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2020年度診療報酬改定の影響調査、新型コロナの影響も踏まえて慎重実施・分析を―中医協総会(2)

2020.6.18.(木)

2022年度の次期診療報酬改定に向けて、2020年度の今回改定の影響・効果を調査する。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、「調査内容の簡素化」(回答医療機関の負担軽減)や「調査対象医療機関の拡充」(サンプル数の確保)を行うほか、実際の調査時点(今年(2020年)11月-来年(2021年)1月)に新型コロナウイルスの第2波、第3波等が到来した場合には、調査実施方法などを改めて検討する―。

また調査結果についても、新型コロナウイルス感染症の影響などを勘案した慎重な分析・解釈が必要となる―。

6月17日に開催された中央社会保険医療協議会の総会および診療報酬改定結果検証部会で、こういった方針が固められました。

2020年度改定の効果・影響を、2020・21の2年度に分けて調査

診療報酬改定は2年に1度行われるのが通例です(消費税率引き上げなどで特例的に改定が行われる場合もある)。その際、前回改定が医療現場にどのような効果・影響を及ぼしているのかを調査し、「思うように効果が出ていない」のであればテコ入れを行い、「狙いとは異なる方向に進んでいる」ことが分かれば軌道修正を行うなどします。この調査は、改定の効果・影響が出やすい項目は改定年度に実施する(2)効果が現れるまでに時間のかかる項目は改定の翌年度に実施する―という2段階で実施されます。

2022年度の次期診療報酬に向けた議論でも、今回の2020年度改定の効果・影響を調査することとなり、次のような点についての調査が行われます。なお、入院医療やDPCについては中医協の下部組織である「入院医療等の調査・評価分科会」で別途調査が行われます。

【2020年度調査】
→今年(2020年)11月-来年(2021年)1月に調査を実施し、来年(2021年)2-3月に中医協へ結果を報告

▽かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等(その1)
(紹介状なしの病院受診時の定額負担の徴収状況や導入の影響、かかりつけ医機能を有する医療機関における外来診療の実施状況、生活習慣病の重症化予防の取組状況など)
▽精神医療等(その1)
(精神科急性期医師配置加算の算定状況、精神病棟におけるクロザピン等の使用状況、精神療養病棟における疾患別リハビリテーションの実施状況など)
▽在宅医療と訪問看護に係る評価等
(他医療機関等と連携した訪問診療の実施状況、在宅療養支援診療所以外の診療所における他医療機関等との連携状況・訪問診療の実施状況など)
▽医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等(その1)
(負担軽減に資する取り組みを要件とする加算の届出状況、職員体制(常勤配置等)、勤務状況(医師、看護職員の勤務時間等)、負担軽減に資する取組の実施状況、病棟別の負担軽減に資する取り組みの実施状況、勤務状況、その効果など)
▽後発医薬品の使用促進策の影響等

【2021年度調査】
→来年(2021年)7-9月に調査を実施し、10-11月に中医協へ結果を報告

▽かかりつけ医機能等の外来医療に係る評価等(その2)
(オンライン診療の実施状況や対象患者の疾患等の患者背景など)
▽精神医療等(その2)
(精神病棟からの地域移行・地域定着の実施状況、ギャンブル依存症の集団療法プログラムの実施状況など)
▽医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進に係る評価等(その2)
(ICT利活用の実施状況、地域医療体制確保加算を届け出ていない医療機関について、その理由など)
▽かかりつけ歯科医機能の評価や歯科疾患管理料の評価の見直しの影響、歯科疾患の継続的管理等
▽かかりつけ薬剤師・薬局の評価を含む調剤報酬改定等
▽後発医薬品の使用促進策の影響等

2020年度改定に関する調査の内容(中医協総会(2) 200617)

新型コロナの影響を考慮し、医療現場への配慮等が必要

ところで、新型コロナウイルスの影響は依然として大きく、医療機関等はその対応に追われています。このため、厚労省保険局医療課保険医療企画調査室の樋口俊宏室長は、調査実施に当たっては十分な「配慮」と「工夫」を行う考えを明確にしています。

まず、医療機関等の負担を軽減すために、「医療機関で新たな集計作業をしなければ回答できない質問、自由記述での回答を求める質問は最小限にとどめる」「WEB・電子調査票等を活用する」などの配慮を行います。

