加を認める」ものです(従前、特別地域連携プログラムはシーリングの枠外であったが、2026年度からシーリング枠内とした、関連記事はこちら)。

連携プログラムは「シーリングのかかっていない地域での1年半以上勤務」を求めるもの、特別地域連携プログラムは「医師が不足する地域(医師が必要数に対して80%(小児科では90%)以下しか満たせていない地域)での1年以上の勤務」を求めるものです。

前者(c)の特別地域連携プログラムについては、2027年度に▼都道府県限定分の連携プログラムと統合する▼足元充足率(必要医師数に対する現在の医師数の割合)の基準を「0.7(小児科では0.8)以下」から「0.8(同0.9)以下」に見直す(足元充足率0.7等のままでは対象地域が少なくなってしまうため)▼「医師少数区域等に所在する医療機関との連携」だけでなく、「都道府県の指定する医療機関との連携」も可能とする―といった見直しが行われます(関連記事はこちら)。

このうち「都道府県の指定する医療機関との連携」を認める背景には、「医師少数区域の医療機関では専攻医の受け入れ体制が整えられず(例えば指導医がいないなど)、従前の『医師少数区域等に所在する医療機関』との連携という要件を維持したので、特別地域連携プログラムを事実上、設定できない」という問題がありました。

このため要件を「都道府県の指定する医療機関との連携も可能とする」形に柔軟化・緩和しており、具体的には▼医師少数区域に研修施設が存在しない▼医師少数区域の施設に専門研修指導医が存在しない▼医師少数区域に受け入れを希望する施設が存在しない―といった場合に、「症例数が一定数確保されているなど、医師の研修により適したものとしてキャリア形成プログラム等に位置づけるなど、都道府県が指定した施設」「臨床研修指定病院」「地域医療構想調整会議等の議論に基づき、今後の医療提供体制を見据えて選定した施設」「重点医師偏在対策支援区域にある施設」などでの1年以上勤務を認めることになります。

なお、これまでに「特別地域連携プログラムの設定が進んでいない。連携先を見つけることが困難なためである」という問題点が指摘されています。

そこで渡辺・日本専門医機構理事長は「連携策の確保」に向けて、▼都道府県から「連携先施設候補(専攻医に来てほしいと考えている病院)のリスト」を作成してもらう→▼リストを各領域学会等に提供する→▼基幹施設に「連携先確保」「特別地域連携プログラム策定」を進めてもらう―考えも示しています(これまで主に「病院間で連携関係構築」をしていたところを、都道府県にも取りまとめ役を期待するイメージ)。

その際、単に「どの病院が連携先候補である」というだけでなく、例えば病院の概要、受け入れ体制(過去の受け入れ実績、受け入れ可能人数)、研修内容・体制(指導医数、専攻医の平均受け持ち患者数、経験可能症例、当直予定等)、勤務環境(妊娠、出産時の対応なども含めて)、処遇(給与等)、宿舎の有無や状況、交通費手当、引っ越し手当、研修プログラムの特徴などの情報もできるだけ明らかにすることになります。

例えば、専攻医が複数の研修プログラムを見て「Xプログラムでは特別地域連携先のA病院に1年以上勤務することになるが、研修内容や体制が十分だが、住環境などが十分でないな。別のYプログラムでは特別地域連携先のB病院に同じく1年以上勤務することになるが、研修内容・体制だけでなく、住環境なども十分ととのっているな。Yプログラムに応募しよう」などと比較検討できるようになることが期待されます。

連携先確保支援策(医師専門研修部会6 260121)

連携先の情報収集1(医師専門研修部会7 260121)

連携先の情報収集2(医師専門研修部会7 260121)



