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新型コロナ陽性者が発生した医療機関・施設の従事者、適切に感染予防策を講じていれば「濃厚接触者」ではない―厚労省

2020.12.11.（金）

新型コロナウイルス感染症の陽性者が医療機関・高齢者施設等で発生した場合でも、医療従事者等が適切な感染予防策を講じていれば「濃厚接触者」には該当せず、14日間の健康観察（業務停止）などの対象になるものではない。「濃厚接触者」に該当するか否かは、陽性者の行動歴等を勘案して保健所が判断する―。

「濃厚接触者に該当しない医療・介護従事者に対して幅広く検査を実施する」場合には、当該検査対象者は「濃厚接触者」に該当せず、引き続き、業務に従事することが可能である—。

厚生労働省は12月8日に事務連絡「医療機関、高齢者施設等の検査について」を示し、こうした考えを明らかにしました（厚労省のサイトはこちら）。

陽性者が発生した医療機関・施設のスタッフ、一律に「濃厚接触者」に該当するものでない

新型コロナウイルスの新規感染者が11月に入り再び全国各地で増加しはじめています。北海道旭川市や大阪府では、即応病床（即座に感染患者を受け入れられる病床）の占有率が高まり、また重症患者も増加するなど緊張が高まっています。今後、「季節性インフルエンザとの並走」（いわゆるツインデミック）も危惧されており、「感染拡大防止策の徹底」や「医療提供体制の確保」などが非常に重要な政策課題となります。

医療提供体制の確保に関しては、新型コロナウイルス感染症に対応するベッド（即応病床：感染患者を直ちに受け入れられる病床、準備病床：受け入れ要請から1週間程度で受け入れ可能とする病床、宿泊施設など）や設備（人工呼吸器やECMO（体外式膜型人工肺）など）の整備もですが、「人材の確保」が極めて重要であると指摘されます。11月5日に開催された「地域医療構想に関するワーキンググループ」では、重症患者を多く受け入れる東京医科歯科大学においては「1対1・1対2（2対1ではない、患者1人に対し常時2人の看護職員を配置する）などの非常に手厚い看護体制を敷く必要がある」旨が報告されています。

もちろん、人材の確保は新型コロナウイルス感染症対応にとどまらず、「他の傷病患者に対応する医療機関や診療科」「新型コロナウイルス感染症から回復した患者を受け入れる後方病床」「介護保険施設をはじめとする高齢者施設等」でも同様に重要な課題です。

この点、医療機関や高齢者施設等で感染者（陽性者）が確認された場合に、スタッフが濃厚接触者となることから「14日間、健康観察の対象となるために業務に就けず、人材確保が困難になってしまう」との、やや誤解に基づいた指摘があります。そこで厚労省は今般の事務連絡で次のような対応方針を整理し、医療・介護現場や自治体に要請しています。

▽医療機関、高齢者施設等で新型コロナウイルス感染者が確認された場合、「14日間の健康観察の対象となる濃厚接触者の範囲の特定」は、陽性者の行動歴などに基づいて保健所が行う。一律に「医療・介護従事者全員を14日間の健康観察の対象とする」ことを求めているものではない

▽「濃厚接触者に該当しない医療・介護従事者に対して幅広く検査を実施する」場合には、当該検査対象者は「濃厚接触者」として取り扱うこととはせず（14日間の健康観察の対象とはしない）、「健康観察」の対象外でもあり、引き続き、業務に従事することが可能である（「個別具体的な検査対象者の感染の疑いに着目して行う検査」ではないため、関連記事はこちら）

▽医療機関で新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認された場合でも、医療従事者が感染予防策を適切に講じていれば、「原則として濃厚接触者には該当しない」（感染予防策に関連する記事はこちら）

▽重症化リスクの高い集団に接する医療・介護従事者で、▼発熱▼呼吸器症状▼頭痛▼全身倦怠感―などの症状を呈している場合については、検査の実施に向けとりわけ積極的に対応する