さらに、調査時点となる今年(2020年)11月-来年(2021年)1月には、新型コロナウイルスの第2波、第3波が到来するなどし、感染が拡大している事態も想定されます。樋口保険医療企画調査室長は、その際には▼調査の実施方法等について改めて検討を行う▼特定の地域等で感染が拡大している場合は、当該地域等の除外を検討する—考えを示しました。

一方、新型コロナウイルス感染症の影響で「回答率が通常よりも、さらに落ちる」ことが想定されることから、「十分な有効回答数を確保するために、適切な調査客体数の設定を検討する」考えも示されています。

この点、診療側の松本吉郎委員(日本医師会常任理事)は「2020年度調査を21年度にまとめて実施するなどの工夫を行ってはどうか」との考えを示しましたが、樋口保険医療企画調査室長は「2022年度診療報酬改定に向け、2021年4月頃から本格的な論議が始まる。2020年度調査を延期すれば、その議論に資するデータ等を揃えられない」とコメントしています。また、仮に「2021年度に一度に調査を行う」となれば、医療現場の回答負担は極めて重くなってしまいます(2年度分の回答を一度に行わなければならない)。医療現場に配慮したうえで、2020年度・21年度の2回にわたる調査を実施する必要がありそうです。

2020年度改定の影響か、新型コロナの影響か、調査結果の分析・解釈は慎重に

さらに、調査結果等について「新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響があることを念頭に置いた分析」が求められます。

この点について支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は、「診療報酬改定の影響なのか、新型コロナウイルス感染症の影響なのか、非常に難しいが見極める必要がある。設問設定に当たっては十分な工夫が求められる」旨を強調しました。

例えば、新型コロナウイルス感染症の影響による入院・入院外ともに「大幅な患者減」が生じています。ここには、▼新型コロナウイルス感染症対応に医療資源を重点化するために医療機関側の受診延期等を要望している▼新型コロナウイルスへの感染リスクを低減するために患者・医療機関の双方が受診抑制を行っている▼外出自粛等により他の感染症(小児のウイルス性腸炎やインフルエンザなど)等への罹患が低減してる▼そもそも医療機関を受診する必要性が高くなかった患者が受療行動を適正化している(不要な医療機関受診を改める)―など、さまざまな要素が関連していると考えられます。

こうした要素の度合いを、どこまで見極められるかは非常に難しい課題ですが、可能な限りの設問設定の工夫を行うとともに、一定の仮定を置いた分析等が必要不可欠と考えられます。

なお、新型コロナウイルス感染症への臨時特例的な対応として「電話や情報通信機器を用いた診療の大幅拡大」が行われています。幸野委員は「2020年度改定よりも大きな緩和が臨時特例的に行われており、この影響を中医協でも調査すべき」と求めましたが、この点は厚労省医政局で別途調査が行われる見込みです。



また、「医療従事者の負担軽減・働き方改革に関する調査」の内容に関して、支払側の吉森俊和委員(全国健康保険協会理事)は、▼勤務医の負担軽減計画の作成や、院内マネジメント改革の実践に資する取り組みなどの状況をしっかりと検証すべき▼診療報酬と公費のそれぞれの状況を調べるべき―と提案しました。

ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により「医療従事者が極めて多忙になっている部分」(重症患者等への対応等)がありますが、一方で、「図らずも医療従事者の負担が大幅に低減している部分」(患者減・手術減等による業務量の大幅減少)もあります。ここでも調査方法の工夫と結果解釈の工夫とが十分に求められます。

新臨床検査を7月に、新医療機器2品目を9月に保険適用

なお、6月17日の中医協総会では、新たな医療機器や臨床検査の保険収載を了承したほか、先進医療に関する報告を受けています

【新たな医療機器の保険収載】(2020年9月に保険収載予定)
▽腎動脈下腹部大動脈瘤の治療に用いる「Ovation腹部ステントグラフトシステム」(143万円)

▽血管や神経を損傷させずに、壊死組織や細菌叢(バイオフィルム)を選択的に取り除くことができる「スマートキュレット」(特定保険医療材料としての評価は行わず新規技術料で評価することとし、K002【デブリードマン】(100平方cm未満:1260点、100平方cm以上3000平方cm未満:4300点、3000平方cm以上:1万30点
を準用する)