この点に関連して今村英仁構成員(日本医師会常任理事)は「医師数は西高東低の傾向にあり、専攻医についても西日本の基幹施設から、東北地方の特別地域連携先に移る(1年以上)ことが期待されている。しかし西日本の病院と東北地方の病院とでは馴染みも少なく、専攻医の引っ越し等の負担も大きい。あわせて東北地方等における『指導体制の充実』、例えば非常勤の指導医であっても、できるだけ長期間の勤務が期待され、またオンラインも活用した指導体制確保なども検討する必要がある。医師が不足する地域の病院では『自院で研修することの魅力』を十分にPRすべき」と進言しています。上記の情報発信に力を入れることが期待されます。



2027年度のシーリング設定案は、すでに医師専門研修部会で検討・了承された内容を精緻化したものであり、上記内容に異論・反論は出ていませんが、今後の専門研修制度に向けて▼特別地域連携プログラムにおける「医師不足地域での研修期間」について「1年間以上」で妥当であるのかを検証・検討すべき(従前は「1年半以上」であった)▼特別地域連携プログラムの実態などを踏まえて検証し、さらに必要な見直しを検討してほしい▼指導医派遣の実態を踏まえて、必要な加算(上記(b))の在り方を検討してほしい―などの要望・注文が都道府県サイドから出ています。



今後、上記(b)の「指導医派遣実績に基づく加算」のうち「2027年度から新たに加算を行う地域・診療科(例えば新規にシーリングがかかる地域・診療科など)についての、指導医派遣実績を収集・加算数への換算」、特別地域連携プログラムの連携先確保を待って、今春(2026年春)にはシーリング対象都道府県・診療科(基本領域)の採用数上限が決まる見込みです。

例年よりも早いペースで検討が進んでおり、これは「しっかりと特別地域連携プログラムの連携先を確保する」「2027年度シーリングの是非等に関する地域医療対策協議会の議論を十分に行う」ための時間を確保する狙いがあり、専攻医の採用スケジュールは例年通り「2026年11月から」となる見込みです。



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新専門医研修プログラム、都道府県協議会で地域医療を確保する内容となっているか確認―厚労省
専門医機構、地域医療への配慮について「必ず」都道府県協議会の求めに応じよ—厚労省検討会
新整備指針の見直し、総合診療専門医の研修プログラム整備基準を決定—日本専門医機構
専門医整備指針、女性医師に配慮した柔軟な対応などを6月2日の理事会で明記—厚労省検討会
地域医療へ配慮し、国民に分かりやすい専門医制度を目指す—日本専門医機構がQ&A
専門医取得が義務でないことやカリキュラム制の設置、新整備指針の中で対応—日本専門医機構
新専門医制度、整備指針を再度見直し「専門医取得は義務でない」ことなど明記へ―厚労省検討会

新専門医制度、見直しで何が変わったのか、地域医療にどう配慮するのかを分かりやすく示す―日本専門医機構
必要な標準治療を集中的に学ぶため、初の基本領域での研修は「プログラム制」が原則―日本専門医機構
新専門医制度、東京・神奈川・愛知・大阪・福岡では、専攻医上限を過去3年平均に制限―日本専門医機構
専門医制度新整備指針、基本理念に「地域医療への十分な配慮」盛り込む―日本専門医機構
地域医療に配慮した、専門医制度の「新整備指針」案を大筋で了承―日本専門医機構
消化器内科や呼吸器外科など、基本領域とサブスペ領域が連動した研修プログラムに―日本専門医機構
総合診療専門医、2017年度は「日本専門医機構のプログラム」での募集は行わず
新専門医制度、18基本領域について地域医療への配慮状況を9月上旬までにチェック―日本専門医機構
【速報】専門医、来年はできるだけ既存プログラムで運用、新プログラムは2018年目途に一斉スタート―日本専門医機構
新専門医制度、学会が責任もって養成プログラムを作成、機構が各学会をサポート―日本専門医機構
【速報】新専門医制度、7月20日に「検討の場」、25日の総会で一定の方向示す見込み―日本専門医機構
新専門医制度、各学会がそろって同じ土俵に立ってスタートすることが望ましい―日本専門医機構・吉村新理事長
【速報】新専門医制度、日本専門医機構の吉村新理事長「7月中に方向性示す」考え