【新たな臨床検査の保険収載】(2020年7月に保険収載予定)
▽抗リン脂質抗体症候群の診断補助に用いる「血漿・血清中の抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン抗体および抗β2グリコプロテインI抗体)の測定」(696点)

【新たな先進医療】
▽治療抵抗性肺高血圧症患者に対する「肺動脈自律神経叢除神経治療」(国立循環器病研究センター(国家戦略特区)で実施。保険給付されない先進医療に係る費用は89万7000円だが、研究者が全額負担し、患者は保険診療に係る一部負担金のみを負担する。2021年12月(症例登録機関、総研究は2024年12月まで)に20名の患者に実施して有効性・安全性等を検証し、薬事承認を目指す)

ぽんすけ2020 MW_GHC_logo

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【2020年度診療報酬改定答申4】リハビリが必要な患者に適切なリハが実施されるよう、回復期リハ病棟入院料や疾患別リハ料見直し
【2020年度診療報酬改定答申3】400床以上病院の地ケア病棟、「急性期病棟からの転棟」6割以上で、入院料1割減額のペナルティ
【2020年度診療報酬改定答申2】救急2000件以上で勤務医負担軽減図る病院、【地域医療体制確保加算】(520点)でサポート
【2020年度診療報酬改定答申1】重症患者割合、特定機能病院は看護必要度IIで28%、急性期1は必要度Iで31%、必要度IIで29%に

2022年度改定に向け、看護必要度はじめ「急性期入院医療の評価指標」やフォーミュラリの実態など検討を―中医協総会(1)
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2020年度診療報酬改定、支払側はマイナス改定、診療側はプラス改定を要請―中医協総会(3)
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急性期一般1の「重症患者30%以上」等の施設基準、中医協の支払側委員は「低すぎる」と強調
「医師働き方改革」に向けたマネジメントコスト、診療報酬で評価すべきか否かで激論―中医協総会(1)
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緩和ケア病棟入院料を厳格化、「緩和ケアチームによる外来・在宅医療への関与」求めてはどうか―中医協総会(1)
薬局業務の「対物」から「対人」への移行促すため、14日以内の調剤料を引き下げてはどうか―中医協総会(2)
「働き方改革」への診療報酬でのサポート、人員配置要件緩和を進める方向は固まるが・・・―中医協総会(1)
リンパ浮腫指導管理料等、2020年度改定に向け「算定対象の拡大」を検討―中医協総会(2)
入院患者のポリファーマシー対策、減薬の成果だけでなく、減薬に向けた取り組みも評価してはどうか―中医協総会(1)
かかりつけ医機能を評価する【機能強化加算】、要件を厳格化すべきか―中医協総会
小規模な急性期一般1で認知症患者が多い背景、回復期リハの実績評価の妥当性など検討を―中医協・基本小委
2020年度診療報酬改定に向けた議論整理、地域医療構想の実現・働き方改革・オンライン診療などで意見対立―中医協総会
スタッフの8割以上が理学療法士の訪問看護ステーション、健全な姿なのか―中医協総会
2040年にかけて人口が70%減少する地域も、医療提供体制の再構築に向け診療報酬で何ができるのか―中医協総会
CT・MRIの共同利用、医療被曝防止に向けたガイドライン活用などを診療報酬でどう進めるか―中医協総会(2)
ポリファーマシー対策を診療報酬でどう進めるか、フォーミュラリの報酬評価には慎重意見―中医協総会(1)
新規の医療技術、安全性・有効性のエビデンス構築を診療報酬で促し、適切な評価につなげよ―中医協総会(2)
オンライン診療、「有効性・安全性のエビデンス」に基づき算定要件などを議論―中医協総会(1)
医師の働き方改革、入院基本料や加算の引き上げなどで対応すべきか―中医協総会(2)
がんゲノム医療の推進に向け、遺伝子パネル検査を6月から保険収載―中医協総会(1)
外来医療の機能分化に向け、「紹介状なし患者の定額負担」「かかりつけ医機能の評価」など議論―中医協総会(2)
画期的な白血病治療薬「キムリア」を保険収載、薬価は3349万円―中医協総会(1)
高齢者へのフレイル・認知症・ポリファーマシ―対策、診療報酬でどうサポートすべきか―中医協総会(3)
診療報酬で生活習慣病の重症化予防、治療と仕事の両立をどう進めていくか―中医協総会(2)
遺伝子パネル検査の保険収載に向けた検討進む、C-CATへのデータ提出等を検査料の算定要件に―中医協総会(1)
「院内助産」「外来での妊産婦対応」を診療報酬でどう支援していくべきか―中医協総会(2)
2020年度改定論議スタート、小児疾患の特性踏まえた診療報酬体系になっているか―中医協総会(1)
2020年度診療報酬改定に向け、「医師働き方改革」等のテーマ別や患者の年代別に課題を議論―中医協総会



中医協・基本小委、支払側が「看護必要度や地域包括ケア病棟などの厳格化」を強く要望
2020年度診療報酬改定に向け、「看護必要度」「地域包括ケア病棟」などの課題を整理―入院医療分科会
ICU、看護必要度とSOFAスコアを組み合わせた「新たな患者評価指標」を検討せよ―入院医療分科会(2)
A項目1点・B項目3点のみ患者、療養病棟で該当患者割合が高いが、急性期の評価指標に相応しいか―入院医療分科会(1)
病院病棟への「介護福祉士配置とその評価」を正面から検討すべき時期に来ている―入院医療分科会(3)
ICUの「重症患者」受け入れ状況、どのように測定・評価すべきか―入院医療分科会(2)
DPC病棟から地域包括ケア病棟への転棟、地ケア病棟入院料を算定すべきか、DPC点数を継続算定すべきか―入院医療分科会(1)
総合入院体制加算、地域医療構想の実現や病床機能分化を阻害していないか?―入院医療分科会(3)
救命救急1・3は救命救急2・4と患者像が全く異なる、看護必要度評価をどう考えるべきか―入院医療分科会(2)
「急性期一般2・3への移行」と「看護必要度IIの義務化」を分離して進めてはどうか―入院医療分科会(1)
【短期滞在手術等基本料3】、下肢静脈瘤手術などは外来実施が相当数を占める―入院医療分科会(4)
診療データ提出を小規模病院にも義務化し、急性期病棟にも要介護情報等提出を求めてはどうか―入院医療分科会(3)
資源投入量が少なく・在院日数も短いDPC病院、DPC制度を歪めている可能性―入院医療分科会(2)
看護必要度の「A1・B3のみ」等、急性期入院医療の評価指標として妥当か―入院医療分科会(1)
回復期リハ病棟でのFIM評価、療養病棟での中心静脈栄養実施、適切に行われているか検証を―入院医療分科会(2)
入院で実施されていない「免疫抑制剤の内服」「膀胱脱手術」など、看護必要度の評価対象から除くべきか―入院医療分科会(1)
回復期リハビリ病棟から退棟後の医療提供、どのように評価し推進すべきか―入院医療分科会(3)
地域包括ケア病棟の実績評価要件、在宅医療提供の内容に大きな偏り―入院医療分科会(2)
点数が「DPC<地域包括ケア」時点にDPC病棟からの転棟が集中、健全なのか―入院医療分科会(1)
療養病棟に入院する医療区分3の患者、退院患者の8割弱が「死亡」退院―入院医療分科会(2)
入退院支援加算1の「病棟への入退院支援スタッフ配置」要件、緩和すべきか―入院医療分科会(1)
介護医療院の整備など進め、患者・家族の「退院後の介護不安」解消を図るべき―入院医療分科会(2)
急性期一般1では小規模病院ほど認知症入院患者が多いが、看護必要度への影響は―入院医療分科会(1)
看護必要度IとIIとで重症患者割合に大きな乖離、要因を詳しく分析せよ―中医協・基本小委
自院の急性期患者の転棟先として、地域包括ケア病棟を選択することは「問題」なのか―入院医療分科会(2)
7対1から急性期2・3への移行は3%強にとどまる、看護必要度IIの採用は2割弱―入院医療分科会(1)
2020年度改定、入院医療では「救急」や「認知症対策」なども重要論点に—入院医療分科会(2)
DPC対象病院の要件を見直すべきか、入院日数やDPC病床割合などに着目して検討―入院医療分科会(1)
2018年度改定で新設された【急性期一般入院料1】を選択する理由はどこにあるのか―入院医療分科会
2020年度の次期診療報酬改定に向け、急性期一般入院料や看護必要度などを調査―入院医療分科会



2020年度に「稼働病床数を1割以上削減」した病院、国費で将来の期待利益を補助―厚労省